最近、「マツエクOK」を宣伝するクレンジングが多くなってきました。
私は男性なので「マツエク」はしませんし、化粧品開発者としても正直、「マツエク」に興味がありませんが、最近、周りから「マツエクOKのクレンジング」について質問を受ける機会が増えてきました。
ですから、いろいろ調べてみたら、「危険!」とか「疑問?」に思うことがたくさん出てきましたので、今回、『マツエクの真実』と題しまして、化粧品開発者の私の考えを述べたいと思います。
マツエクとは?
「マツエク」とは、『まつ毛エクステンション』の略で、お肌直接ではなく、すでに生えているご自身のまつ毛1本1本に、人工毛を付けることで、まつ毛のボリュームや長さをアップさせる施術です。
これに関しては、私よりも皆さんの方が詳しいかもしれません。
目元で人の印象はガラッと変わりますから、マツエク人気は納得がいきます。
自身のまつ毛と人工毛をくっつける接着剤が『グルー』と言われるモノです。
接着剤でくっつけるんですね。知りませんでした。目に入ったら非常に危険ですから、施術はプロに任せた方がいいです。
「マツエク」をした場合、『専門のクレンジング』を使った方がいいようです。
それが『オイルフリー』のクレンジング。
「オイル」は「グルー」と馴染みが良いため、オイル配合のモノでクレンジングすると、「グルー」が剥がれ落ちやすく、マツエクが長続きしないようです。
ですから、マツエクOKクレンジングは、オイルフリーの『リキッドタイプ(ジェルタイプ)』が多く、オイル配合クレンジングは、『マツエクNG』です。
しかし、化粧品開発者の私から言わせれば、「オイルフリー=マツエクOK」・「オイル配合=マツエクNG」というのは、根拠がない、メーカー側が勝手に作り出した『虚像』であり、これを100%鵜呑みにすると非常に危険です。
マツエクOKクレンジングの真実
今、私の手元にマツエク用の『グルー』があります。
主成分は『ブチルシアノアクリレート』です。調べてみると、この他にも、「エチルシアノアクリレート」もあるようで、要するに、マツエク用のグルーは『シアノアクリレート系』の接着剤ということです。
マツエク用のグルーの正体は、「シアノアクリレート系」の『有機化合物』です。
※それ以外もあるようです
「マツエクOK=オイルフリー」の理由は、「グルーがオイルと相性が良いため」でしたが、これは間違いです。
物質(成分)にはその特性によって、様々な分け方があります。水系、油系、有機、無機、極性油、無極性油、低分子、高分子など。
「グルーとオイルの相性が良い」のであれば、グルーはオイル系になりますが、グルーの主成分である「シアノアクリレート系」は、『有機化合物』であって、コスメ(クレンジング)に配合のオイルと相性が良く、なじみやすいとは到底思えません。
実際、私の手元にあるグルーの説明書を見ると、「グルーはアセトンに溶解する」との記載があります。「アセトン」は『有機溶剤』ですから当然、グルーを溶解する性質があります。
しかし、有機溶剤である『アセトン』と、クレンジングに配合される『オイル』は、分子量も肌刺激性も違う、全くの別物です。クレンジングに配合の「オイル」に、「アセトン」程の溶解性は到底ありませんし、両成分の溶解性には天と地ほどの差があります。
ですから、オイルにはグルーを軟化させる性質はなく、『オイルフリー=マツエクOKは大きな間違い』です。
オイルクレンジングの名品、「ファンケル マイルドクレンジングオイル」も、『マツエクOK』となっています。
本当に「オイル=マツエクNG」なら、ファンケル程の会社が間違いを起こすと思いますか?
無知なブログでは、「グルー(接着剤)はオイルに弱いため、オイルフリーが鉄則」とか、「マツエクの1番の天敵ともいえる石油系界面活性剤(オイル)は使用していない」とか言っていますが、マツエクOKと言われるオイルフリーのクレンジングには、「石油系界面活性剤」がたくさん配合されている事実をご存知ないのでしょうか?
このようなブログを運営する人たちは、もっと勉強した方がいいですね。
マツエクOKのクレンジングを手に入れました。全成分の上位5成分は以下です。
<マツエクOKクレンジング全成分(上位5成分)>
水、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、グリセリン
このクレンジングは、『オイルフリー』のリキッドクレンジングです。クレンジング力の源は、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル・イソステアリン酸PEG-20グリセリル・トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルといった、『界面活性剤(親水性)』です。
※PEGと表記されるものは、石油系です
私から言わせれば、オイルよりも界面活性剤の方が、グルーと相性が良くて軟化しやすいと思うのですが。
コスメの場合、オイルは安全性が高く、クレンジングに高配合可能ですが、界面活性剤は、安全性の観点から多量配合が出来ません。
成分単体で見ると、明らかに、界面活性剤の方が「汚れ」や「有機化合物(グルー)」と馴染みが良いですが、先に挙げた理由で、界面活性剤には、コスメ(クレンジング)への配合量に限りがあります。
ですから、界面活性剤で汚れを落とすオイルフリーのリキッドタイプのクレンジングは、オイル配合のオイルクレンジングに比べて、『クレンジング力』が劣ります。
※界面活性剤が多量配合出来ないため
世の中の「マツエクOK=オイルフリーのクレンジング」は、化粧品開発者の私から言わせれば、『マツエクOK=クレンジング力が劣るクレンジング』と言っているにすぎません。
クレンジング力が劣りますから、グルーを落とさない、グルーを軟化させないため、マツエクが長続きするということですね。
「マツエクOK」なんてのは、クレンジングの品質では大手メーカーに到底敵わないと悟った一部メーカーが、苦肉の策として打ち出した、『虚像の宣伝文句』であり、根拠は全くありません。さらに、これを100%鵜呑みにすると、非常に危険です!
マツエクOKクレンジングは危険
コスメの使用はユーザーの自由ですから、世のマツエクOKクレンジング(オイルフリー)を使うことは否定しません。ただし、それを使い続けることで起こり得る『肌トラブル』は無視出来ません。
「マツエクOKクレンジング」は、先程もご説明したように『クレンジング力が劣るクレンジング』ということです。
ですから、マツエクOKのクレンジングを使うことは、クレンジング力が劣るクレンジングを使い続けるということです。
マツエクをする人は、美意識が高く、「しっかりメイク」の人が多いのではないでしょうか?
「しっかりメイク」の人が、クレンジング力が劣るクレンジングを使えば、当然、『メイク汚れが完全に落ちない』という状況に直面するでしょう。
メイク汚れが肌に居残った状態だと、メイク汚れが酸化して炎症の恐れがありますし、その後の基礎スキンケアの浸透を妨げます。
また、メイク汚れがなかなか落ちないので、ゴシゴシと『物理的な力』で落とすようになるでしょう。ゴシゴシと物理的な力で落とすことは、肌に大きなダメージを与えますから、最もやってはいけないクレンジング行為です。
<クレンジングが原因で目が小さくなる!>
マツエクをしている人でも、普段、「薄付きメイク」であれば、クレンジング力が劣るオイルフリーのマツエクOKクレンジングでも問題ありません。
しかし、「しっかりメイク」の人が、マツエクOKクレンジングを使った場合、その低いクレンジングゆえに、様々な肌トラブルの恐れがあります。
「美しさの演出」・「美しさの維持」のために、マツエクを長続きさせることが最優先でしょうか?
これが、「マツエクOKクレンジング=危険」と私が訴える一番の理由です。
マツエクOKのクレンジングは?
