マツエクOKと謳うクレンジング製品が増えていますが、本当にそれらは安全なのでしょうか?
私は現役の化粧品開発者です。
大手化粧品メーカーを含め、20年以上のキャリアがあり、有名美容雑誌の監修も多数手がけています。
本物のプロであり、化粧品開発のプロフェッショナルです。
この記事ではそんな私が、マツエクOKクレンジングの危険性に迫ります!
本記事の内容
- マツエクOKクレンジングの危険性を現役の化粧品開発者が解説
この記事を書いている人

コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
マツエクとは?

「マツエク」は、まつ毛エクステンションの略称です。自分のまつ毛一本一本に、人工のまつ毛を専用の接着剤で装着することで、ボリュームや長さをプラスできる人気の美容施術です。
目元の印象は、顔全体のイメージを大きく左右します。
そのため、マツエクはメイク時間の短縮やナチュラル美人を演出できる点で、多くの女性に選ばれています。
■ マツエクOKのクレンジング、実は落とし穴が…?
「マツエクをしている人はオイルフリーのジェルタイプを使いましょう」――このように言われることが多いですが、本当にそれがベストな選択なのでしょうか?
実際、市販されている「マツエクOK」と記載されたクレンジングの多くは、ジェルタイプです。しかし、このジェルタイプのクレンジングには“ある大きな弱点”があります。
それは、洗浄力が弱いという点です。
洗浄力が足りないと、メイク汚れがきちんと落ちにくく、ついゴシゴシと擦ってしまう……この物理的な摩擦が、まつ毛やマツエクに大きなダメージを与えることになるのです。
つまり、「オイルフリーだから安全」ではなく、「擦らなくて済む処方かどうか」こそが重要なのです。
この事実を知らずに、「マツエクOK」と書かれたジェルクレンジングを使い続けていると、逆にマツエクの寿命を縮めてしまう危険があります。
では、どうすればマツエクを長持ちさせながら、しっかりメイクも落とせるのでしょうか?
実は、「オイルタイプ」のクレンジングこそ、マツエクと相性が良いという最新の考え方が広がりつつあります。
この続きでは、なぜ「オイルタイプ」が実はマツエクに適しているのか、その理由を詳しく解説していきます!
マツエクOKクレンジングの真実

前述したように、「オイルフリー=マツエクに優しい」という考え方が広く浸透していますが、実はこの常識、根拠に乏しい“イメージ戦略”に過ぎないのです。
ここでは、なぜ「オイルフリー=正解」とは言えないのか?という点について、化粧品開発の視点から、より深く掘り下げて解説していきます。
■ マツエク用グルーの“正体”とは?
現在、私の手元にはマツエク専用のグルーがあります。主成分はブチルシアノアクリレート。他にも「エチルシアノアクリレート」などが使用されており、要するに、マツエク用グルーは「シアノアクリレート系」の接着剤です。
つまり、マツエクの接着剤の正体は、有機化合物の一種である「シアノアクリレート」。
ここで注目していただきたいのが、「グルーとオイルは相性が良い=だからオイルはNG」という説についてです。
一見もっともらしく聞こえますが、これは明らかな誤解なのです。
■ 「オイルに弱い」は本当?科学的に検証
物質には性質に応じた分類があります。水系/油系、有機/無機、極性/無極性、高分子/低分子などです。
もし「グルーがオイルと相性が良い」のであれば、グルーは「油系」ということになりますが、実際にはそうではありません。
「シアノアクリレート系接着剤」はあくまで有機化合物であり、一般的な化粧品に含まれる「油」とは性質が大きく異なります。
手元のグルーの説明書にも、「アセトンで溶解する」との記載があります。アセトンとは有機溶剤の一種で、確かにグルーを溶かします。
しかし、クレンジングに使われる「オイル」とアセトンはまったくの別物。分子構造も、肌への刺激性も、溶解力も全く異なります。
したがって、「オイル=グルーを溶かす」と決めつけるのは、科学的根拠のない都市伝説に過ぎません。
■ 実際、マツエクOKなオイルクレンジングも存在
例えば、ファンケルの「マイルドクレンジングオイル」は、しっかりと「マツエクOK」と記載されています。
もし「オイルが絶対NG」なのであれば、これほどの大手メーカーが、そのような製品を販売するでしょうか?
逆に、ネット上では「オイルはグルーを溶かす」「マツエクの天敵は石油系界面活性剤」といった情報が飛び交っていますが、実は、その“マツエクOK”とされるオイルフリーのクレンジングにこそ、石油系界面活性剤が多く使われているのです。
■ 成分表示から見える“意外な真実”
市販されている「マツエクOKクレンジング」の中身を見てみましょう。以下は、あるオイルフリーのリキッドクレンジングの上位成分です。
水、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、グリセリン
このクレンジングの洗浄力のカギは、「PEG系界面活性剤」にあります。これらは石油系成分で、肌にやさしいとは言えないものも含まれます。
化粧品では、オイルは比較的安全性が高く、多めに配合しても問題が少ない一方で、界面活性剤は肌刺激のリスクがあるため、高配合が難しいという制限があります。
つまり、クレンジング力で言えば、オイル配合の方が遥かに上。界面活性剤ベースのオイルフリータイプは、どうしても洗浄力が劣ってしまうのです。
■ 「マツエクOK=クレンジング力が弱い」という現実
世間で言われる「マツエクOK=オイルフリー」は、化粧品開発者の立場から見ると、「マツエクOK=クレンジング力が弱いクレンジング」という、非常に残念な構図に他なりません。
洗浄力が弱ければ、当然グルーにはダメージを与えにくく、マツエクも長持ちするかもしれません。しかしそれは、“メイクが落としきれていない代償”とも言えます。
「マツエクが長持ちする=良いクレンジング」ではなく、「マツエクも守れて、メイクもきちんと落とせるクレンジング」が本当の理想なのです。
一部メーカーが打ち出した「オイルフリー=安全」という戦略は、クレンジング力で大手に勝てない現実をカバーするためのマーケティング用語に過ぎません。
これを100%信じ込んでしまうことこそが、本当に危険なのです。
マツエクOKクレンジングは危険

前章でお伝えした通り、「マツエクOK=オイルフリー」という考え方には科学的根拠が乏しく、クレンジング力が弱いという致命的な問題を抱えています。
もちろん、コスメの選択はユーザーの自由です。ですから、オイルフリーの「マツエクOKクレンジング」を使用すること自体を否定するつもりはありません。
しかし、そのクレンジングを長期間使い続けた場合に起こりうるリスクについては、無視できないのです。
■ クレンジング力の弱さが引き起こす、肌への悪影響
繰り返しになりますが、「マツエクOK」とされるクレンジングの多くは、オイルフリーで界面活性剤ベースのものが中心です。これらは、メイク汚れをしっかり落とし切る力が弱いという特徴があります。
特に、マツエクをしている方の多くは「しっかりメイク派」なのではないでしょうか?
そういったしっかりメイクを、洗浄力の弱いクレンジングで落とそうとすると、当然ながらメイク汚れが肌に残りやすくなります。
残ったメイク汚れは酸化し、炎症やニキビ、くすみといった肌トラブルを引き起こす原因になります。
また、汚れが残っていると、スキンケアの浸透も妨げられるのです。
■ ついやってしまう「ゴシゴシ洗い」はNG
メイクが落ちないと、どうしても物理的な力でゴシゴシと擦ってしまいがちです。しかしこの行為こそ、肌にとって最大のダメージなのです。
摩擦は角層を削り、バリア機能を破壊し、赤みや乾燥、敏感肌の原因になります。マツエクを長持ちさせたいがために選んだクレンジングで、肌を傷めてしまっては本末転倒ですよね。
この点については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
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■ メイクの濃さによってはリスクが変わる
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。普段から「薄付きメイク」の方であれば、クレンジング力の弱いオイルフリーでも問題は起こりにくいでしょう。
ですが、アイライナーやマスカラ、コンシーラーなど、重ねるような「しっかりメイク」を日常的にしている方が、オイルフリーのマツエクOKクレンジングを使い続けるのは、肌トラブルのリスクを高める行為です。
■ 「美しさの持続」と「肌トラブルの回避」、どちらを選ぶ?
マツエクを長持ちさせることは、確かに見た目の美しさを保つために重要です。しかし、その代わりに肌トラブルを抱えてしまったら、見た目の印象も台無しです。
本当に大切なのは、「マツエクも肌も、どちらも美しくキープできるクレンジングを選ぶこと」ではないでしょうか?
だからこそ私は、「マツエクOKクレンジングは危険」と訴えたいのです。
マツエクOKのクレンジングは?

皮膚臨床薬理研究所「ラミナーゼ クレンジングバーム」
「ラミナーゼ クレンジングバーム」を開発したのが、皮膚臨床薬理研究所という会社です。
創業が1986年で、比較的歴史が浅いですから、皆様にはあまり馴染みがないかもしれません。
しかし、業界ではちょっとした有名会社です。
何故なら、会社自体の歴史は浅くとも、研究者の質が素晴らしく、研究者の中心は、日本トップの化粧品会社、資生堂出身の方々で、化粧品のプロ集団です。
ですから、界面化学という学問に裏付けされた確かな技術で、様々な機能性化粧品を開発しており、その一つがラミナーゼ クレンジングバームです。
「ラミナーゼ」は、私が好きなクリームタイプのクレンジングです。
オイルは配合されていますが、オイルクレンジングに比べ配合量は少なく、何より、クリームクレンジングはコクがあるため、マッサージしながらクレンジング出来る点、剤型が硬いため、クレンジング製剤が肌上で垂れ流れる事がなく、狙った箇所にピンポイントでクレンジング出来る点が、マツエクに最適です。
マツエクを少しでも長続きさせるためには、クレンジングを考えた方が良いのは事実。
しかしそれは、「オイルフリーを選ぶ」ではなく、クレンジング方法も含めて考える必要があるのです。
確かに、水と比べれば、オイルは「グルー」と馴染みが良く、「グルー」を軟化させやすいかもしれません。
しかしそれは、オイルフリーのリキッドクレンジングに配合されている界面活性剤でも同じです。
少しでもマツエクを長持ちさせるのであれば、マツエク箇所に集中的にクレンジング剤が触れることを避けること、マツエク箇所にゴシゴシと物理的な力を与えないことが重要。
このような意味で、配合成分的にも物性的(硬さ・性状)にも、クリームタイプのクレンジングはマツエクに最適だと言えるでしょう。
「ラミナーゼ」の一番の特徴は、「ラミナーゼ」に搭載されているラメラテクノロジーです。
最近、ボディソープのCMでもラメラという表現が盛んに使われていますから、皆さまもお聞きになったことがあるのではないでしょうか?
コスメにとってラメラは非常に重要なワードです。
詳細は、別途記事にしますが、このラメラテクノロジーによって、「ラミナーゼ クレンジングバーム」は、圧倒的なクレンジング力と、W洗顔不要の洗い上がりの良さを実現しました。
オルビス「クレンジングリキッド」

水に比べればオイルは「グルー」と馴染みが良く、「グルー」を軟化させやすいかもしれません。
ですから、クレンジング力に問題がないことが前提であれば、オイルフリーのリキッドクレンジングも選択肢として有りです。
「オイルフリーのリキッドクレンジング」であれば、オルビス以外、考えられません。
世のオイルフリーリキッドクレンジングは、全て「オルビス」の模倣品であり、「オルビス」を超えられないと私は考えています。
何故なら、オイルフリーを企業理念とする「オルビス」は、オイルフリーリキッドクレンジングのパイオニアであり、長年に渡って、「ポーラ研究所」が研究に研究を重ねて開発した一品だからです。
※オルビスはポーラのグループ会社です
「ポーラ研究所」という、日本でも有数のコスメ研究所が、長い年月をかけて研究した結果が、オルビス クレンジングリキッドです。
詳細は以下をご覧ください。
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おわりに
いかがでしょうか?
マツエクOKとされるクレンジング製品が増えている今、ユーザーの皆様は、その選択により一層の注意が必要です。
本記事では、化粧品開発者としての視点から、マツエクOKクレンジングの宣伝が持つ実際の意味と、それに伴うリスクについて考察しました。
オイルフリー製品が必ずしもマツエクに優しいわけではなく、実際にはオイル含有製品でもマツエクに適している場合があること、そして何よりもクレンジング製品の選択は、その成分と肌への影響を理解した上で行うべきであることをお伝えしました。
マツエクを長持ちさせたいという願いは美容を愛するすべての人に共通するものですが、そのためには正しい知識に基づいた製品選びが不可欠です。
この記事が、皆様の美容に対する理解を深め、より良い選択をする一助となれば幸いです。
美しいまつ毛を保ちながら、肌への優しさも忘れず、賢いクレンジング選びを心がけましょう!
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