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コスメの真実 話題の成分

石油系界面活性剤の見分け方をプロが伝授!石油系界面活性剤の真実

コスメには疑問や誤解がたくさん。このブログでは、大手化粧品メーカーで約20年、今なお現役の化粧品開発者である私が、メーカーが明かさない『コスメの真実』を明らかにします!

コスメの表示欄に、「パラベンフリー」とか、「エタノールフリー」とか、「着色剤フリー」等の表現をご覧になった事があると思います。いわゆる『フリー表現』と言うもので、肌にとってあまりイメージの良くない成分を配合していない事を意味しています。フリー表現の一つに、『石油系界面活性剤フリー』がありますが、そもそも皆さまは、

石油系界面活性剤の見分け方ご存じですか?

この記事では化粧品開発者の私が、石油系系面活性剤の見分け方と、石油系界面活性剤フリーは本当におすすめなのか?について、お伝えいたします。

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界面活性剤とは?

 

まず、界面活性剤について簡単に説明します。

詳細は以下記事をご覧ください。

ミルクやクリームのような乳白色のコスメには、水と油を均一に懸濁させる『乳化剤』として、必ずと言っていいほど界面活性剤は配合されます。

また、化粧水のような透明系でも、香料などの『可溶化剤』『肌なじみアップ』のために界面活性剤は配合されます。

界面活性剤には様々な種類がありますが、共通して言える事は、同一分子内に水の性質を持つ『親水部分』と、油の性質を持つ『親油部分』を持つという事です。

この、水と油、双方の性質を持つ事で、界面活性剤は様々な機能を発揮し、化粧品だけでなく多種多様の産業に活用されています。

 

石油系界面活性剤とは?

界面活性剤は『親水部分』『親油部分』を持ちます。親水基、親油基(疎水基)とも言いますが、一般的に界面活性剤は、親水基をもつ成分と、疎水基を持つ成分を『合成』して作ります。
※ 合成工程を含まない成分もあります

コスメ、特にスキンケアには、電荷をもたない『ノニオン系』と言われる界面活性剤が用いられます。

何故なら、ノニオン系界面活性剤は、電荷をもつ界面活性剤に比べて『安全性』が高く、長時間、肌の上に残るスキンケアには最適だからです。

石油系界面活性剤とは何か?

ノニオン系界面活性剤の一つである『ステアリン酸PEG-25』を例にとって説明します。

ステアリン酸PEG-25は、古くから用いられるノニオン系界面活性剤です。これは、『ステアリン酸』『PEG(ポリエチレングリコール)』を合成して作られます。

ステアリン酸が『親油部分(親油基)』、PEGが『親水部分(親水基)』になります。

25と言うのは、PEGの重合度(モル数)で、PEGが25個くっついている事を意味しており、PEGは親水基ですから、PEGの数が多ければ多いほど、水の性質が強い界面活性剤になります(専門的にはHLBが高い界面活性剤)。

ここからが本題で、石油系界面活性剤を語るには、親水基と親油基の『由来』が重要です。

ステアリン酸PEG-25の場合、ステアリン酸の由来は『植物』です。

私が化粧品業界に入った当時、ステアリン酸などの脂肪酸の由来は『動物』でした。しかし、2000年初頭のBSE問題で、化粧品原料の由来は動物から植物に変わりました。

動物由来原料が禁止になったわけではないので、今でも動物由来原料を使うメーカーは存在しますが、何よりも『イメージ』を重要視する化粧品にとって、BSEから派生した動物由来原料を使う事が嫌がられ、『植物由来原料』に大きく変わっていきました。

ですから、

ステアリン酸PEG-25の親油基であるステアリン酸は『植物由来』

そして、PEGですが、これは『石油由来』です。植物由来のPEGもありますが、コストや供給の問題から、広く普及されていないです。

つまり、植物由来の「ステアリン酸」を用いていても、PEG-25が「石油由来」のため、ステアリン酸PEG-25は石油系界面活性剤になります。

植物由来 + 石油由来 = 石油系界面活性剤

その半分近くが植物由来だという理由で、ステアリン酸PEG-25のような植物由来+石油由来を、石油系界面活性剤ではないと判断するメーカーも存在しますが、これは大きな間違いです。メーカーの知識と技術が乏しすぎます。

ただし、何を石油系界面活性剤と考えるかはメーカー次第であって、共通且つ明確な基準が存在するわけではないので、石油系界面活性剤フリーコスメをお探しの際はご注意ください。

 

石油系界面活性剤の見分け方

最も簡単な石油系界面活性剤の見分け方、それは、

界面活性剤に「PEG」が含まれているのかどうか

PEGがくっついたモノを『PEG系界面活性剤』と言いますが、PEG系界面活性剤は、活性剤由来のべたつきがなく、乳化能にも優れ、コストも安いので、大変優秀な成分です。

唯一のデメリットはPEGが石油由来という事だけ。
※ただし、私はこれをデメリットと思っていません。後ほどご説明します。

ですから、特に大手メーカーは、石油系界面活性剤フリーにこだわりを持っていませんからPEG系界面活性剤を多用します。

PEG系界面活性剤の代わりには、グリセリン脂肪酸エステルという、『ポリグリセリン系界面活性剤』が用いられます。

例えば、ステアリン酸ポリグリセリル-20のようなモノが該当し、これは、グリセリンと脂肪酸をくっつけたモノで、グリセリン・脂肪酸とも、植物由来ですから、非石油系として石油系界面活性剤フリーコスメや、ナチュラル・オーガニック系コスメに配合されます。

原料メーカーの技術進歩によって、ポリグリセリン系界面活性剤も素晴らしいですが、製法上、様々な重合度のモノが混在したり(分子量分布がブロード)、PEG系界面活性剤に比べて、テクスチャー的にべたつきやすく、乳化能も劣ります。

ですから、石油系界面活性剤フリーの縛りがなければ、私を含め多くの化粧品開発者はPEG系界面活性剤を使うでしょう。

ここで注意しないといけない事は、

植物由来のPEGを用いた界面活性剤も存在する!

なので、例えば先ほどのステアリン酸PEG-25の場合、以前であればPEGは石油由来成分なので、間違いなく石油系界面活性剤に該当しますが、現在は、PFGが植物由来の可能性もあり、厳密に言えば、全成分だけでは判断できません。

ただし、先ほども述べたように、植物由来のPEG系界面活性剤は、コストや供給の問題から、まだ広く普及されていないです。

PEGが含まれる界面活性剤は石油由来である可能性は高い!

ですが、「絶対に石油系界面活性剤を使いたくない!」とお考えのユーザーは、石油系界面活性剤フリーと表記しているのも関わらず、PEGが含まれる界面活性剤が使用されているコスメであれば、メーカーに問い合わせをした方が良いと思います。

 

石油系界面活性剤は肌に悪い?

石油系界面活性剤フリーという表現が存在するように、どちらかと言えば石油系界面活性剤は、『負のイメージ』が強いですが、決して、機能が劣るとか、肌にとって危険と言うわけではありません。

石油系界面活性剤は、肌に危険ではなく、安心してお使いいただける成分!

先ほど、PEG系界面活性剤の唯一のデメリットはPEGが石油由来という事だけですが、私自身、これをデメリットと思っていないと申し上げた理由がまさにこれです。

石油系界面活性剤は肌に悪くないです。

では何故、石油系界面活性剤フリーという表現が存在し、石油系界面活性剤に負のイメージがついたのか?

それは、一部化粧品メーカーの、無意味な『フリー表記の乱用』にあります。

コスメは『美容理論』『コンセプト』を考え、それに合わせて、安全・安定が大前提で、テクスチャーにこだわって作り上げるモノです。

しかし、美容理論やコンセプトメイクは非常に困難で、力のあるメーカーしか出来る事ではありません。

力のないメーカーがとる手段が『フリー表記の乱用』です。美容理論やコンセプトが作れませんから、〇個のフリーとか、とりあえず、意味のないフリー表記の数に頼るのです。

例えば『パラベンフリー』。確かにパラベンは旧表示指定成分ですから、人によってはアレルギーなどの肌トラブルを引き起こす成分です。しかし、その本質を知らなければ、パラベンフリーは逆に『危険』になるのです。詳細は以下記事をご覧ください。

石油系界面活性剤フリーというのは、まさに、『無意味なフリー表記』の典型で、美容理論、コンセプトメイクが出来ないメーカーの、姑息な最終手段と言えるでしょう。

勿論例外もありますが、美容理論、コンセプトメイクを得意とする大手化粧品メーカーのブランドに、石油系界面活性剤フリーと言う表記はあまり見かけません。

ただし現代は、コロナのワクチン接種で、アナフィラキシーの疑いが女性に多いという報告があり、それがコスメに配合されている『PEG系原料』と言われています。

PEG系原料とは、まさに『石油系界面活性剤』の事ですから、コスメにおける安全性に問題はありませんが、このような事情からPEG系界面活性剤(石油系界面活性剤)を避ける人もいらっしゃると思います。

そのような場合は、石油系界面活性剤フリーコスメをお選びください。

 

おわりに

いかがでしょうか?

石油系界面活性剤とは、

PEGのように、界面活性剤の一部に『石油系を含むモノ』

しかし、石油系界面活性剤は『安全に使える成分』ですから、石油系界面活性剤フリーと言うのは、イメージ先行型の『無意味なフリー表記』の典型だと言えます。

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません

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