

この記事で分かること
- 全く意味がない化粧品のフリー項目を、現役の化粧品開発者がランキング!
最近のコスメは特定成分を配合していない事を意味する〇〇フリーが増えてきました。
しかし、実はコレ、本当に意味のあるフリーはわずかで、例えば、10個のフリー等、フリーの数を稼ぐためのフリーが多すぎるのが実情です。
まさに意味のないフリー項目といえるでしょう。
この記事では現役の化粧品開発者の私が、意味のない化粧品のフリー項目をランキング形式で、本音暴露します!
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
なぜ〇〇フリーが多いのか?
近年のコスメでよく見かける「〇〇フリー」表記。
なぜこれほどまでに多いのでしょうか?
その理由はシンプルで、メーカーが「肌に優しいイメージを簡単に伝えられる」と考えているからです。
「10個のフリー」「7つの無添加」など、フリー項目の多さをアピールポイントにした化粧品を見かけたことがある方も多いでしょう。
〇〇フリーとは、「肌に悪影響を与える可能性がある〇〇を配合していない」という意味。
そのため、フリー項目が多いほど安全性が高いという印象を与えやすく、特に敏感肌向けコスメではフリー数を増やす傾向があります。
最重要ポイント 「フリー項目数が多い=肌に優しい」ではありません!
確かに、刺激の強い成分を配合しないことは肌への優しさにつながります。しかし現実には、意味のないフリー項目を大量に掲げるケースが多いのです。
大手化粧品メーカーは最低限のフリーは実施しますが、無意味なフリーは行わず、美容理論と処方技術で勝負します。
一方で、美容理論や技術で勝負できないメーカーほど、安易で低レベルな手法として〇〇フリーを多用しがちです。
もちろん、中には意味のあるフリーも存在します。
重要なのは「何をフリーにしているのか」という中身を見極めることです。
次章では、世の中のコスメでよく見かけるフリー項目の中から、化粧品開発者の視点で意味のないフリー項目ランキングをご紹介します。
よく見かけるフリー項目 |
---|
パラベン |
防腐剤 |
エタノール(アルコール) |
合成着色料 |
合成香料 |
界面活性剤(石油系界面活性剤) |
サルフェート |
鉱物油 |
シリコン |
紫外線吸収剤 |
pH調整剤 |
キレート剤 |
動物由来成分 |
化粧品開発のプロが考える「意味のないフリー項目」ランキング!
大前提
特定成分に肌が弱い方、過去に特定成分で肌トラブルを経験した方は、その成分がフリーのコスメを選びましょう。ここで紹介するのは、あくまで一般的な肌質の方に向けた「ほぼ意味がないフリー項目」です。
化粧品のパッケージや広告でよく見かける「〇〇フリー」という表示。
確かに、特定成分を配合していないことを示すことで、消費者に「肌に優しい」印象を与えます。しかし、その中には実は、ほとんど意味のないフリー表示も多数存在します。
今回は、基礎スキンケア品を対象に、化粧品開発の現場から見た「意味のないフリー項目」をランキング形式でお届けします。
順位 | フリー項目 | 概要 |
---|---|---|
1位 | pH調整剤フリー | 品質安定に不可欠。肌刺激もなく、ごく微量しか使われない。 |
2位 | 紫外線吸収剤フリー | 日焼け止めには必要だが、化粧水やクリームには無意味。 |
3位 | サルフェートフリー | 洗浄料では有効だが、基礎スキンケア品にはそもそも配合されない。 |
4位 | 防腐剤フリー | 代替成分の高配合でかえって肌刺激が増える可能性あり。 |
5位 | 界面活性剤(石油系)フリー | 石油系だから危険は誤解。安全性はイオン性で判断すべき。 |
6位 | 鉱物油フリー | 精製技術が進み、天然由来より安全な場合も多い。 |
7位 | 動物由来成分フリー | BSE問題後はほぼ植物由来に移行。ヴィーガン以外には当然の仕様。 |
■ 1位:pH調整剤フリー
pH調整剤は、化粧品の酸性・アルカリ性を安定させ、品質を守るために欠かせない成分です。
代表的なものにクエン酸やクエン酸Naがあり、これらはセットで配合することで効果を発揮します。
配合量はわずか0.1〜0.5%程度。肌刺激はほぼなく、防腐効果の安定にも関わります。
この成分を「フリー」として強調するのは、ほとんどの場合、フリー項目数を稼ぐための戦略にすぎません。
■ 2位:紫外線吸収剤フリー
紫外線吸収剤は日焼け止めに必須ですが、化粧水や乳液など基礎スキンケア品に入れる意味はまったくありません。
にもかかわらず「紫外線吸収剤フリー」と大きく書くのは、あたかも特別安全であるかのように見せる宣伝手法です。
日焼け止め以外では無意味なフリー項目です。
■ 3位:サルフェートフリー
サルフェートは硫酸塩系界面活性剤(例:ラウリル硫酸Na)で、洗浄力が強く刺激性があるため、シャンプーやボディソープでは避ける価値があります。
しかし、基礎スキンケア品ではもともと使われないため、わざわざ「フリー」と書く必要はありません。
■ 4位:防腐剤フリー
防腐剤は製品を腐らせないために重要で、適切な量であれば安全です。
防腐剤フリーにすると、代替成分を高配合しなければならず、それが逆に肌刺激になるケースもあります。
パラベンなどで肌トラブル経験がある人以外には、必ずしも有効ではありません。
■ 5位:界面活性剤(石油系)フリー
「石油系」というだけで危険視されることがありますが、実際には石油系でも安全性が高い成分は多く存在します。
特に、ノニオン界面活性剤は低刺激で安全性が高く、石油系=危険は誤解です。
■ 6位:鉱物油フリー
鉱物油はかつて不純物の問題がありましたが、現代では高度な精製技術により安全性が高く、天然由来オイルよりも肌への負担が少ない場合もあります。
「石油由来」というイメージで敬遠されがちですが、実際には非常に安定した優秀な原料です。
■ 7位:動物由来成分フリー
BSE問題以降、多くの原料が植物由来に置き換わっており、今では特別視する必要はありません。
ヴィーガンや動物愛護の観点からは重要ですが、一般的なスキンケアではほぼ当然の仕様です。
「フリー項目=安全」とは限りません。
重要なのは、本当に必要なフリーなのか、製品の特性に合っているのかを見極めること。
成分の性質や配合目的を理解すれば、広告のキャッチコピーに惑わされず、賢くコスメを選べます。
【まとめ】フリー表記に惑わされず「本質」で選ぶコスメ選びを
いかがだったでしょうか?
最近よく見かける「〇〇フリー」の化粧品。パッケージや広告で「7つの無添加」「10個のフリー」といった文句を見ると、つい「なんだか良さそう…」って思ってしまいますよね。
でも、今回の記事で紹介されたように、実はその多くが「意味のないフリー」であることが多いんです。
特に、「そもそも使われていない成分」をわざわざフリーと表示しているケースや、「本来必要な成分」までフリーにすることで、逆に肌への刺激リスクが増えてしまうこともあるんですね。
大切なのは、フリーの数ではなく、「なぜその成分が排除されているのか?」「そもそも必要な成分ではないのか?」といった中身を見る目を持つこと。
そして、フリー表記ばかりを武器にしているメーカーではなく、美容理論や処方技術をきちんと積み重ねているメーカーの製品を選ぶ意識がとても重要です。
もちろん、特定成分にアレルギーがある方や敏感肌の方は、その成分がフリーであることが命綱になることもあります。
でも「ただなんとなくフリーが多いから安心」という感覚は、ちょっと立ち止まって見直してみましょう。
コスメ選びに正解はありませんが、「なんとなく」ではなく「納得感」で選べるようになると、お肌との相性もグッと良くなるはずです。
この記事をきっかけに、「パッケージの言葉」ではなく「中身の処方」で判断できる、賢いコスメ選びができるようになれば嬉しいです。
あなたの肌が本当に求めているのは、“フリーの数”ではなく“確かな技術”です。

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません