コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

アクセスありがとうございます。cosmedeinと申します。数十年、大手化粧品会社で化粧品の開発を行ってきました。その経験を活かし、化粧品をお使いのすべての人々に、『化粧品の真実』をお伝えしたいと思います。普段のお化粧に、是非参考になって頂ければと思います!

化粧品は鉱物油フリーの方がいいの?

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よく『鉱物油フリー』という化粧品を目にしませんか?

化粧品は『鉱物油フリー』の方が良いのでしょうか?

化粧品は『鉱物油フリー』であるべきでしょうか?

今回は、化粧品は鉱物油フリーの方がいいのか?という疑問にお答えいたします。

 

1.そもそも鉱物油って何?

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石油は大切な資源ですね。
石油からはプラスチックや工業製品など、様々なモノが作られます。
その際に出る油(廃油)を精製し、不純物を取り除いた油を『鉱物油』と言います。

つまり、『石油由来の油』ですね。『植物由来の油』と対比して使われます。

その昔、石油が分類学上、鉱物扱いされていたため、『石油由来の油=鉱物油』と言われています。

『ミネラルオイル』『パラフィン』『ワセリン』『セレシン』が、化粧品によく配合される『鉱物油(石油由来の油)』です。

一度、ご自身がお使いの化粧品の全成分を見て、これら油が配合されているか確認してみてください。

化粧品には鉱物油フリーがいいのか?

本題に入りましょう。

 

2.何故、化粧品には鉱物油が配合されているのか?

 そもそも、何故、化粧品には鉱物油が配合されているのでしょうか?

その理由は、『価格』『供給』です。

お肌のうるおいを閉じ込めたり、メイク汚れを落としたりする『油』は、化粧品にとって『必須成分』です。

この必須成分、当然、化粧品メーカーは、自社の利益を確保するために、『原料価格が安い油』を使いたがります。

企業ですから、原価を抑え、ユーザーにお求めやすい価格で化粧品を提供するという意味で当然の行為です。


鉱物油は、植物油に比べ、圧倒的に原料価格が『安い』です。

価格面で圧倒的に有利なので(安い)、鉱物油は化粧品に配合されるんですね。

価格面の他に、『供給面』があります。

鉱物油は石油由来ですから、安定的に供給されます。石油の産出がなくなれば、供給面で大問題になりますが、当面、そんなことはありえないでしょう。

この『安定供給』、化粧品原料にとって、非常に重要なんですね。

供給面で課題が生じて、原料が手に入らなくなることは、メーカーにとって大変な損失です。

原料が手に入らない ⇒ 化粧品の製造が出来ない ⇒ ユーザーに化粧品をお届け出来ない ⇒ 販売機会の喪失 ⇒ 売り上げ減・利益減

その化粧品を使いたいと思ってくれているユーザーに、化粧品をお届け出来ないことは、絶対にあってはならないのです。

ですから、化粧品メーカーは、原料の供給面を大変重要視します。 

植物油、特に『オーガニック認定』の植物油は、収穫量が天候で左右されますから、共有面で課題がある原料の一つです。

さらにその中でも、『精油』は最も供給面で課題がある原料の一つでしょう。

天候により収穫量が変わるだけでなく、『香り』にも変化が生じますから。


▼ 精油に対する化粧品メーカーの苦労は以下記事を参考にしてください

cosmet.hatenablog.com

 

合成原料も供給面に注意しないといけません。

化粧品によく配合される原料は特に要注意です。

『1-3BG』は非常によく配合される合成原料ですが、もし、原料メーカーの工場が火災などのトラブルを起こし、供給がストップした場合、化粧品メーカーは大打撃を受けます。

1-3BGのように、よく用いられる原料に関しては、複数の購入ルートを確保するのが一般的です。

これを『複数購買』と言いますが、万一、Aという原料メーカーの工場にトラブルがあってBGの供給がストップしても、複数の購入ルートを確保しておけば、Bという原料メーカーのBGを使うことが出来て、化粧品メーカーの製造には影響を与えませんから。

原料供給は、非常に重要で、化粧品メーカーは万一不測の事態が起こったとしても、原料を確保できるよう様々な策を講じているのです。


このように、化粧品に鉱物油がよく用いられるのは、決して鉱物油がお肌に良いというわけではなく『価格が安く、供給が安定しているから』なんです。

 

3.鉱物油のメリットは?

鉱物油のメリットは何でしょうか?

鉱物油は植物油に比べ、『水分蒸散抑制効果』が非常に高いです。

お肌からの水分蒸散を防ぎますから、言い換えると、鉱物油は植物油に比べ、『エモリエント効果』が高いと言えるでしょう。

アトピーの方や、顕著な乾燥肌の方に『ワセリン』が有効なのはこのためです。

『保護』という点において、鉱物油は最適な油と言えるでしょう。

 

4.鉱物油のデメリットは?

