コスメの真実

石油系界面活性剤フリーって何?本当におすすめ?石油系界面活性剤の真実

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コスメの表示欄に、「パラベンフリー」とか、「エタノールフリー」とか、「着色剤フリー」等の表現をご覧になった事ありませんか?

いわゆる『フリー表現』と言うもので、肌にとってあまりイメージの良くない成分を配合していない事を意味しています。

その中で、『石油系界面活性剤フリー』という表現があります。

石油系界面活性剤って何でしょうか?肌に悪い成分なのでしょうか?

今回は意外と知らない『石油系界面活性剤フリー』について、化粧品開発者の私が詳しくご説明します。

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界面活性剤とは?

 

まず、界面活性剤について簡単に説明します。

詳細は以下記事をご覧ください。

ミルクやクリームのような乳白色のコスメには、水と油を均一に懸濁させる『乳化剤』として、必ずと言っていいほど界面活性剤は配合されます。

また、化粧水のような透明系でも、香料などの『可溶化剤』『肌なじみアップ』のために界面活性剤は配合されます。

界面活性剤には様々な種類がありますが、共通して言える事は、同一分子内に水の性質を持つ『親水部分』と、油の性質を持つ『親油部分』を持つという事です。

この、水と油、双方の性質を持つ事で、界面活性剤は様々な機能を発揮し、化粧品だけでなく多種多様の産業に活用されています。

 

石油系界面活性剤とは?

界面活性剤は『親水部分』『親油部分』を持ちます。親水基、親油基(疎水基)とも言いますが、一般的に界面活性剤は、親水基をもつ成分と、疎水基を持つ成分を『合成』して作ります。
※ 合成工程を含まない成分もあります

コスメ、特にスキンケアには、電荷をもたない『ノニオン系』と言われる界面活性剤が用いられます。

ノニオン系界面活性剤には様々なモノがありますが、ここでは『ステアリン酸PEG-25』を例にとって説明します。

ステアリン酸PEG-25は、古くから用いられるノニオン系界面活性剤です。これは、『ステアリン酸』『PEG(ポリエチレングリコール)』を合成して作られます。

ステアリン酸が『親油部分(親油基)』、PEGが『親水部分(親水基)』になります。

25と言うのは、PEGの重合度(モル数)で、PEGが25個くっついている事を意味しており、PEGは親水基ですから、PEGの数が多ければ多いほど、水の性質が強い界面活性剤になります(専門的にはHLBが高い界面活性剤)

ここからが本題で、石油系界面活性剤を語るには、親水基と親油基の『由来』が重要です。

ステアリン酸PEG-25の場合、ステアリン酸の由来は『植物』です。

私が化粧品業界に入った当時、ステアリン酸などの脂肪酸の由来は『動物』でした。しかし、2000年初頭のBSE問題で、化粧品原料の由来は動物から植物に変わりました。

動物由来原料が禁止になったわけではないので、今でも動物由来原料を使うメーカーは存在しますが、何よりも『イメージ』を重要視する化粧品にとって、BSEから派生した動物由来原料を使う事が嫌がられ、『植物由来原料』に大きく変わっていきました。

ですから、ステアリン酸PEG-25の親油基であるステアリン酸は『植物由来』です。

そして、PEGですが、これは『石油由来』です。植物由来のPEGもあるようですが、コストや供給の問題から、広く普及されていません。

ですからコスメの成分で『PEG』がつくものは、ほぼ『石油由来』と考えて間違いありません。

このように、ステアリン酸PEG-25のような、植物由来のステアリン酸(親油基)と、石油由来のPEG(親水基)を合成して作製されたモノを、『石油系界面活性剤』と言います。決して、全てが石油由来ではない事、覚えておいてください。

我々はこれを『PEG系界面活性剤』と言ったりもしますが、石油系界面活性剤であるPEG系に対し、『植物系(天然系)界面活性剤』も存在します。

それが、ステアリン酸ポリグリセリル-20のような『ポリグリ系界面活性剤』です。

これは、植物由来のステアリン酸(親油基)と、同じく植物由来のグリセリン(親水基)を合成して作られます。

石油系界面活性剤フリーや、ナチュラル・オーガニック系コスメに、植物系(天然系)界面活性剤である『ポリグリ系』が用いられます。

詳細は割愛しますが、ポリグリ系界面活性剤は、製法上、様々な重合度のモノが混在したり(分子量分布がブロード)、テクスチャー的にべたつきやすいので、私自身は石油系界面活性剤であるPEG系の方が好きです。

我々化粧品開発者は、コスメのコンセプトに合わせて、PEG系、ポリグリ系と、界面活性剤を使い分けています。

 

石油系界面活性剤は肌に悪い?

石油系界面活性剤フリーという表現が存在するように、どちらかと言えば石油系界面活性剤は、『負のイメージ』が強いですが、決して、機能が劣るとか、肌にとって危険と言うわけではありません。

石油系界面活性剤は、肌に危険ではなく、安心してお使いいただける成分です

では何故、石油系界面活性剤に負のイメージがついたかと言うと、それは、一部化粧品メーカーの、無意味な『フリー表記の乱用』にあります。

コスメは『美容理論』『コンセプト』を考え、それに合わせて、安全・安定が大前提で、テクスチャーにこだわって作り上げるモノです。

しかし、美容理論やコンセプトメイクは非常に困難で、力のあるメーカーしか出来る事ではありません。

力のないメーカーがとる手段が『フリー表記の乱用』です。美容理論やコンセプトが作れませんから、〇個のフリーとか、とりあえず、意味のないフリー表記の数に頼るのです。

例えば『パラベンフリー』。確かにパラベンは旧表示指定成分ですから、人によってはアレルギーなどの肌トラブルを引き起こす成分です。しかし、その本質を知らなければ、パラベンフリーは逆に『危険』になります。詳細は以下記事をご覧ください。

石油系界面活性剤フリーというのは、まさに、『無意味なフリー表記』の典型で、美容理論、コンセプトメイクが出来ないメーカーの、姑息な最終手段と言えるでしょう。

勿論例外もあると思いますが、美容理論、コンセプトメイクを得意とする大手化粧品メーカーのブランドに、石油系界面活性剤フリーと言う表記はあまり見かけません。

ただし現在、コロナのワクチン接種で、アナフィラキシーの疑いが女性に多いという報告があり、それがコスメに配合されている『PEG系原料』と言われています。

PEG系原料とは、まさに『石油系界面活性剤』の事ですから、コスメにおける安全性に問題はありませんが、このような事情からPEG系界面活性剤(石油系界面活性剤)を避ける人もいらっしゃるかもしれません。

そのような場合は、石油系界面活性剤フリーコスメをお選びください。

 

おわりに

いかがでしょうか?

石油系界面活性剤とは、PEG系のように、原料の由来に『石油を含むモノ』です。

しかし、石油系界面活性剤は『安全に使える成分』ですから、石油系界面活性剤フリーと言うのは、イメージ先行型の『無意味なフリー表記』の典型だと私は思います。

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません

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