皮膚臨床薬理研究所「ラミナーゼ クレンジングバーム」
「ラミナーゼ クレンジングバーム」を開発したのが、『皮膚臨床薬理研究所』という会社です。創業が1986年で、比較的歴史が浅いですから、皆様にはあまり馴染みがないかもしれません。
しかし、業界ではちょっとした有名会社です。
何故なら、会社自体の歴史は浅くとも、研究者の質が素晴らしく、研究者の中心は、日本トップの化粧品会社、『資生堂』出身の方々で、化粧品のプロ集団です。
ですから、『界面化学』という学問に裏付けされた確かな技術で、様々な機能性化粧品を開発しており、その一つが『ラミナーゼ クレンジングバーム』です。
「ラミナーゼ」は、私が好きな『クリームタイプ』のクレンジングです。オイルは配合されていますが、オイルクレンジングに比べ配合量は少なく、何より、クリームクレンジングはコクがあるため、マッサージしながらクレンジング出来る点、剤型が硬いため、クレンジング製剤が肌上で垂れ流れる事がなく、狙った箇所にピンポイントでクレンジング出来る点が、『マツエクに最適』だと思います。
マツエクを少しでも長続きさせるためには、クレンジングを考えた方が良いのは事実。しかしそれは、「オイルフリーを選ぶ」ではなく、クレンジング方法も含めて考える必要があります。
確かに、『水』と比べれば、『オイル』は「グルー」と馴染みが良く、「グルー」を軟化させやすいかもしれません。しかしそれは、オイルフリーのリキッドクレンジングに配合されている『界面活性剤』でも同じです。
少しでもマツエクを長持ちさせるのであれば、マツエク箇所に集中的にクレンジング剤が触れることを避けること、マツエク箇所にゴシゴシと物理的な力を与えないことが重要です。
このような意味で、配合成分的にも物性的(硬さ・性状)にも、『クリームタイプのクレンジング』はマツエクに最適だと私は思います。
「ラミナーゼ」の一番の特徴は、「ラミナーゼ」に搭載されている『ラメラテクノロジー』です。
最近、ボディソープのCMでも『ラメラ』という表現が盛んに使われていますから、皆さまもお聞きになったことがあるのではないでしょうか?
コスメにとって『ラメラ』は非常に重要なワードです。詳細は、別途記事にしますが、この『ラメラテクノロジー』によって、「ラミナーゼ クレンジングバーム」は、圧倒的な『クレンジング力』と、W洗顔不要の『洗い上がりの良さ』を実現しました。
「ラミナーゼ」の詳細は、以下記事もご覧ください。
<ラメラテクノロジー搭載のクレンジング「ラミナーゼ」>

オルビス「クレンジングリキッド」
『水』に比べれば『オイル』は「グルー」と馴染みが良く、「グルー」を軟化させやすいかもしれません。
ですから、クレンジング力に問題がないことが前提であれば、オイルフリーの『リキッドクレンジング』も選択肢として有りだと思います。
「オイルフリーのリキッドクレンジング」であれば、『オルビス』以外、考えられません。世のオイルフリーリキッドクレンジングは、全て「オルビス」の模倣品であり、「オルビス」を超えられないと私は考えています。
何故なら、オイルフリーを企業理念とする「オルビス」は、オイルフリーリキッドクレンジングの『パイオニア』であり、長年に渡って、「ポーラ研究所」が研究に研究を重ねて開発した一品だからです。
※オルビスはポーラのグループ会社です
「ポーラ研究所」という、日本でも有数のコスメ研究所が、長い年月をかけて研究した結果が、『オルビス クレンジングリキッド』です。
おわりに
いかがでしょうか?
人の印象をガラッと変えられるだけの「マツエク」は、一美容法として、今の世には無くてはならない存在です。
しかし、世のマツエククレンジングに対する認識は、一部メーカーが作り出した『虚像』であり、「マツエクOK=オイルフリー」という虚像を100%鵜呑みにすると、様々な『肌トラブル』を引き起こす可能性があります。
もし、これら誤った情報で何かしらの肌トラブルを抱えてしまったら、マツエク自体を楽しめません。
マツエクを楽しむためにも、正しい知識でクレンジングをお選びください。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません