
日本のコスメは安心・安全で、韓国コスメは危険!!
このような風潮が強いですが、これはあくまで『イメージ』であって真実ではありません。
この記事では、化粧品開発者の私がプロの視点で、韓国コスメは本当に危険なのか?について解説いたします。
韓国コスメ
まず、『韓国コスメの特長』についてご説明します。
韓国コスメの代表格と言えば『BBクリーム』です。十数年前、韓流ブームとともに日本に上陸し、ユーザーから圧倒的な支持を得て、今や定番アイテムとなりました。
スキンフード、3CE、ARITAUM、The FACE SHOP、MISSHAなど、人気の韓国コスメブランドはたくさんあります。
これら韓国コスメは、値段もお手頃で、パッケージデザインもおしゃれで、何より、韓国の女性は綺麗な方が多いので、韓国コスメを使えば自分も美肌になれるという期待感から、ユーザーに支持されているのでしょう。
私は化粧品開発者として、数多くの韓国コスメを触り研究していました。ユーザーに支持されるだけの、興味深いコスメはたくさんありました。
様々な韓国コスメを触った結果、化粧水や乳液、クリームといった『王道アイテム』は、日本の方が圧倒的に優れていると思います。しかし、韓国コスメは、日本のコスメがあまり着目しない成分に、いち早く着目し、その良さを見出し、製品にする能力は素晴しいです。
BBクリームほどのヒットにはなりませんでしたが、『カタツムリエキス』や『蛇毒(シンエイク)』が、まさに韓国コスメの特徴を物語っています。
日本のコスメではなかなか味わえない、『斬新で珍しい成分の効果』を体験できる、これが韓国コスメの一番の特徴です。
ただし、「なかなか味わえない、斬新で珍しい成分」ということは、『成分の安全性』を無視出来ません。
「斬新で珍しい成分」を特徴とする韓国コスメは、『安全』ではなく、『危険』なのでしょうか?
韓国コスメは危険?
「韓国コスメは危険?」を議論するには、『化粧品の安全性』について説明する必要があります。これは非常に重要な事です。
化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう
これが『化粧品の定義』です。薬機法第2条第3項(旧薬事法)に定められています。
ここで重要な事は、化粧品は、『人体に対する作用が緩和なもの』であり、医薬品のように『強い作用(効果)』と、それに伴う『副作用』はあってはなりません。
医薬部外品も同様で、医薬部外品とは作用が緩和なモノと、薬機法に明確に記載されています。
だからこそ、化粧品(医薬部外品含む)にとって一番重要なことは、「効果」でも「価格」でも「ブランド」でも「デザイン」でもなく、『安全性(緩和な作用)』なのです。
『安全である事』が、化粧品(医薬部外品含む)の大前提です。
これは、日本で発売されている化粧品であれば、日本ブランドだろうが韓国ブランドだろうが欧米ブランドだろうが関係なく、『安全である事が大前提』という考えが、全ての化粧品に適応されます。
ですから、(日本で発売されている)韓国コスメが危険、という考えはそもそも間違いであり、世が作り出した『イメージ』に過ぎません。
日本のコスメであっても、「カネボウの白斑問題」や、「悠香の茶のしずく石鹸」のように、絶対にあってはならない安全性トラブルが実際に起こっている事を忘れてはいけない!
ただし、コスメに対し100%安全だと保証する事は禁止されていますから、ここで強調したいのは、
韓国コスメだからと言って安易に危険と考えるのは間違い!
という事です。
そうは言っても、世の中は『韓国コスメは危険で、日本のコスメは安心・安全』という風潮が強いのは事実。
何故、『韓国コスメは危険』という風潮が強いのか?
次項ではその理由とともに、韓国コスメで失敗しないための注意点についてご説明します。
韓国コスメで失敗しないための注意点
韓国コスメで失敗しないための注意点は以下です。
1.コスメの安全性基準はメーカーの自社基準だと知る事
2.大手メーカー(ブランド)を選ぶ事
3.日本で発売されているモノを選ぶ事
詳しくご説明します。
安全性基準はメーカーの自社基準だと知る事
安全である事が大前提の化粧品なのに、「韓国コスメは危険で日本のコスメは安心・安全」という風潮が強い一番の理由は、化粧品の『安全性基準』が、国が定める『統一基準』ではなく、化粧品メーカーが定める『自社基準』だからだと私は考えています。
皆ざまご存じだったでしょうか?
国は、事細かに安全性に関する基準を定めていません。国は、配合成分などの安全性基準の大枠を定め、化粧品メーカーが細かく、『各社独自の安全性基準』を定めています。
ですから、「資生堂」・「カネボウ」・「コーセー」・「ポーラ」・「ファンケル」など、メーカーが違えば、当然、安全性基準は違いますし、場合によっては、「ポーラ・オルビス・ディセンシア(ディセンシアはポーラ・オルビスグループ)」や「ファンケル・アテニア(アテニアはファンケルグループ)」、「コーセー・アルビオン(アルビオンはコーセーグループ)」など、同じグループ間でも、安全性基準が違う可能性はあります。
何故、国が定める『統一基準』ではなく、化粧品メーカーの『自社基準』かというと、それには、2001年の『全成分表示制度』の導入が大きく関わっています。
2001年、化粧品に『全成分表示制度』が導入されました。背景には、「ユーザーへ必要な情報(全成分)を提供したうえで、ユーザーニーズの多様化に対応し、より多くの選択を可能にするため」と言われていますが、いわゆる『規制緩和』というやつです。
それまでは、化粧品に配合出来る原料(成分)には制限がありましたが、様々な原料(新規原料)を化粧品に配合出来るよう規制を緩和したんです。
そして、規制緩和する代わりに、配合成分の全てをユーザーに公開するとともに(全成分表示)、化粧品に関するトラブルは全て化粧品メーカーが責任を負うことになりました。
規制緩和(全成分表示制度の導入)によって、化粧品メーカーは、これまでにない製剤の開発が可能になりましたし、原料メーカーも自分達の原料が売れる、ユーザーにとっても、コスメの選択肢が増えますから、この規制緩和はみんなにとって『有益』だったんですね。
全成分表示制度が導入される2001年以前は、国が定める『化粧品原料基準』で定められた原料のみ、化粧品に配合出来ました。
当時は、「化粧品原料基準」に記載がない、『新規原料』を化粧品に配合するには、『9項目試験』と呼ばれる厳しい安全性試験をクリアする必要がありました。
※9項目試験:急性毒性、皮膚一次刺激性、連続皮膚刺激性、感作性、光毒性、光感作性、眼刺激性、変異原性、ヒトパッチ
全成分表示制度の導入(規制緩和)とともに、『9項目』の必要性はなくなり、各メーカーの『企業責任』のもと、安全性を判断するようになりました。
しかし、必要性はなくなったと言っても、企業責任のもと、安全性を判断する必要があるため、安全性を重視する化粧品メーカーは、原料メーカーに『9項目』の提出を求めるケースはありますし、「9項目が揃わない原料は配合しない」という姿勢の化粧品メーカーもあります。
さらに、「化粧品メーカーが自社で不足部分のデータを取得する」ケースもあれば、「今ある安全性データから総合的に判断する」ケースもあるのです。
あくまで私の経験上のお話ですが、総じて、日本ブランドの安全性基準は、韓国ブランドに比べ厳しい、言い換えると、韓国コスメの安全性基準は、日本ブランドに比べれば緩い傾向にあると思います。
これが、韓国コスメは危険というイメージが強い理由の一つだと考えています。
ただし、
安全性基準が緩い=危険、ではない!
特に日本の大手メーカーは、安全性に関してものすごく慎重ですから(安全性基準が厳しい)、珍しい成分は配合したがりません。
これは、よく言えば、安全性を最優先にユーザーのお肌のことを考えての結果、ですが、安全性トラブルに恐れをなして、勝負した品質のコスメを発売できないとも言えます。
韓国コスメは、日本のコスメがあまり着目しない成分(原料)に、いち早く着目し、その良さを見出し、製品にするスピードが速い。日本のコスメではなかなか味わえない、『珍しい成分(原料)』の効果を体験できるのが、韓国コスメの特徴の一つです。カタツムリエキスや蛇毒(シンエイク)がまさにそれです。
勿論、珍しい成分と言っても、薬機法の及ぶ範疇ですから、恐ろしく危険な成分ではありません。
実際、安全性基準が厳しすぎて、本当に良いモノを、ユーザーが望むモノを商品化出来ないというケースを、私は何度も経験しています。
日本のコスメも、韓国コスメのような大胆さが、もう少しあってもいいと思います。
以上のように、安全性基準はメーカーの『自社基準』であり、韓国コスメは、日本のコスメに比べてその基準が緩く、大胆に成分を配合してくるため、「韓国コスメは危険?日本のコスメは安全?」という『風潮、イメージ』が生まれたのでしょう。
そして、韓国コスメを選ぶうえで、コスメの安全性基準はメーカーの自社基準だと知る事は非常に重要な事なので、是非、覚えておいてください。
大手メーカーを選ぶ事
『このコスメは安全です!』
このような、コスメの100%の安全性の保証は禁止されています。
ですから、安全だ!と宣伝するコスメは注意した方がいい。
そして、やはり、韓国コスメであっても大手メーカー(ブランド)のモノを選ぶべきです。
先ほども述べた通り、化粧品の安全性基準はメーカーの『自社基準』。
大手であればあるほど、安全性基準は厳しい傾向にあります。
「日本のコスメは安全で韓国コスメは危険」という風潮はありますが、そもそも論として、日本のコスメであっても、インフルエンサー等の個人や中小メーカーのモノは、安全性に関する知識・技術・認識が低いですから、日本製だからと言って安心・安全と考えるのは無理があります。
韓国コスメの中でも、スキンフード、3CE、ARITAUM、The FACE SHOP、MISSHA等の『大手ブランド』であれば、日本の個人や中小メーカーのコスメなんかよりは、よっぽど安心して使えると私は思っています。
何故なら、100%安全だと断言は出来ないものの、大手であれば日本・韓国関係なく、コスメの安全性を評価する高度な技術を有しているからです。
そして、その技術によって得られた知見を、『自社の安全性基準』に反映させているため、全てとは言いませんが、大手メーカー(ブランド)のコスメであれば、日本・韓国関係なく、安心して使えると思います。
日本で発売されているコスメを選ぶ事
冒頭でも申し上げた、薬機法第2条第3項(旧薬事法)の化粧品の定義、
化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう
化粧品は『安全』である事が大前提。
ですから基本、極度に安全性に懸念がある成分の配合は『禁止』されていますし、配合量にも『制限』があります。
ただし、薬機法は日本の法律ですから、『日本で発売のコスメ』に限定されます。
現在は個人輸入で、韓国に限らず、海外のコスメが入手できますが、これらは薬機法の適応外となりますから、化粧品は安全である事の大前提が崩れる可能性はあります。
ですから、日本で発売されている韓国コスメを選ぶようにしてください。
現役の化粧品開発者がオススメする韓国コスメ
ご説明した通り、韓国コスメを選ぶ際の注意点は、
1.コスメの安全性基準はメーカーの自社基準だと知る事
2.大手メーカー(ブランド)を選ぶ事
3.日本で発売されているモノを選ぶ事
多くの韓国コスメが発売されていますが、上記を満たし、化粧品開発者の私がオススメする韓国コスメは、『エチュード』です。
エチュードは、リーズナブルな価格でありながら、パッケージデザインもおしゃれで、SNS等には多くの口コミがあります。
また、積極的に店舗展開もしており、今や、『韓国コスメの筆頭』です。
さらに、エチュードは韓国ソウルに本社を構える、『アモーレパシフィック』のコスメブランドの一つ。
アモーレパシフィックは70年以上の歴史を持ち、韓国国内NO.1の化粧品メーカーです。アジアでは、資生堂に次ぐ第2位の巨大メーカーです。
アモーレパシフィックのエチュードであれば、ご説明した、韓国コスメで失敗しないための注意点を全て満たしています。
勿論、エチュードだからと言って、安心・安全だと断言は出来ません。コスメは人によって合う合わないはありますし、これは日本の大手メーカーのモノであっても同じです。
ですが、日本製であっても、個人や中小メーカーのコスメに比べれば、アモーレパシフィックが展開する韓国コスメ『エチュード』の方が断然優れているでしょう。
韓国コスメにご興味があるのであれば、まずは『エチュード』から始めてはいかがでしょうか?
価格はリーズナブルだし、スキンケアからメイクまで、アイテムが豊富です。
どこの国のモノであれ、化粧品は安全であることが大前提。万一、お肌に異常を感じた場合は、直ちに使用を止め、化粧品メーカへ問い合わせをし、指示に従ってください。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません
