化粧品に含まれるPEG(ポリエチレングリコール)は、本当に私たちの肌に安全なのでしょうか?
この記事では、化粧品開発者の視点から、PEGの役割と安全性について詳しく解説しています。
PEGは保湿効果やテクスチャーの改善に貢献する一方で、石油由来の成分であるため、ナチュラルやオーガニック志向の方々には懸念材料となっています。さらに、PEGフリーコスメの選び方や注意点にも触れており、コスメ選びにおける新たな視点を提供しています。
この記事を通じて、化粧品の成分に対する理解を深め、自分に合った製品選びの一助となることでしょう。
本記事の内容
- PEG含有コスメの安全性とその効果、現役の化粧品開発者が解説
PEGとは?
PEGというのはポリエチレングリコールの略で、様々なモノに含まれ、様々な産業に利用される、我々の生活に無くてはならない成分です。
コスメには、PEG(ペグ)の単体、もしくは、PEGを官能基の一部として導入した誘導体として配合されます。PEG無配合のコスメを探すのが難しいくらい、当たり前のように使われる成分です。
次項では、「単体」、及び「誘導体」として用いられるPEGの、コスメにおける役割について詳しくご説明します。
単体としてのPEG
PEGは水に簡単に溶ける成分です(分子量による)。ですから、水を含む、化粧水、乳液、クリームなどの基礎スキンケアに良く配合されます。
全成分で、PEF-10やPEG-20、PEG-100などと表示され、10や20、100と言うのは重合度を表し、数字が大きいほど、分子量が大きくなります。
分子量が大きくなるにつれ、液体-半固形-固形と、性状が変化します。
PEGは特に、化粧水で効果を発揮します。
化粧水には基本、「オイル」が配合されていませんから、テクスチャーに変化を与える事が難しいです。そこで、分子量の異なるPEGを複数配合する事で、テクスチャーに変化を与え、テクスチャーの幅を広げるわけです。
また、水と馴染みが良いため、空気中の水分を取り込むことが可能で、保湿効果も期待できます。
このように、PEGを配合すれば、保湿効果も期待出来ますし、テクスチャーに特徴を持たせることが出来るため、コスメ(特に化粧水)にはなくてはならない成分です。
誘導体としてのPEG
PEGは単体としてだけでなく、PEGを官能基の一部として導入した誘導体としても用いられます。コスメにおいては、こちらの方が使用頻度が高いと思います。
全成分では、PEG-20水添ヒマシ油や、ステアリン酸PEG-25のように表示され、これらはコスメにとっての必須成分、界面活性剤です。
界面活性剤は、洗浄や分散、乳化などの特異な作用を持ち、あらゆる産業に欠かすことができない成分で、コスメでは主に、洗浄(クレンジング)と乳化のために配合されます。
界面活性剤は一つの分子内に、水と馴染みがいい「親水部分」と、油と馴染みがいい「親油部分」を併せ持つ
PEGは水と馴染みがいいですから、界面活性剤の親水部分(親水基)として大変優秀で、PEG系界面活性剤として、コスメに配合されます。
PEG-〇〇水添ヒマシ油の、数字が大きいほど、PEGの重合度が高いという事であり、水に馴染みやすい(専門的にはHLBが高い)界面活性剤になります。
PEG系の界面活性剤は、洗浄力(クレンジング力)、乳化力、可溶化力、いずれも大変優秀ですから、コスメにとって欠かす事が出来ません。
PEG配合コスメは危険?
