最近、『日本初 しわ対応の医薬部外品』という表現をよく見ませんか?
これは、大手化粧品会社『ポーラ』です。
2017年1月に、日本初のしわ対応医薬部外品を発売するというものです。
これは、実は、すごい快挙なんです。
今回は、この快挙を、『しわ改善コスメ(医薬部外品)の真実』と題しましてご説明します。
しわ改善の医薬部外品とは?
医薬部外品の場合、効果効能に制限があります。
ヒトのお肌に使う場合(髪の毛などは除く)、『肌荒れ』と『しみ・そばかすを防ぐ(美白)』しか、謳うことはできません。
国から、これらの効果があると認められた成分(原料)を『有効成分』と呼び、これら有効成分を、所定量配合したものが医薬部外品として認められ、販売されています。
肌荒れの有効成分であれば『GK2(グリチルリチン酸ジカリウム)』、美白の有効成分であれば『アルブチン』『ビタミンC(誘導体含む)』などが有名ですね。
これまでは、しわに効く有効成分はありませんでした。なので、しわ対応の医薬部外品は存在しませんでした。医薬部外品といえば美白のイメージが強いのはそのためです。
今回、ポーラが、しわに効く成分を開発し、日本で初めて『しわの有効成分』として認められたわけです。
しわと言えば、最近、『乾燥による小じわを目立たなくする』という表記を目にしませんか?これは、決められた『効果効能試験』を実施し、その効果を確認されたものだけに許された表現です。この場合、医薬部外品ではなく『化粧品』です。
これまでは、しわ改善効果が謳えませんでしたので(有効成分が存在しなかった)、化粧品会社は、この試験を実施し、しわ対応化粧品としてユーザーに訴え、差別化を狙ったわけです。
ここで注意しないといけないのは、『乾燥による』がポイントで、乾燥による小じわだけが対象であり、『紫外線や加齢によるしわ』には対応していないということです。
私も化粧品開発者の時、この乾燥による小じわ対応の化粧品開発にも携わりました。
効果効能試験は外部委託だったので、詳細な試験法は知りませんが、乾燥による小じわなので、『保湿』に注力して製剤化を行ったことをよく覚えています。
しかし、これからは、しわに対応した有効成分が開発されましたから、『しわ改善』と堂々と謳うことができるのです。
これは本当にすごいことです。
実は、当時、ポーラともう一社が(超大手です)、しわの有効成分を開発しているのでは?と業界内で噂されていました。
しかし、なかなか市場に出てこなかったので、単なる噂なのかと思っていました。
しっかり、研究していたんですね。
有効成分の開発は簡単ではありません。
効果は勿論、安全性に関する確固たる客観的データが必要ですから、どのメーカーでもできることではありません。
研究開発力は勿論のこと、かなりの時間とお金がかかります。
これを実現できるだけのメーカーは、日本でも数社ではないでしょうか?
ポーラは、おそらく、かなり前から研究をしていたのでしょう。
成分を開発してもそれで終わりというわけではありません。
国に申請して承認される必要がありますから。
この承認も大変なんです。
特に、数年前の『白斑問題』がありましたから、国も承認するには、かなり慎重になっているはずです。
このような状況下で、国から承認され、商品化するとは、脱帽です。すごすぎます。
この成分は原料メーカーが開発したものではないので、どのメーカーも使えるというわけではありません。ポーラが開発したものなので、当然、ポーラ独占です。
この快挙によって、しわ領域は、しばらくポーラの独壇場ではないでしょうか?
おわりに
いかがでしょうか?
いかに今回のことがすごいかお分かりになったでしょうか?
ポーラといえば、訪問販売のイメージが強いので、敬遠される方もいるのではないでしょうか?
しかし、時代も変わり、ポーラも様々なブランドを展開するようになり、一昔前の訪問販売のイメージとは全く異なります。
このブログでもご紹介したように、化粧品会社のオリンピック『IFSCC』でもかなりの受賞経験があり、その研究開発力の高さは確かなものです。