

この記事で分かること
- ナチュラルコスメ&オーガニックコスメ、実は、肌に優しいとは言えない真実
ナチュラルコスメやオーガニックコスメが人気ですが、その背景に、これらコスメが持つ、安全性の高さ&肌への優しさイメージがあります。
しかし本当に、これらコスメは肌に優しいのでしょうか?
この記事では、20年以上の経験を持つ現役の化粧品開発者が、ナチュラル・オーガニックコスメの安全性&肌への優しさについて深く掘り下げます。
ナチュラル・オーガニックと称されるコスメの中には、実は肌に刺激を与える成分が含まれていることもあります。
また、ナチュラル・オーガニックの定義はメーカーによって異なり、その基準は一様ではない!(ここ、ものすごく重要です)
この記事を通じて、ナチュラル・オーガニックコスメの肌への優しさに関する誤解を解き明かし、皆様が賢く選択できるような知識を提供します。
化粧品開発のプロの視点から、ナチュラル・オーガニックコスメの選び方についての重要なポイントを学んでください!
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
ナチュラル・オーガニックコスメ 肌に優しいは嘘!:定義は?
結論から言うと、
最重要ポイント
「ナチュラル・オーガニックコスメは肌に優しい」は間違い・嘘です!
これをしっかり理解して頂くためには、「ナチュラル・オーガニックコスメとは何?」を知る必要があります。
何故なら、
ナチュラル・オーガニックコスメには明確な決まり・定義がない!
現在の化粧品業界では、石油系原料や、パラベンに代表される人工的に合成された化学物質を極力配合しない、自然(植物)由来の原料の占める割合が高いコスメをナチュラルコスメ・オーガニックコスメと言っています。
この文言の中の、自然由来の原料というのがやっかいで、どのような条件を満たせば自然由来の原料と言えるのか?という決まりが存在せず、各化粧品メーカーの判断に委ねられているのが現状です。
つまり、各化粧品メーカーが、このような条件を満たせば自然由来の原料である、という独自のルールを設定しているのが実情なのです。
独自ルールですので、メーカーによって様々。
これはつまり、同じ原料であっても、自然由来の原料と考えるメーカーもあれば、そうでないと考えるメーカーもあるということ。
このような現状ですから、ナチュラル・オーガニックコスメを選ぶ際は、「何をもってナチュラル・オーガニックと言うのか?」、化粧品メーカーの考え方を知ることが最も重要なのです。
現在、ナチュラル・オーガニックコスメは大きく3つに分かれます。
ポイント
- 第三機関が定める認証系コスメ
- 自社基準に基づくナチュラル・オーガニックコスメ
- 自然由来、オーガニック由来原料を配合した指数表示系コスメ
では、順にご説明いたします。
■ 第三機関が定める認証系コスメ
認証系コスメとは、化粧品メーカーとは無関係な第三機関が定めたナチュラル・オーガニックのルールに沿って製造された化粧品です。
自社都合の基準は存在せず、あくまで第三者の厳格な基準に従うため、高い客観性と信頼性があります。
中でも有名なのがCOSMOS(コスモス)認証です。例として「コスモス オーガニック認証」では、以下のような条件が求められます。
条件 | 基準 |
---|---|
自然由来原料比率 | 95〜100% |
有機農法・非遺伝子組換え原料 | 自然由来原料の95〜100% |
完成品の有機原料比率 | 最低20% |
植物原料以外の成分使用量 | 内容量の5%以下 |
全ての基準をクリアした製品だけがコスモス認証マークを表示できます。
メリットは信頼性の高さですが、製造や原料にこだわる分、価格が高くなる傾向があります。
そのため「テクスチャーに優れた認証系コスメは少ない」という現実もあります。
■ 自社基準によるナチュラル・オーガニックコスメ
認証系コスメは厳しいルールゆえコストが高く、使用感や安定性が一般的なコスメより劣る場合があります。
そこで登場したのが自社基準によるナチュラル・オーガニックコスメです。
代表例はTHREEで、発売当初から「天然由来率〇〇%」と自社の定義を公開していました。ユーザーはその基準に納得できれば選び、納得できなければ選ばない、という選択権を持てます。
自社基準型は、認証系よりもコストや使用感、安定性を確保しやすく、近年増加傾向にあります。
中でもHANAオーガニックは非常に厳しい基準を採用し、全成分の由来と原産国まで公開しています。
これはユーザーにとって大きなメリットです。
しかもHANAオーガニックは、全ての配合成分の「由来」と「原産国」を公開しています。
正直、メーカー側が基準を決められる自社基準系コスメは、第3機関が定める基準に則った認証系コスメに比べ、ナチュラル・オーガニック度や納得性という点で劣っていますが、HANAオーガニックはある意味、認証コスメよりも、ナチュラル・オーガニック度が高く、納得性があると言えるでしょう。
HANAオーガニックについては、こちらの記事を参考にしてください。
■ 国際基準に基づく指数表示コスメ
日本はナチュラル・オーガニック分野で国際的に遅れを取っていました。
そこで、日本化粧品工業連合会を中心に、国際基準であるISO 16128に準拠した制度が作られました。
この基準に基づき、自然由来・オーガニック由来原料の割合を数値(指数)で表示するのが指数表示コスメです。
ユーザーは成分の由来率を客観的に確認でき、より透明性の高い選択が可能になります。
ISO 16128に基づく指数表示コスメについては、こちらの記事を参考にしてください。
ナチュラル・オーガニックコスメ 肌に優しいは嘘!:真実は?
冒頭でも申し上げましたが、ナチュラル・オーガニックコスメは肌に優しいという風潮がありますが、これは誤解で間違いです。
ナチュラル・オーガニックコスメが肌に優しいというのは、あくまでイメージであって真実ではありません。
ポイント
ナチュラル・オーガニックだからといって肌に優しいというわけではない!
化粧品にとって一番重要な事は安全性です。
これは、ナチュラル・オーガニック関係なく、化粧品である以上、大前提として安全でなければなりません。
安全性の大小に、ナチュラル・オーガニックかそうでないかは、全くの無関係です。
ナチュラル・オーガニックコスメの場合、自然由来だからこそ、不純物(夾雑物)が存在するのも事実で、これが肌にどのような影響があるか、不明な点が多く危険、という考えもあります。
例えば、漆は天然物ですが、かぶれる場合があるように、ナチュラル・オーガニックだからと言って、肌に優しいと考えるのは危険です。
化粧品の安全性に関してはこちらの記事を参考にしてください。
おわりに
いかがでしょうか?
この記事を通じて、ナチュラル・オーガニックコスメが必ずしも肌に優しいとは限らないということをお伝えいたしました。
ナチュラル・オーガニックコスメの定義はメーカーによって異なり、自然由来の原料が含まれていても、それが肌に優しいとは限らないのです。
化粧品の安全性は、ナチュラルかどうかに関わらず、最も重要な要素であり、消費者はメーカーの基準や成分を理解し、自分の肌に合った製品を選ぶ必要があります。
ナチュラル・オーガニックコスメの選択に際しては、メーカーの基準や成分に注意を払い、自分の肌に合った製品を選ぶことが重要です。
この記事が、皆様のナチュラル・オーガニックコスメ選びの一助となれば幸いです。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません