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<プロ解説>コスメの必須成分「界面活性剤」とは?その種類と役割を詳しく解説!

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化粧品には『水』『油』が配合されています。しかし、水と油は、決して混じり合うことはありません。

この水と油を混じり合わせるのが『界面活性剤』です。

ですから、化粧品にとって、界面活性剤は欠かせない存在です。

この界面活性剤、複数の種類があることをご存知でしょうか?
今回は、界面活性剤についてご説明いたします。

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界面活性剤とは?

界面活性剤・化粧品

界面活性剤は、水の性質を持つ(水となじみがいい)『親水基』と、油の性質を持つ(油となじみがいい)『親油基(疎水基)』を持っています。

一つの分子の中に、水と油、両方の性質を持っているので、通常では混じり合わない水と油の懸け橋となって、両者を混じり合わせることが出来るのです。

水と油の両方の性質を持つ界面活性剤ですが、その中でも、水の性質が強い『親水性の界面活性剤』と、油の性質が強い『親油性の界面活性剤』に分けられます。

また、『親水基の特性』により、界面活性剤には『アニオン界面活性剤』『カチオン界面活性剤』『ノニオン界面活性剤』『両性界面活性剤』の4つの種類があります。

アニオン界面活性剤

界面活性剤・化粧品

親水基が『-(負)に帯電しているもの』を、『アニオン界面活性剤』と言います。
「陰イオン界面活性剤」とも言います。「石鹸」や「金属石鹸」と言う場合もあります。

『ウォッシュ』に主に用いられます。
ウォッシュはアニオン界面活性剤の分散体です。アニオン界面活性剤の塊と言っても過言ではありません。
洗浄力に大変優れるため、『アニオン界面活性剤=洗浄剤』とお考えください。

洗浄力など、界面活性剤としての機能は非常に優れていますが、お肌への刺激が強く、『安全性』に課題があります。
ですから、スキンケアの乳液やクリームにはあまり配合されません。

最近は『弱酸性』を謳う化粧品が増えてきましたね。「弱酸性はいいのか?悪いのか?」に関しては、また別の機会に説明させて頂きますが、アニオン界面活性剤は、弱酸と強塩基の塩でもあるので、『アルカリ性』になります。
ですから、アニオン界面活性剤を配合した化粧品は、弱アルカリ性になるため(大体、pH 8~11位です)、弱酸性が謳えません
これも、乳液やクリームに配合されない一因です。

ただし、アニオン界面活性剤が配合されているスキンケア品もあります。特に敏感肌の方は、肌トラブルの可能性がゼロではないのでお気を付けください。

アニオン界面活性剤は『親水性の界面活性剤』です。

カチオン界面活性剤

界面活性剤・化粧品

親水基が『+(正)に帯電しているもの』を、『カチオン界面活性剤』と言います。
「陽イオン界面活性剤」とも言います。

主にトリートメントなど『ヘア品』に配合されます。

スキンケアの乳液を、トリートメント代わりに髪につけたらどうでしょうか?
パサパサになりますよね?
これは、基本、乳液にはカチオン界面活性剤が配合されていないからです。

なぜなら、髪の毛は『-(負)』に帯電しています。
トリートメントに配合されているカチオン界面活性剤は『+(正)』に帯電していますので、髪の毛にくっつきます(髪は-電荷なので)。
ですから、トリートメント使用後の髪の毛は、カチオン界面活性剤が髪の毛にくっついているので、指どおりがなめらかなのです。

カチオン界面活性剤もアニオン同様、スキンケアの基礎品にはあまり配合されません。ヘア品が主です。
ですが、配合している商品も少ないですが存在するので、お肌が弱い方はご注意ください。

カチオン界面活性剤も『親水性の界面活性剤』です。

ノニオン界面活性剤

界面活性剤・化粧品

親水基が『+(正)にも-(負)にも帯電していないもの』『ノニオン界面活性剤』と言います。
+、-をイオンとも言いますよね。帯電していないので、「ノンイオン」=「ノニオン」というわけです。

ノニオン界面活性剤は、クレンジング、乳液、クリーム、BBクリーム、日焼け止め、ファンデーションなど、水と油が含まれる化粧品の全てに配合されますので、界面活性剤の中の主役と言ってもよいでしょう。

『高い安全性』も特徴の一つです。

アニオンやカチオンは「親水性の界面活性剤」でしたが、ノニオンは、その分子の形によって『親水性』『親油性』の2種あります。

界面活性剤・化粧品

(A)は親水基はそのままで、親油基が短く(小さく)なっています。(B)は親水基が大きくなって、親油基はそのままです。

(A)と(B)のように、界面活性剤分子の中で、『親水基の占める割合が大きいもの』が、親水性の界面活性剤です。

(C)は親水基はそのままで、親油基が太く(大きく)なっています。(D)は親水基が小さくなっています。

(C)と(D)のように、界面活性剤分子の中で、『親油基の占める割合が大きいもの』が、親油性の界面活性剤です。

このように、ノニオン界面活性剤には、『親水性』『親油性』の2種類あり、実際の化粧品では、これらを組み合わせて、最適な界面活性剤バランスで配合しています。

両性界面活性剤

界面活性剤・化粧品

親水基が『+(正)と-(負)両方に帯電しているもの』を、『両性界面活性剤』と言います。

主にシャンプーなどの『ヘア品』に配合されますが、それ以外の化粧品には積極的に配合されていません。

おわりに

いかがでしょうか?

4種の界面活性剤の中でも、やはり、化粧品には『ノニオン界面活性剤』が一番よく使われます。

『高い安全性』『種類の多さ』がその理由です。

『界面活性剤フリー』を謳う商品が数多くありますが、私は、基本、これには賛同できません(賛同できる場合もあります)。

これに関しては、また別の機会に説明させて頂きます。

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません

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