
日焼け止めやファンデーションを中心に、『石鹸で落ちる』という訴求が増えてきました。これは、化粧持ちの高さが求められる日焼け止めやファンデーションの場合、『耐水性技術』が向上し、結果として、石鹸などの通常の洗浄料で落ちないという課題を反映しています。
耐水性がありながら石鹸で落ちるというのは、利便性が向上し、大変素晴らしい事ですが、本当に石鹸で落ちるのでしょうか?
結論から言うと、
今回は、化粧品開発者の私が、『石鹸落ちコスメの真実』と題しまして詳しくご説明します。
「石鹸で落ちる」訴求について
ファンデーションや日焼け止めには、着色(肌色)と紫外線防御を目的に、酸化鉄や酸化チタン、酸化亜鉛といった『粉体』が配合されます。
通常、これら粉体は水に馴染みます。しかし、水に馴染むと、崩れやすく持ちが悪くなります。
ファンデーションや日焼け止めには『化粧持ちの高さ』が求められますし、紫外線防御指数であるSPFには、耐水性を表す『ウォータープルーフ』がありますから、水に馴染んで化粧持ちが悪くなる事は、ユーザーに好まれません。
そこで、ファンデーションや日焼け止めに配合の粉体には、『表面処理』が施され、これにより、粉体の表面の性質が改変され、水に馴染みやいモノが(親水化)、水に馴染まなくなります(疎水化)。
表面処理が施され、親水から疎水に特徴が変化した粉体は水に馴染みませんから、これら粉体が配合されたコスメは、化粧持ちが向上し、ウォータープルーフ機能を有するようになります。
日本の原料メーカーの表面処理技術は世界一と言えるぐらい素晴らしいです。
この表面処理技術の進歩によって、ファンデーションや日焼け止めの化粧持ちは飛躍的に向上しました。
しかし一方で、『新たな課題』が発生します。
それが、
という事です。
皮肉と言えば皮肉ですね。
『化粧持ちの良さ』というユーザーニーズを実現するために、発展し続けた表面処理技術ですが、結果として、『石鹸で落ちない』という別の課題を生み出してしまいました。
化粧持ちが良いファンデーションや日焼け止めには『クレンジング』を用いる、が一つの答えではありますが、やや面倒と感じるユーザーが多いようです。
通常の洗浄剤である『石鹸』で落とす事が出来れば、利便性は向上します。そして、これが『世のニーズ』です。
これが、ファンデーションや日焼け止めに、『石鹸で落ちる』という訴求が増えた経緯です。
化粧持ちが良くて、且つ、石鹸で落ちるは、非常に便利ですが、本当に石鹸で落ちるのでしょうか?
何をもってメーカーは、「石鹸で落ちる」と言っているのでしょうか?
「石鹸で落ちる」の真実
石鹸で落ちるコスメで一番重要な事。それは、
例え石鹸で落ちなくても、メーカーが「石鹸で落ちる」と言ってしまえば、それは石鹸で落ちるコスメになる
です。
驚かれるかもしれませんが、これが石鹸落ちコスメの『真実』です。
ですから、例えメーカーが石鹸で落ちると言っても、100%信用してはいけない。
何故なら、根拠がなくて、メーカーの言ったもの勝ちだから。
実際、石鹸で落としてみて残り感があるのであれば、迷わず『クレンジング』をご使用ください。
ただし、全く根拠がない、と言うわけでもありません。
圧倒的技術を誇るメーカーのモノであれば、石鹸で落ちるコスメは存在します。
pH応答性表面処理技術
メーカーの言ったもの勝ちで、根拠がない石鹸落ちコスメが多いですが、石鹸で落ちる『確固たる技術』は存在します。
その一つが、資生堂の『pH応答性表面処理技術』です。
この技術は、化粧品業界の世界的な学術大会であるIFSCCでも『最優秀賞』を受賞しており、世界に認められた技術です。IFSCCについては以下をご覧ください。
石鹸は『アルカリ性』です。
資生堂は、酸性条件で疎水性となり、アルカリ性条件で親水性となる『pH応答性』に着目し、その性質を示すポリマーを新たに開発しました。
そして、このポリマーを酸化チタンに表面処理。これが『pH応答性表面処理技術』です。
このような処理を施された酸化チタンは、通常時(酸性)は、『疎水性』を示しますから、化粧持ちに優れます。
ですが、石鹸で洗い流す際は、アルカリ性となり、『親水性』を示すため、石鹸で落ちます。
「化粧持ちの良さ」と「石鹸で落ちる」を両立した見事な技術です。
これであれば、「石鹸で落ちる」とはっきり言い切れると思います。
ただし、現在は、『弱酸性洗顔』もありますから、アルカリでない石鹸に対しては、この技術が適応されません。
新たに、誰もが納得する革新的な『石鹸落ち技術』が生まれる事を期待しています。
完全に落とすにはクレンジングが必須!
資生堂のpH応答性表面処理技術は素晴らしいですが、これは、資生堂だから出来るのであって、多くのメーカーは無理です。
特に、ウォータープルーフタイプや紫外線散乱剤配合タイプ(日焼け止め・ファンデーション)は、化粧持ちに優れていますから、石鹸だけでは落ちない事の方が多いです。
にもかかわらず、先ほども述べたように、石鹸で落ちるはメーカーの言ったもの勝ちですから、石鹸で落ちもしないのに、石鹸で落ちると宣伝する日焼止めやファンデーションは市場に多く存在します。
ですから、ウォータープルーフタイプや紫外線散乱剤配合タイプをお使いの人は、例えその商品が石鹸で落ちると宣伝していたとしても、『クレンジング』の使用を強くおすすめします。
落とす方法は「クレンジング」だけ
ただし、どのクレンジングでも良いというわけではありません。
圧倒的クレンジング力を誇る『オイルクレンジング』か、『高内相クレンジング』がベストです。
プロの目から見て、オイルクレンジングであれば、『アテニア スキンクリア クレンズオイル』、高内相クレンジングであれば『オルビス オフクリーム』をおすすめします。
オイルクレンジングの名品「アテニア スキンクリア クレンズオイル」
コスパ最強!
そもそも、オイルクレンジングは化粧品会社を悩ませるアイテムの一つです。
何故なら、『利益率が悪い』からです。
オイルクレンジングには『水』がほとんど含まれておらず、そのほとんどが『油』と『界面活性剤』です。ですから、『内容物原料価格(原価)』が非常に高いです。
大部分が水の「化粧水」と比較すると、数倍、場合によっては数十倍の原価がかかるオイルクレンジングですが、市場の販売価格は高くても2000円以下が多いです。
これだけの高原価のオイルクレンジングですから、5000円くらいで売りたいのが化粧品会社の本音です。しかし、百貨店コスメであれば別ですが、5000円のオイルクレンジングなんてなかなか売れません。
ですから、売れる価格に設定しなければならず、しかし原価が高いですから、『クレンジングとしての機能』よりも『ユーザーに喜んでもらいたい気持ち』よりも、いかに『原価を下げる』かを頑張ってしまうアイテムがオイルクレンジング。
ですから、オイルクレンジングには、原価を下げるために、『ミネラルオイル』や『パラフィン』といった、原料価格が安い『鉱物油』がよく用いられます。
少し専門的な話になりますが、油には、『無極性油(むきょくせいゆ)』と『極性油(きょくせいゆ)』があります。
『無極性油』は一般的に価格が安いため、クレンジングなどの洗い流し品や、乳液・クリームといった基礎品まで、幅広く用いられていますが、クレンジング力という点においては劣ります。
何故なら、
メイク汚れは極性を持っている事が多く、極性を持っているメイク汚れに対し、極性を持たない無極性油では馴染みが悪い
一方、『極性油』は無極性油に比べ価格は高いです(一般論)。しかし、極性をもつメイク汚れと馴染みが良いため、クレンジング力という点においては、『優れた油』・『最適な油』と言えます。
先ほど挙げた、原価が安くクレンジングによく配合されるミネラルオイルやパラフィンといった『鉱物油』は、残念ながら『無極性油』です。
クレンジングの一番重要な機能は『クレンジング力』ですから、ユーザーのことを考えれば、無極性油ではなく、クレンジング力の高い『極性油』を選ぶべきと私は思います。
ですが、先ほども述べたように、原価が高いオイルクレンジングでは、それがなかなか出来ません。
アテニア スキンクリア クレンズオイルは、『エチルヘキサン酸セチル』と『ジイソノナン酸BG』が多量に配合されており、これがメイク汚れを落とします。
これらは、メイク汚れと馴染みが良い『極性油』です。
それでいて、2000円以下の価格を実現。
これが、『コスパ最強』の所以です。
くすみにも効果的
アテニア スキンクリア クレンズオイルは、くすみの原因でもある『肌ステイン』にも効果的です。
ステインと聞くと、歯の着色汚れを想像されるかもしれませんが、お肌にもステインは存在します。
肌ステインは肌の表面にこびりつき、黄ばみとなって肌をくすませます。しかも肌ステインは、美白ケアや通常の洗顔ではなかなか落とせないやっかいな存在でもあります。
アテニアは、この肌ステインの原因が『糖化』であると突き止めました。
糖化とは、糖がタンパク質と結合して固くなり黄ばむ、近年話題の肌の『老化現象』です。
この糖化が、肌ステインの原因にもなっていたわけです。
アテニア スキンクリア クレンズオイルには、糖化による肌ステインを分解する効果が期待できる『珊瑚草オイル』が配合されており、
通常のメイク汚れだけでなく、くすみ(肌ステイン)まで洗い流して肌を明るくする画期的なオイルクレンジング
また、通常のオイルクレンジングは、クレンジング力は優れていますが、すすぎの水で洗い落とせず、『お肌がべとべとヌメヌメする』という経験をされた方は多いのではないでしょうか?
アテニア スキンクリア クレンズオイルの場合、すすぎの際、多量の水がくると、メイク汚れと馴染んだ油が『乳化』され、微粒子レベルに分散されて流されます。
当時はこれを、『微細乳化処方』と言っていましたが、洗い上がり後のべとべとヌメヌメの原因である油が、微粒子レベルに細かく分散されて流されるため、後肌すっきりで、アテニア スキンクリア クレンズオイルは『W洗顔不要』なのです。
これを可能にしているのが、アテニア スキンクリア クレンズオイルに配合されている、『ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10』・『オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20』・『ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20』といった、『界面活性剤』です。
つまり、微細乳化処方を実現するには、『高度な界面活性剤の配合技術』が必要不可欠です。
肌ステイン除去にしても、微細乳化処方にしても、アテニアがこれだけ高度な技術を商品に展開できるのは、アテニアは『ファンケル』のグループ会社であり、ファンケルの技術を水平展開しているからです。
石鹸落ちコスメの多くは、実は、石鹸では落ちない!
是非、アテニア スキンクリア クレンズオイルをお試しください。
高内相クレンジングの名品「オルビス オフクリーム」
高内相タイプはクレンジングの理想形!
高内相とは、多量のオイルが配合されたという意味です。
また、『水系ベース』でもあります。
一般的に、水系ベースのクレンジングは油系ベースに比べて、オイル量が少ないですからクレンジング力が劣ります。
しかし、高内相タイプには、オイルクレンジング並みに多量のオイルが配合されていますから、『抜群のクレンジング力』を発揮します。
それでいて、高内相タイプは水系ベースですから、肌に対して優しい。
つまり、高いクレンジング力と肌への優しさ(保湿)を兼ね備えた高内相タイプのクレンジングは、『クレンジングの理想形』と言えるでしょう。
ただし、高内相にするためには、『D相乳化』という特殊な乳化法が必須になります。
ですから、機能的には素晴らしいですが、これを実現するには『確かな技術』が必須のため、必然的に『高価』になりがちです。
これが、高内相クレンジングの唯一の欠点と言えますが、この度、圧倒的なコスパの良さを誇るオルビスから、高内相クリームクレンジングが発売されました。
それが『オルビス オフ クリーム』。
オルビス オフ クリーム化粧品開発者の私が、
今現在、最もおすすめするクレンジング!
オルビスは化粧品大手ポーラのグループ会社です。技術力は圧倒的。
先ほど、高内相の実現には『D相乳化』という特殊な乳化法が必須と言いましたが、実はD相乳化は、ポーラの研究員が開発した乳化法です。
ですから、ポーラは最もD相乳化を得意とするメーカーと言っても過言ではなく、このポーラの技術を展開して開発されたのが『オルビス オフクリーム』ですから、品質の高さに疑いの余地はなし!
石鹸落ちコスメの多くは、実は、石鹸では落ちない!
アテニア スキンクリア クレンズオイル同様、オルビス オフクリームもおすすめです。
おわりに
いかがでしょうか?
ファンデーションや日焼け止めに『石鹸で落ちる』と言う表現をよく見ますが、これはメーカーの言ったもの勝ち的要素が強いです。
ですから、例え石鹸で落ちなくても、メーカー側が石鹸で落ちると言ってしまえば、それは『石鹸で落ちるコスメ』になってしまいます。
「石鹸で落ちる」と訴求しているコスメであっても、100%信用してはダメ
特に、ウォータープルーフタイプや紫外線散乱剤配合タイプであれば、抜群のクレンジング力を誇るアテニア スキンクリア クレンズオイルやオルビス オフクリームをおすすめします。
クレンジング選びにお悩みでしたら以下をご覧ください。クレンジング選びの決定版です!
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません
