コスメの疑問&誤解

<日焼け止めの疑問④>吸収剤配合を選ぶべき? 吸収剤のメリット・デメリット!

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日焼け止めコスメの疑問・誤解の『第4弾』です。

日焼け止めコスメは、『紫外線吸収剤』配合のモノを選ぶべきでしょうか?

今回は、日焼け止めに配合される『紫外線吸収剤』のメリット・デメリットについてご説明いたします。

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紫外線吸収剤の「メリット」・「デメリット」は?

吸収剤・散乱剤・メリット・デメリット

紫外線吸収剤の「メリット」

紫外線吸収剤(吸収剤)のメリットは『2つ』あります。

まず1つめが『価格』です。

吸収剤の「原料価格」は、散乱剤に比べ、『圧倒的に安い』です。

勿論、高価な吸収剤も存在しますが、最もよく用いられる吸収剤「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、機能性を考慮すると、非常に低価格で、コスパに優れています。

原料価格が安いということは、化粧品メーカーにとっては『利益拡大』という利点がありますが、ユーザーの皆様にとっても大きな利点があります。

当然のことながら、コスメの原材料費は、コスメの『販売価格』に反映されますから、低価格な吸収剤を配合し、品質を落とすことなく原材料費を抑えることが出来れば、ユーザーの皆様にとって、お求めやすい販売価格が実現します。

「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」の、品質を落とすことなく低価格が実現出来た背景には、その圧倒的な『生産量』があるでしょう。

<日焼け止めの疑問②>の記事でも述べましたが、海外メーカーは散乱剤配合には消極的ですが、吸収剤は積極的に配合してきます。

散乱剤は『日本』がメインに対し、吸収剤は日本を含む『海外』で使われていますから、使用量が全く違います。

使用量が多ければ当然、生産量も多いですから、これが大幅なコストダウンにつながっているのでしょう。

国内の大手散乱剤メーカーが、「吸収剤の価格には敵わない」と嘆いていました。

ただし、散乱剤にも大きなメリットがあります。詳細はこの後の記事でご説明します。

吸収剤の2つめのメリットが『仕上がり・使用感』です。

日焼け止めでは、『白浮き』という言葉をよく聞きます。

これは、「日焼け止めを塗ったら白くなった」という意味で、原因は『散乱剤』です。

散乱剤は『白色粉末』ですから、白浮きしやすい傾向にあります。

勿論、処方化技術で白浮きを抑えることは可能ですが、『高度な技術』が必要のため、どのメーカーでも出来ることではありません。詳細は別記事にします。

一方、吸収剤は『油(オイル)』もしくは、油溶性の『粉末』です。

※水溶性粉末もありますが、種類は少ないです

「油」・「油溶性粉末」ですから、散乱剤のような『白浮き』はしません。「日焼け止めは白くなって嫌!」という方に好まれる、『白浮きしない仕上がり』です。

また、散乱剤は粉末ですから、SPF・PA値が高く、散乱剤を高配合している日焼け止めは、粉由来(散乱剤由来)の『乾燥』が課題となります。

吸収剤は「油」ですから、乾燥はせず、うるおい実感が高いです。ニベアを筆頭に、『ジェルタイプ』の日焼け止めが人気ですが、これは、「油」である『吸収剤』だからこそ実現可能な『使用感』です。

紫外線吸収剤の「デメリット」

吸収剤の『デメリット』は、『光安定性』『肌刺激性』です。

まず『光安定性』に関しては、昔は吸収剤の光安定性なんて全く無視されていました。しかしこれは、ユーザーにとって大変不利益なことですから、10年位前から、ヨーロッパを中心に、吸収剤の光安定性の悪さが叫ばれるようになりました。

吸収剤は、紫外線を吸収して、紫外線ダメージから肌を守ります。紫外線を吸収した際、非常に『分解』しやすいため、吸収剤は光安定性(紫外線安定性)が悪いと言われています。

吸収剤が分解すると、紫外線を吸収する能力がなくなりますから、表示SPF, PAの効果は全く期待出来ません。「日焼け止めを塗ったのに焼けた!」という事態につながります。

ですから、日焼け止めコスメ、特に吸収剤配合のモノは『塗り直し』が必要です。

今の日焼け止めコスメには、注意表示欄または使用方法欄に、「こまめに塗り直してください」という文言が表記されているはずです。この文言の背景には、吸収剤の『光安定性の悪さ』があるのです。

また、もう一つのデメリット『肌刺激性』についてですが、<日焼け止めの疑問③>の記事で、吸収剤の安全性(肌刺激性)を論じたとおり、吸収剤は『安全』ですが『肌刺激性のある成分』です。

通常のコスメに配合される油は、分子量が大きいため、油に含まれる微量成分(栄養素など)が肌に浸透することはあっても、油そのものは肌に浸透しません。

油は肌に浸透せず、肌表面に留まり肌上に膜を作ることで、外部刺激から守ったり、肌内部の水分蒸散を防いだりします。これが、油が『エモリエント剤』『バリア膜』と呼ばれる所以です。

一方、吸収剤としての油は、分子量が小さいため、肌に浸透します(角層まで)。テープストリッピングによって、吸収剤(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)が角層まで浸透しているデータを何度も見たことがあります。

※ポリシリコーン-15のように、高分子量の吸収剤も存在します

このように吸収剤は、安全ではありますが肌刺激性のある成分です。

しかしだからと言って、「吸収剤を避けるべき!」と言っている訳ではありません。吸収剤が角層に浸透すると言っても、そもそも、肌には『バリア機能』が備わっていますから、重篤な肌トラブルにつながることは考えにくいです。また、吸収剤の肌刺激性以上に、紫外線による肌ダメージの方が深刻ですから、日焼け止めコスメの「肌刺激性」・「使用感」は二の次、という考え方もあります。

ですから、吸収剤に弱い方や、過去、吸収剤による肌トラブルの経験がある方を除き、それほど心配される必要はありません。

おわりに

いかがでしょうか?

紫外線吸収剤のメリットは『価格』『仕上がり・使用感』です。

一方、デメリットは、『光安定性』『肌刺激性』です。

「光安定性」に関して補足すると、処方化技術で光分解を抑制することは出来ますし(100%ではない)、現在のSPF, PA測定法は、吸収剤の光安定性(光分解)を考慮した測定法です。

ですから、商品に表示されているSPF, PA値は信頼がおけるものなので、ご安心ください。

ただし、表示SPF, PA値はあくまで目安であって、表示されている紫外線防御効果を最大限得るためにも、日焼け止めコスメは、たっぷりの量を、こまめに塗り直すようにしてください。

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