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コスメの真実 化粧品全般

全成分表示からわかる事は?プロは全成分をこう見る!

化粧品や医薬部外品には全成分表示が義務付けられています。全成分の情報から、その化粧品を分析し、化粧品選択の一つとして活用しているユーザーも多いと思います。

現在であれば、ネットで簡単に成分の情報が調べられますからね。

今回は『全成分表示の真実』と題しまして、全成分について書きたいと思います。

ただし、全成分表示に関しては、他のホームページやブログでもいろいろ書かれていますので、何をいまさら感はぬぐえません。

私は現役の化粧品開発者なので、開発者ならではの視点で書いて、少しでも差別性を出したいと思います。

 

この記事を書いている人

コスメデイン

  • 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
  • 今も現役の化粧品開発者
  • 美容雑誌の監修経験あり
  • 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!

美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)

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全成分表示の経緯

2001年から化粧品に、2008年から医薬部外品にも全成分表示が義務付けられました。

それ以前は、『表示指定成分』のみ表示の義務がありましたが、2001年以降は全成分表示に変わりましたので、現在では表示指定成分というものは存在しません。

ですから、当時の表示指定成分を、現在では『旧表示指定成分』と言ったりします。ここでは便宜上、表示指定成分という表現に統一します。

表示指定成分とは、旧厚生省が定めた、『ヒトによっては、アレルギーなどの肌トラブルを引き起こす可能性がある成分』のことです。

有名なところでは『パラベン』が該当します。

このように、2001年以前は、国(旧厚生省)の責任において、特定の成分のみ(表示指定成分)の表示が義務付けられていました。

しかし、2001年以降、メーカーの責任において化粧品を製造販売するという指針のもと、全成分表示に切り替わりました。

つまり、化粧品に関する主な責任を、『国からメーカーに委ねる』ことを目的に、全成分表示制度が始まったのです。

ユーザーに対するメーカー責任が大きくなったということですね。

ただし、適当に表示していいというわけではありません。

表示にはルールが存在します。このルールを知っていると、化粧品を選択するうえでかなり役に立つと思います。

 

全成分表示の主なルール

主なルールは以下です。

① 配合量の多い順に表示する

② 1%未満の配合成分は順不同でよい(並び替えて表示してよい)

③ 医薬部外品の場合、有効成分を記載後、その他の成分として記載する

④ キャリーオーバー成分は表示する必要はない

⑤ 香料は数種類のものを使用したとしても香料とひとくくりに表示してよい

実際はもう少し細かなルールがありますが、この5つで十分だと思います。

具体例を示しながら、詳しくご説明します。

 

全成分表示から分かること

以下は、ある乳液(化粧品)の全成分表示です。

 

水、プロパンジオール、グリセリン、スクワラン、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジグリセリン、ホホバ種子油、月見草油、ゲットウ葉エキス、ユキノシタエキス、マグワ根皮エキス、ハトムギエキス、カンゾウ根エキス、ヒメフウロエキス、セラミド3、シロキクラゲ多糖体、ヒアルロン酸Na、ポリクオタニウム-51、トレハロース、ラフィノース、グリセリルグルコシド、ベタイン、グリチルリチン酸2K、水添レシチン、リゾレシチン、トコフェロール、スクレロチウムガム、キサンタンガム、シアノコバラミン、レウコノストック/ダイコン根発酵液、オクチルドデカノール、カプリル酸グリセリル、クエン酸、BG、フェノキシエタノール

 

まずルール①、配合量の多い順に記載されています。

そして、ルール②、配合量1%未満の成分は順不同でOK(並べ替えてもOK)なので、赤文字、『ゲットウ葉エキス以下』が、1%未満成分となります。

1%未満成分はどれに該当するのか?の判断根拠ですが、植物エキスやコラーゲン、ヒアルロン酸類で1%以上配合するなどあり得ません(原液化粧品は除く)。
何故なら、原価と安全性の問題があるからです。

植物エキスやコラーゲン、ヒアルロン酸は、イメージがよく、表示の上の方に記載されていれば、多く配合されていると印象付けられますから(実際はそんなことありませんが)、1%未満成分の一番はじめに持ってくるわけです。

反対に、パラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤はイメージがあまり良くないので、一番最後に持ってくることが多いです。

この例でも、フェノキシエタノールが一番最後に記載されていますね。実際は、ゲットウ葉エキスよりフェノキシエタノールの配合量が多いですが、両方とも1%未満成分なので、このような記載方法が可能となるわけです。

続いて、医薬部外品の全成分表示を見てみましょう。

 

有効成分 : グリチルリチン酸ジカリウム、プラセンタエキス(1)

その他の全成分 : 精製水、1.3-ブチレングリコール、濃グリセリン、プロピレングリコール、1.2-ペンタンジオール、水溶性コラーゲン液、シコンエキス、サクラ葉抽出液、ヒアルロン酸ナトリウム(2)、アルニカエキス、シナノキエキス、スギナエキス、オトギリソウエキス、セージエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ゼニアオイエキス、カモミラエキス(1)、トウキンセンカエキス、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、カリボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル重合体、水酸化カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、エタノール、青色1号、赤色106号、香料

 

医薬部外品の場合、化粧品と全成分名称が異なる場合があります。

例えば、化粧品では「水」ですが、医薬部外品になると「精製水」となります。
これに関しては、また別の機会にご説明します。

赤文字、『水溶性コラーゲン液以下』が1%未満成分です。

1%未満成分の上の方に、イメージのよい『エキス類』が並んでいますね。反対に、表示の下の方には、あまりイメージが良くない『パラオキシ安息香酸メチル(パラベン)』『フェノキシエタノール』が並んでいます。

このように、化粧品や医薬部外品は主に女性がお使いになるものですから、何より『イメージ』を大切にします。化粧品メーカーは、この全成分表示に対しても、イメージの良さを追求し工夫しているわけです。

 

キャリーオーバー成分とは?

多くのエキス類は、「BG」や「エタノール」などから抽出し、抽出物として化粧品に配合します。この抽出物の大部分は「水」が占めていて、このままの状態であれば、化粧品に配合する前に腐ってしまいます。

ですから、腐敗を防ぐために、エキス類などの抽出物には『パラベン』『フェノキシエタノール』などの『防腐剤』が配合されていることが多いです。

このように、最終形態(化粧品)の品質には影響を与えず、且つ、そのものの品質を維持するために必要な成分のことを『キャリーオーバー成分』と言います。

この例ではパラベンやフェノキシエタノールがキャリーオーバー成分扱いになります。

エキス類などの抽出物の品質を維持するために(腐敗を防ぐために)、パラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤は必須であり、さらに、これら成分が最終形態(エキス類を配合する化粧品)の品質に与える影響は皆無と判断されるからです。

ここで注意しないといけないのは、キャリーオーバー成分は全成分表示の必要がないという点です(キャリーオーバー成分を表示しているメーカーはあります)。

敏感肌用化粧品に、『パラベンフリー』がありますが、キャリーオーバー成分までパラベンフリーかは疑問です。

パラベンに対し、非常に敏感の方はご注意ください。

 

全成分表示を意識した製剤検討

化粧品開発者は、製剤化する際、全成分表示を意識します。

どういうことかと言うと、製剤化担当者が一番やっていけないことは、自分が製剤化した化粧品が、市場で分離などの『安定性トラブル』を引き起こすことです。

安定性トラブルが起きると、市場回収に費用がかかりますし、ユーザーから信頼を失ってしまいます。

しかし、想定外のトラブルもありますから、安定性トラブルを完全になくすことは出来ません。

製剤化検討の最中、ちょっと安定性が危ういなというのはすぐに分かります。ですが、検討期間が限られるため、不安を抱えながら市場に出すことはよくあります。

ではどうするか?

安定性トラブルを起こした場合、市場から回収し(重篤度によって回収しない場合もあります)、改良を重ね、再度、市場に出します。その際、全成分表示が変更になるような改良をすると、全成分が表示されている箱や容器、全てを変更しなければなりません。

これには莫大な費用がかかります。

安定性トラブルは完全になくすことは出来ません。改良しなければいけないケースはよくあります。ですが、箱や容器まで変更しなければならない改良は絶対に避けねばなりません。

製剤担当者は、検討段階で、どの成分が安定性に不安があるか把握しています。ですから、万一、想定外のトラブルが起こり、改良せざる得ない状況になっても、全成分表示に影響がでないように予防線を張っておくのです。

例えば先ほどの乳液(化粧品)の全成分を例にとると、『ホホバ種子油』『月見草油』の順で表示されています。

これらは1%以上の配合成分です。

検討段階で月見草油が安定性に悪影響を与えることが分かりました。ですが、使用感のために月見草油の配合が有効であれば、ホホバ種子油の配合量を超えないレベルで月見草油を配合するわけです。

こうすれば、万一、安定性トラブルが発生して、月見草油の配合量を減らさないといけない場合でも、月見草油以下の表示成分は1%未満ですから、全成分表示に影響がないレベルで改良(月見草油を減量)出来るわけです。

ホホバ種子油以上の月見草油を配合していた場合、改良により、月見草油の配合量がホホバ種子油を下回ってしまったら、箱や容器、全てを変更しないといけなくなってしまいます。

このように、化粧品メーカーや開発担当者は、イメージをよくするため、安定性トラブルが発生した場合に備えるため、全成分表示を上手に利用しています。

 

おわりに

いかがでしょうか?

全成分表示から化粧品の真実を読み解く方法を、化粧品開発者の視点から解説しました。

2001年以降、化粧品と医薬部外品に全成分表示が義務付けられ、消費者はより詳細な情報を基に製品を選ぶことが可能になりました。表示される成分の順番や、1%未満の成分の表示ルール、キャリーオーバー成分の扱いなど、全成分表示には多くのルールがあります。これらの知識を活用することで、消費者は製品の安全性や品質、メーカーの意図をより深く理解し、自分に合った化粧品選びができるようになります。

化粧品選びにおいて全成分表示は重要なツールであり、その背後にある意味を知ることで、より賢い消費が可能になります。

 

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません

   
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