コスメに配合されるPEGは、石油由来がほとんどですが、だからと言って危険ではないです。PEGは、化粧品には古くから配合されている成分で、十分すぎるほどの実績があります。
勿論、お肌に合う合わないはありますが、PEG成分に対してこれまで特段の肌トラブルがなければ、心配する必要はありません。
ただし、世の中にはPEGフリーコスメは存在し、PEGフリーが一つの宣伝文句になっています。これは、PEGが危険だからではなく、石油由来成分のため、ナチュラル・オーガニックコスメにみられるフリー項目です。
ナチュラル・オーガニックコスメで、石油由来成分フリーや石油系界面活性剤フリーの場合、石油由来のPEG系界面活性剤は配合されません。
ですから、PEGフリーコスメに興味を持たれたのであれば、ナチュラル・オーガニック系にPEGフリーコスメは多く存在します
。
PEGフリーコスメの注意点
一般的にPEGは石油由来成分です。ですから、「石油系成分フリー」や「石油系界面活性剤フリー」のコスメにはPEGは配合されていません。
しかし注意すべきは、石油系界面活性剤フリーという表現。
例えば、界面活性剤であるステアリン酸PEG-25は、植物由来の「ステアリン酸」と石油由来の「PEG」から構成されています。
PEGが使われていますから、これは石油系界面活性剤に該当するというのが一般的な考えです。
しかし、半分近く、植物由来の「ステアリン酸」が含まれているという理由で、「ステアリン酸PEG-25」を石油由来と考えず、これを配合していても石油系界面活性剤フリーと宣伝する悪質なコスメが存在するのです。
大手メーカーであれば全く心配ありませんが、中小メーカーコスメの「石油系界面活性剤フリー」の表現には、十分ご注意ください。
私自身は、コスメにおけるPEGの安全性に全く心配していませんが、次項では、PEGフリーコスメをご紹介したいと思います。
ETVOS バイタライジング
ETVOS バイタライジングラインは、石油系界面活性剤が配合されておらず、PEGフリーです。
この商品は、結果としてPEGフリーになっただけで、その最大の特徴は別のところにあります。
ETVOS バイタライジングの最大の特徴は、
幹細胞はヒト由来も存在しますが、ヒト由来は安全性の懸念があります。詳細は以下をご覧ください。
ですから私は、幹細胞であれば植物由来をおすすめしますし、ETVOS バイタライジングに配合の幹細胞エキスは、幹細胞で有名なMibelle社製(スイス)ですから、品質は非常に高いと思います。
PEGフリーコスメと聞くと、「〇〇を除く、〇〇を配合しない」という、後ろ向きなコスメのイメージが強いですが、ETVOS バイタライジングにとってPEGフリーは、当たり前の機能であって、「ダブルの植物幹細胞エキス」と「ヒト型セラミド」に真の特徴があります。
ですから、PEGフリーに満足せず、それ以上の技術(特徴)にこだわったETVOS バイタライジングラインは、PEGフリー分野だけでなく、幹細胞分野・アンチエイジング分野においても存在感を放っていると言えるでしょう。
ETVOSは「シャンプー」「トリートメント」もPEGフリーです。
HANAオーガニック
PEGは石油由来成分ですから、石油由来成分を極力配合しない、ナチュラル・オーガニック系分野にPEGフリーコスメは多いです。
※植物由来のPEGも誕生しました。
ナチュラルコスメとして有名なHANAオーガニックは、石油由来成分が一切配合されていませんから、正真正銘のPEGフリーコスメです。
PEGやPEG系の界面活性剤は非常に優秀な成分ですから、これらをフリーにすると品質へ影響します。
具体的には、使っている途中で分離したり、テクスチャーが重く、後肌がべたつく傾向にあったりと、安定性とテクスチャーが悪くなるのです。
しかし、HANAオーガニックはPEGフリーにもかかわらず、通常のコスメ同等の品質ですから、PEGフリーコスメは勿論、ナチュラル・オーガニック系コスメとしても大変優秀だと思います。
しかもHANAオーガニックは、HPで、配合成分すべての「由来」と「原産国」を公開していますから、これは品質に自信がある証拠と言えるでしょう。
おわりに
いかがでしょうか?
コロナワクチンの期待が高まる一方、アナフィラキシーの問題も心配です。
その原因の一つに、PEG配合コスメが挙げられていますが、あくまでコスメにおけるPEGに関しては、危険視する必要はないと思います。
一方で、PEGは石油由来がほとんどで、石油系フリーを特徴とする、ナチュラル・オーガニック系コスメに、PEGフリーコスメが充実しています。
是非、ご自身のコスメ選びの参考にして頂ければと思います。
PEGフリーコスメ「ETVOS」
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません