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<化粧品開発者が解説>複数の吸収剤が配合される理由とは?日焼け止めの疑問①

コスメには疑問や誤解がたくさん。このブログでは、大手化粧品メーカーで約20年、今なお現役の化粧品開発者である私が、メーカーが明かさない『コスメの真実』を明らかにします!

『疑問』『誤解』が多いのが、日焼け止め分野。日焼け止めに関する「疑問」や「誤解」は、「日焼け止めを塗っているのに気づいたら日焼けしていた!」という事態につながりますから、特に注意が必要です。
ですから、この記事からしばらく、現役の化粧品開発者である私がプロの視点で、日焼け止めに関する『疑問』『誤解』にお答えします。
今回は、第一弾として、何故、日焼け止めには複数の紫外線吸収剤が配合されているのか?という疑問にお答えします。

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何故、日焼け止めには「複数の紫外線吸収剤」が配合されているのか?

紫外線吸収剤・複数配合・金のアネッサ

『紫外線吸収剤』は、紫外線を吸収して、肌を紫外線ダメージから守る成分です。

日焼け止めコスメには、必ずと言っていいほど、この「紫外線吸収剤」が配合されています。
※紫外線吸収剤フリーコスメなどの例外あり

「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」・「オクトクリレン」・「フェニルベンズイミダゾールスルホン酸」・「ポリシリコーン-15」・「t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン」・「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」・「ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル」など、コスメには様々な紫外線吸収剤が配合されます。

もし、今お手元に日焼け止めがあれば、全成分を見てください。

『複数の紫外線吸収剤』が配合されているのがお分かりになると思います。

日焼け止めコスメには、複数の紫外線吸収剤が配合されるのが一般的です。

「資生堂 金のアネッサ」を例にとってみましょう。

<金のアネッサ(パーフェクトUV スキンケアミルク)全成分>

ジメチコン,水,酸化亜鉛,エタノール,メトキシケイヒ酸エチルヘキシル,タルク,ミリスチン酸イソプロピル,メタクリル酸メチルクロスポリマー,シクロペンタシロキサン,イソドデカン,オクトクリレン,酸化チタン,PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン,ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル,グリセリン,セバシン酸ジイソプロピル,(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー,シリカ,パルミチン酸デキストリン,キシリトール,トリメチルシロキシケイ酸,ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン,PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル,塩化Na,チャエキス,サクラ葉エキス,カニナバラ果実エキス,アセチルヒアルロン酸Na,トルメンチラ根エキス,アロエベラ葉エキス,水溶性コラーゲン,PPG-17,トリエトキシカプリリルシラン,イソステアリン酸,ジステアリルジモニウムクロリド,ジステアルジモニウムヘクトライト,水酸化Al,ステアリン酸,EDTA-3Na,BHT,トコフェロール,イソプロパノール,BG,ピロ亜硫酸Na,フェノキシエタノール,香料


上記、青字が『紫外線吸収剤』です。

資生堂 金のアネッサは、紫外線吸収剤を『4種』配合しています。

日焼け止めには、UVBをブロックする『SPF』と、UVAをブロックする『PA』があります。ですから、少なくとも、UVBブロック・UVAブロック、『計2種』の紫外線吸収剤が配合されますが、市場にある多くの日焼け止めには、それ以上の紫外線吸収剤が配合されるのが一般的です。

何故、日焼け止めには「複数の紫外線吸収剤」が配合されるのでしょうか?

その答えを解説します。

 

幅広い紫外線領域をカットするため

地表に降り注ぐ紫外線は、波長によって2種類に分けられます。

波長280nm~320nmの『UV-B』と、320nm~400nmの『UV-A』です。

『SPF』とは、UV-B(紫外線B波)を防ぐ効果指数であって、何も塗らない場合に比べて、UV-Bによる炎症をどれぐらい防止できるかを表しています。

『PA』とは、UV-A(紫外線A波)を防ぐ効果指数です)

「SPF測定」を簡単に説明すると、まず、何も塗らない状態で、どの位のエネルギー量で、試験対象者(被験者)の皮膚が赤くなるかを確認します。この、照射エネルギーによって、皮膚が赤くなる現象を『紅斑反応(こうはんはんのう)』と言います。

次に、日焼け止めコスメを塗った状態で、全く同じことをします。「日焼け止めを塗った時の紅斑反応を引き起こすエネルギー量」を、「何も塗らない時の紅斑反応を引き起こすエネルギー量」で割った値が、『SPF』です。

ここで重要なことは「SPFの計算法」ではなく、SPF測定は『紅斑反応を見ている』ということです。

人の肌の紅斑反応は『315nm』の光で引き起こされやすく、だからこそ、315nmに吸収ピークを持つ紫外線吸収剤が、最も効率的に、紅斑反応を抑制する事が出来るのです。
※効率的な紅斑反応の抑制=SPFの数値が高い

これに該当する紫外線吸収剤が、『メトキシケイヒ酸エチルヘキシル』です。通称「OMC」と言われるこの吸収剤は、UV-Bを防止する目的で、日焼け止めコスメには必ず配合されています。

「OMC」は、他の紫外線吸収剤の良溶媒(よく溶かす)になるとか、コストが安いとか言われていますが、勿論これらは正解ですが、吸収ピークが315nm付近にあって、これが人の紅斑反応を引き起こしやすい波長と一致し、『効果的に紅斑反応を抑制する』ために、UV-Bの紫外線吸収剤として、最も日焼け止めコスメに配合されます。

このように、『SPF値』だけ考えれば、紅斑反応を抑制すればよく、これはつまり、「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(OMC)」だけを配合すればいいのです。

人の紅斑反応を引き起こしやすい波長に吸収ピークを持つ「OMC」であれば、効果的に紅斑反応を抑制できるため、高いSPF値が期待出来ます。

しかし、UV-B波の波長は『280nm~320nm』です。315nm付近の光をカットすれば、確かに、紅斑反応は抑制出来て、高いSPF値が期待出来ますが、紫外線の肌へのダメージは紅斑反応だけではありません。

315nm以外のUV-B波による、肌へのダメージを無視するわけにはいかない!

SPF値だけを考えれば、紅斑反応を抑制すれば高SPF値になりますから、「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」だけで問題ありません。しかし、幅広い紫外線領域をカットして、紅斑反応以外のダメージからも守るために、化粧品メーカーは、複数の紫外線吸収剤を配合するのです。

 

基準を遵守して高SPFを実現するため

「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、吸収ピークを315nm付近に持つため、高SPFが可能であり、今の日焼け止めコスメには欠かせません。

しかし、「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」だけで、高SPFは無理です。

何故なら、紫外線吸収剤には、発売国によって『配合規制』が存在し、『配合上限』が定められているからです。

仮に「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」だけで高SPF値(40以上)を達成しようと思ったら、かなりの量の配合が必須であり、これは確実に配合上限を上回ります

「配合上限を上回る=配合規制を遵守しない」ということですから、このような日焼け止めコスメは違反であり、発売することは出来ません。

この配合基準は、全ての紫外線吸収剤に定められていますが、『紫外線吸収剤の総量』には規制はありません。

ですから、高スペックの日焼け止めコスメの開発の際は、配合規制のため紫外線吸収剤1種類では無理ですから、『複数の紫外線吸収剤』を配合して高SPFを実現します。

このように、発売国の配合規制を遵守しながら高SPFを実現するために、日焼け止めには複数の紫外線吸収剤が配合されるのです。

 

おわりに

いかがでしょうか?

「幅広い紫外線領域をカットするため」「発売国の配合規制を遵守しながら高SPFを実現するため」に、日焼け止めコスメには複数の紫外線吸収剤が配合されます。

今回の記事では割愛しましたが、酸化亜鉛や酸化チタンといった『紫外線散乱剤』にも、日焼け止めコスメに関する疑問・誤解はたくさんあります。

そもそも、酸化亜鉛と酸化チタンを「散乱剤」と考えるのが誤解です。

その他の、日焼け止めの疑問もご確認ください。

アスタリフトホワイト

 

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