ではデメリットは何でしょうか?

鉱物油のメリットは高い保護性でしたが、これ故に、一度、お肌の上で膜を作ると、なかなか落とすことが出来ません。

植物油に比べ鉱物油は、『クレンジングで落としずらい』という点がデメリットでしょうか。

しっかり落とさないと、お肌で酸化して(刺激性のある物質に変化する)、肌トラブルの恐れがありますし、毛穴に詰まるとニキビの原因ともなり得ます。

これは植物油にも言えることですが、しっかりクレンジングして完全に洗い流すようにしてください。

あと、ネットを見ると、鉱物油はお肌に浸透せず植物油はお肌に浸透するから、植物油が良い、という表現を多く目にします。

厳密にいうとこれは間違いです。

鉱物油にしろ植物油にしろ、化粧品に用いられている大部分の油は分子量が大きいため、お肌に浸透しません。

植物油にはオレイン酸やパルミトレイン酸、ビタミン類といった栄養成分が含まれているケースが多く(全成分には表示されません)、これら成分がお肌に浸透して、何かしらの効果を発揮することはあります。

石油由来である鉱物油には、これら栄養成分は一切含まれておりません。

ですから、

鉱物油=お肌に浸透しない=効果が得られない=お肌に良くない

植物油=お肌に浸透する=効果が得られる=お肌に良い

このような誤解を招いているのです。

確かに植物油には、脂肪酸類、ビタミン類といった栄養成分が含まれていることはありますが、全成分表示に出ないくらい微量ですし、どれだけお肌に良い効果を及ぼすかも不明です。

鉱物油、植物油に限らず、化粧品における油の最大の役割は『エモリエント』であることをお忘れにならないようにしてください。

 

5.化粧品は鉱物油フリーの方がいいのか?

化粧品は鉱物油フリーの方がいいのか?

前述したように、鉱物油がお肌に悪いということはあり得ませんので、化粧品は鉱物油フリーがいい、ということもありません!

でも世の中には『鉱物油フリー』の化粧品がたくさんあって、鉱物油はお肌に良くないという印象はありませんか?

これは何故でしょうか?

それは、『鉱物油はお肌に良くないというイメージ』が先行しているからです。

化粧品は主に女性がお使いになるものですよね。ですから、『イメージ』が非常に重要なんです。

実際、2000年初頭、『BSE』が問題になった時、日本からアメリカ産の牛肉が消えました。これによって大きな損失を受けたのが、食肉業界です。

しかし、化粧品業界でも『牛由来の原料』がすべて消えました。

化粧品はお肌に使うもので、食べるものではありません。万一(こんなことは絶対あり得ませんが)、BSEに感染した牛由来の原料を配合した化粧品を使っても、重篤な問題にはなりません。しかし、『牛=危険』という『イメージ』がついてしまったため、牛を他の動物に変えたり、植物に変えたりと、原料メーカー、化粧品メーカーは大変な労力を要しました。

このように、配合原料を全て変えるほど、化粧品にとってイメージって重要なんですね。

では、鉱物油はお肌に良くないというイメージを作っているのは何でしょうか?

やはり、昨今流行りの『ナチュラル系コスメ』の台頭でしょう。

ナチュラル系コスメにとって、石油系や合成系は『悪』ですから、これらを攻撃し、ナチュラル原料のお肌への良さを訴えるわけですね。

しかも、ブームにも乗って、ナチュラル系コスメの勢いはすごいですから、鉱物油はお肌に良くないというイメージを作るには十分でしょう。

しかも、必ずしもイメージだけではない部分はあります。

実際、石油系や合成系の油で、アレルギーを示す方もいらっしゃいますし、自分のお肌に使うものは自然なものがいいと、鉱物油を避ける方もいらっしゃいますから。

私が今回の記事で一番言いたいことは、鉱物油はお肌に良くないというのは間違いということ、鉱物油であろうが植物油であろうが、お肌に対する安全性に変わりはないこと、この2点です。

天然物の漆がかぶれるように、ナチュラル系(天然系)だからと言って、安全性が高いというわけではないのです。

 

6.おわりに

いかがでしょうか?

鉱物油フリーはお肌にいい? 化粧品には鉱物油フリーがいい? というのは、あくまで世のイメージであって、真実ではありません。

鉱物油には鉱物油ゆえの良さというものがあります。

イメージにとらわれず、ご自分のお肌にあった成分、化粧品をお選びください。

ちなみに、私は、鉱物油の使用感(感触)があまり好きではありません。

なんかきしむような感じがして。お肌に馴染んで吸い付くような、植物油の使用感が好きです。


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桜香る