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現役の化粧品開発者が解説!散乱剤のメリット・デメリット

この記事を書いている人

コスメデイン

  • 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
  • 今も現役の化粧品開発者
  • 美容雑誌の監修経験あり
  • 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!

美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)

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日焼け止めコスメは、紫外線散乱剤配合のモノを選ぶべきか?

この記事では、現役の化粧品開発者がプロの視点で、日焼け止めに配合される紫外線散乱剤のメリット・デメリットについて解説します。

吸収剤のメリット・デメリットについては、以下記事をご覧ください。

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日焼け止めコスメは、紫外線吸収剤配合のモノを選ぶべきか? この記事では、現役の化粧品開発者の私がプロの視点で、日焼け止めに配合される紫外線吸収剤のメリット・デメリットについて解説します   ...

 

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紫外線散乱剤の「メリット」・「デメリット」は?

日焼け止めに配合される紫外線散乱剤は『酸化チタン』『酸化亜鉛』です。

以下記事で、日焼け止めに配合される「酸化チタン」と「酸化亜鉛」は散乱剤ではなく、吸収剤であり散乱剤でもあると述べましたが、この記事では便宜上、「散乱剤=酸化チタン・酸化亜鉛」とさせて頂きます。あらかじめご了承ください。

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紫外線散乱剤の「メリット」

紫外線散乱剤(散乱剤)のメリットは、『肌への優しさ』『幅広い紫外線カット領域』、そして『光安定性の高さ』です。

散乱剤は吸収剤に比べ『肌に優しい』と言えます。詳細は以下をご覧ください。

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吸収剤は、紫外線領域の中でも『ある特定の波長のみ』を吸収(カット)します。

一方、散乱剤は、「酸化チタン」であれば、UV-B領域である『280nm~320nm』を、「酸化亜鉛」であれば、UV-A領域である『320nm~400nm』を幅広くカットすることが出来ます。

以下記事でも述べたように、SPF値だけを考えれば、人の紅斑反応を引き起こしやすい『315nm付近だけ』をカットすればよく、この付近に極大吸収を持つ吸収剤を配合すれば、高いSPF値を得ることは可能です。

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しかし、315nm以外の紫外線による肌ダメージを無視できませんから、UV-B領域・UV-A領域を幅広くカットすることが理想的です。

ですから、『幅広い紫外線カット領域』は、散乱剤の大きなメリットの一つと言えます。

これまでの記事でも、吸収剤の光安定性の悪さについて論じてきました。一般的に、紫外線を吸収して別の物質(構造体)に変化する吸収剤は、光(紫外線)に対して不安定で、『分解』しやすい特性を持ちます。

「分解」してしまった吸収剤は、紫外線吸収能力を失いますから、紫外線カット効果は期待できません。「日焼け止めを塗ったのに焼けた!」という事態になりかねず、だからこそ、日焼け止めは『こまめに塗り直すこと』が重要なのです。

このように、光(紫外線)に不安定で『分解』しやすい吸収剤に対し、散乱剤は光(紫外線)に対して超安定で、『抜群の光安定性』を示します。

そもそも散乱剤は、紫外線が照射されても、吸収剤のように別の物質(構造体)に変わるわけではなく、格子内の電子移動だけですから、分解はしません。

色が変わったり、活性が強く他成分に影響を与える可能性はありますが、それを防ぐために、日焼け止めに配合の酸化チタンや酸化亜鉛(いずれも微粒子)には、表面の活性を抑えるため『表面処理』が施されますから、散乱剤は、光(紫外線)に対し『超安定』と言えます。

光安定性が向上した吸収剤の開発や、分解を抑制する処方化技術、吸収剤の光分解を考慮したSPF, PA測定法など、昔に比べれば、UVフィルター(吸収剤・散乱剤)の『光安定性』への対応は進んでいます。

しかし個人的には、実生活におけるユーザーの紫外線による肌ダメージを考えると、メーカー側はこれまで以上に、UVフィルター(吸収剤・散乱剤)の『光安定性』に着目し、対応すべきと考えます。

 

紫外線散乱剤の「デメリット」

散乱剤のデメリットは『価格』『仕上がり・使用感』です。

デメリットと言っても、技術革新のおかげで、「コスメの品質として問題」というレベルではありません。あくまで吸収剤と比べて、という程度です。

吸収剤の原料価格は圧倒的に安いです(勿論、高価な吸収剤はあります)。

散乱剤の原料価格は、散乱剤の『性能』を考えたら妥当な数字ですが、吸収剤と比べると高価です。

「酸化チタン」を例にとると、日焼け止めには、紫外線を防御するため、粒子が非常に細かい『微粒子酸化チタン』が用いられます。

酸化チタンを『微粒子化』するには高度な技術が必要ですし、そのままでは表面の活性が強すぎるので『表面処理』が必須。また、日焼け止めでは、分散体として用いるケースが多いため、シリコーンなどへの『分散』も必要です。

『微粒子化』『表面処理』『分散』など、散乱剤には高度な技術と様々な工程が必要ですから、必然的にやや高価になってしまうのであろうと思います。

ただし私は、化粧品開発者であり、散乱剤のすごさを理解していますから、散乱剤の原料価格に対しては何も不満はなく、納得しています。

散乱剤のもう一つのデメリットが『仕上がり・使用感』です。

日焼け止めでは『白浮き』という表現が良く使われますが、これは「日焼け止めを塗ったら白くなった」という意味であり、原因は『散乱剤』です。

散乱剤は『粉末』ですから、どうしても白っぽく、不自然な仕上がりになります。

ただし、この白さは、散乱剤(酸化チタン・酸化亜鉛)の粒子が大きくなっていることが原因ですから、高度な技術力を有するメーカーであれば、散乱剤の凝集(粒子が大きくなること)は抑えることが出来ます。

ですから白浮きは、化粧品メーカーの技術力の高さを知る指標になります。

技術力のあるメーカーであれば、『分散技術』に長けていますから、散乱剤配合の日焼け止めでも白浮きしません。

『使用感』に関して言えば、散乱剤は『粉末』ですから、散乱剤高配合のモノは粉由来の『乾燥』を感じるかもしれません。

また、現在は、ニベアに代表される、みずみずしい『ジェルタイプ』の日焼け止めが人気ですが、これは、吸収剤だから実現できる使用感であり、粉末である散乱剤では、ジェルタイプの日焼け止めは不可能です。

 

おわりに

いかがでしょうか?

紫外線散乱剤のメリットは、

『肌への優しさ』『幅広い紫外線カット領域』『光安定性の高さ』

一方、デメリットは、

『価格』『仕上がり・使用感』

記事中でも申し上げましたが、私は、UVフィルター(吸収剤・散乱剤)の『光安定性』が非常に重要だと考えていますから、光に対して超安定な散乱剤の方が、吸収剤より好きです。

散乱剤には、デメリットもありますが、原料メーカーの「表面処理技術」・「分散技術」、化粧品メーカーの「処方化技術」の進歩によって、今ではデメリットを克服したとも言えるでしょう。

是非、皆様の日焼け止め選びの参考にしてください。

 

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません

   
大手化粧品メーカーで15年以上、今なお現役の化粧品開発者の私が、これまでの経験をもとに、コスメを厳選してご紹介します!
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