コスメの疑問&誤解

<プロ解説>注目日焼け止めトピックス UVBは光安定性・UVAはDEEP紫外線

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「日焼け止め」に限らず、「化粧下地」「BBクリーム」「ファンデーション」など、日中使うアイテムには、必ずと言っていいほど『SPF, PA表示(紫外線防御機能)』がされています。

それだけ、ユーザーに、『紫外線ケアの重要性』が浸透した証拠です。

『紫外線防御機能(SPF, PA)』は、日中用アイテムに、当然のように求められる機能ですから、化粧品メーカーも日々研究を続け、ユーザーのために、新しい技術・製剤の開発をしています。

そこで今回は、ここ数年の、日焼け止め分野(SPF, PA表示商品)における『注目のトピックス(技術, 製品)』をご紹介します。

※あくまで私の独断と偏見で選んでいますので、あらかじめご了承ください。

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UVB防御は『光安定性』

吸収剤の光安定性・DEEP UVA・DEEP 紫外線

『日焼け止めコスメ』は、紫外線からお肌を守る、最も有効な方法の一つです。そして、日焼け止めコスメに配合され、紫外線をカットする成分が、『紫外線吸収剤』です。

吸収剤は、日焼け止めになくてはならない存在(成分)ですが、「紫外線からお肌を守る」という大きなメリットがある一方、『デメリット』もあります。

その一つが、吸収剤の『光安定性』です。吸収剤にとって、光(紫外線)で分解し、紫外線防御効果の低下を招くことは、『最大のデメリット』なのです。

日焼け止めコスメに最も使用され、最も有名な吸収剤が、『メトキシケイヒ酸エチルヘキシル』です。通称、『OMC』と言われる『UVBの紫外線吸収剤』です。

「OMC」は、UVBを防御する能力が高く、コストも安いため、日焼け止めなどのSPF, PA表示コスメに必ずと言っていいほど配合されています。しかし、『光安定性』に課題があり、光(紫外線)があたると、『分解』して、紫外線防御効果が無くなります。極論を言えば、SPF 30, 50+の日焼け止めが、『SPF 0』になるということです。

※実際は、100%分解することはないですし、他のUVB吸収剤と併用するケースが多いので、SPF 0になることはありません。あくまで極論です。

「OMC」の光安定性への対策としては、「OMC」は、一般的なUVAの吸収剤t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)』と一緒に配合されると、お互いがさらに分解してしまうため、UVAの吸収剤に、「アボベンゾン」ではなく、『ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル』が用いられるようになりました。

また、光安定性に優れるUVB吸収剤『オクトクリレン』と併用したり、使用法欄に『こまめに塗り直す』という注意文を表記したりしています。

※万一、吸収剤が分解しても、こまめに塗り直せば、紫外線防御効果を維持することが出来ます

ただし、「OMC」自体の光安定性が向上したわけではないので、これらは『抜本的解決策』ではありません。

光安定性に課題があったとしても、先に述べた通り、「OMC」は優れた吸収剤なので(防御能力、コスト、使用感)、「OMC」を超える、「OMC」に代わるUVB吸収剤は存在しませんでした。

この現状に目を向け、光安定性に優れた、新しいUVB吸収剤の開発に着手したのが『資生堂』です。

資生堂は、「OMC」の光分解メカニズムを、電子レベルで解明し、現状の課題点を明確にして、新しい吸収剤を設計、開発しました。

それが、新規UVB吸収剤『ジオクチルメトキシベンジリデンマロネート(DOMBM)』です。

『メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(OMC)』は、UVA吸収剤であるt-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)』と併用されるのが一般的です。しかし、「OMC」と「アボベンゾン」は、それぞれが光(紫外線)に弱いばかりか、お互いが一緒になると、さらに光による分解が促進されます

資生堂の研究によると、紫外線照射によって、「アボベンゾン」は『約80%』、「OMC」では『約90%』が分解してしまいます。

『残存率』で言うと、「アボベンゾン」が『約20%』、「OMC」が『約10%』ですから、いかに吸収剤にとって『光安定性が大きな課題』かがお分かりになると思います。

※残存率とは、紫外線照射によって、「何%の吸収剤が分解せずに残っているか」ということです

一方、新規UVB吸収剤『ジオクチルメトキシベンジリデンマロネート(DOMBM)』の場合、「アボベンゾン」の残存率は『約70%』、「DOMBM」は『約90%』と、光安定性が大幅に改善されました

また、従来のUVB吸収剤『オクトクリレン』と併用することで、さらに光安定性が向上し、「DOMBM」にいたっては、『残存率ほぼ100%』、これはつまり、『光によって分解しない』ということです。

吸収剤の一番の課題であった『光安定性』を克服した、新規UVB吸収剤『ジオクチルメトキシベンジリデンマロネート(DOMBM)』は、ある意味『理想的な吸収剤』と言えるかもしれませんね。

この資生堂の研究は、日本の化粧品技術者が集う『日本化粧品技術者会(SCCJ)』において、『優秀論文賞』を獲得しました。化粧品のプロの方達にも認められたということですね。

「DOMBM」配合コスメの誕生には、まだ少し時間がかかるかもしれませんが、安全性などの様々な課題をクリアし、早く、ユーザーに届けてもらいたいです。

新規UVB吸収剤『ジオクチルメトキシベンジリデンマロネート(DOMBM)』が、『メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(OMC)』に代わり、UVB吸収剤の『グローバルスタンダード』になる日が来るかもしれません。

さすが、資生堂!今後の動向に期待です。


UVA防御は『DEEP 紫外線』

吸収剤の光安定性・DEEP UVA・DEEP 紫外線

短波長で、高いエネルギーを有するUVB(280nm~320nm)。肌に対して即座に強い作用を及ぼし、主に紅斑を引き起こすUVBは、『レジャー紫外線』とも言われています。

一方、UVBに比べ、長波長、低エネルギーであるUVA(320nm~400nm)は、『生活紫外線』と言われています。UVAは、その波長の長さ故、『窓ガラス』『雲』をも貫通し、さらには、お肌の奥深く、『真皮』にまで侵入して『光老化』を引き起こします。

昨今、『UVA防御の重要性』が再認識されるようになり、その結果が、2013年1月に導入された、新しいUVA防御効果表示である『PA++++』です。

UVA防御の重要性が再認識されましたが、実は、UVA領域(320nm~400nm)は、波長の長さによって、さらに2つの領域に分かれます。

それが、『UVA-II』『UVA-I』です。UVA領域の中で、波長が短い『320nm~340nm』が「UVA-II」、波長が長い『340nm~400nm』が「UVA-I」です。

昨今、UVAの中でも、さらに波長が長い『UVA-I(340nm~400nm)』に対する防御の必要性が叫ばれています。

何故なら、『富士フィルム』の研究によると、「十分に紫外線ケアをしているにもかかわらず、日焼けしたことがある(肌色が変化した)」と感じる女性は、実に『65%以上』であり、その原因が、『UVA-I』にあると示唆されたからです。

※女性9788名を対象とした調査

というもの、富士フィルムの研究では、通常の紫外線吸収剤、紫外線散乱剤は、確かに紫外線を防御していますが、UVAの長波長側『370nm以降』の防御能が弱いことが分かりました。370nm以降ということは、『UVA-I領域』ですね。

しかも、370nm~400nmの紫外線は、日本に降り注ぐ全紫外線領域の内、実に『約48%』も占めているのです。これだけの量が降り注いでいるにもかかわらず、これまでの日焼け止めでは、十分に防御しきれていなかったという事実が明らかになったのです。

この、UVAの長波長側、UVA-I領域の一部である『370nm~400nm』を、『DEEP 紫外線』もしくは『DEEP UVA』と呼びます。

DEEPとは、『深い』『長い』のことで、「より波長が長い紫外線」、「より波長が長いUVA」を意味します。

『DEEP 紫外線』は、波長が長いため、肌深くまで侵入します。ですから、以前から、この「DEEP 紫外線」に対する防御は必要であると言われていました。

私の記憶では、初めに「DEEP 紫外線」に着目したのは資生堂だったと思います。資生堂は、大手原料メーカーと共同で、長波長UVAをカットする紫外線吸収剤を開発しました。しかし、吸収剤の場合、せいぜい、360nm~370nm付近の防御が精一杯で、370nm~400nmの「DEEP 紫外線」の防御は完璧ではありません。

何故なら、370nm~400nmの『DEEP 紫外線領域』を、吸収剤で防御しようとすると、吸収剤の結晶性が高くなりすぎて、化粧品への配合が困難になるからです。

そこで富士フィルムは、『D-UVガード』と呼ばれる、新たな技術で、370nm~400nmの『DEEP 紫外線』防御を可能にしました。

この『D-UVガード』は、紫外線散乱剤(酸化チタン)の周りを、UVA吸収剤であるt-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)』で表面処理をした、まさに、吸収剤と散乱剤の『ハイブリッド化』と言えるでしょう。

一言に『表面処理』と言っていますが、おそらく、アボベンゾンを、酸化チタンの表面に、『単一層』で処理しないと、紫外線を防御しませんし、光安定性の課題も生じてきます。

アボベンゾンの単一層処理は、分子レベルでのコントロールが必要ですから、簡単には出来ません。かなり『高度な表面処理技術』が必要です。

私が富士フィルムを評価したいのは、『D-UVガード』の開発は勿論ですが、それ以上に、皮膚に透過する「DEEP 紫外線」を『可視化』したことです。

富士フィルムは、独自に、「DEEP 紫外線」を光源に用いた光干渉断層計(OCT)を開発し、「DEEP 紫外線」が、真皮まで到達していることを初めて2次元的に可視化しました。さらに、『D-UVガード』を含む製剤を塗布した場合、「DEEP 紫外線」のお肌への侵入を完全に防いでいることも確認しています。

私も、この映像(写真)を見ましたが、『DEEP 紫外線の脅威』とともに、『D-UVガードの優秀性』が一発で分かる、素晴らしい手法だと思いました。

『実際に見る』という写真研究が、富士フィルムの土台ですから、富士フィルムでしか成しえない研究成果でしょう。

「DEEP 紫外線」を防御する『D-UVガード』技術は、アスタリフト ホワイトの『D-UVクリア ホワイトソリューション』に搭載されていますので、是非、お試しください。

DEEP 紫外線を防御するD-UVクリア ホワイトソリューション>

アスタリフトホワイト

おわりに

いかがでしょうか?

私が今回、注目の日焼け止めトピックスに、『光安定性(UVB)』『DEEP 紫外線(UVA)』を選んだのには理由があります。

それは、私自身、『光安定性』『DEEP 紫外線』が、日焼け止めに限らず、SPF, PA表示をする全ての商品の『闇』と考えているからです。

何故なら、「光安定性」と「DEEP 紫外線の防御」は、『SPFやPAの値』には出てきません。

言い換えれば、別に光安定性が悪くても、DEEP 紫外線を防御しなくても、SPF, PA値に大きな影響を与えないのです。

『SPF 30, PA+++』の商品があったとしましょう。光安定性に優れ、DEEP 紫外線を防御する「SPF 30, PA+++」もあれば、光安定性が悪く、DEEP 紫外線を防御しない「SPF 30, PA+++」もあるのです。

『光安定性の高さ』『DEEP 紫外線の防御』は、SPF, PA値から判断することは出来ないのです。ですから私は、これらを、SPF, PA表示商品の『闇』と表現しました。

現状、これらを判断するには、全成分表示から、「光安定性に配慮」した紫外線吸収剤の使い方を見極めるか、商品特徴から、「DEEP 紫外線を防御」しているかどうかを知る以外方法がありません。

同じSPF, PAスペックであるなら、絶対に、『光安定性に配慮』したモノや、『DEEP 紫外線を防御』したモノを選ぶべきです。

『DEEP 紫外線の防御』であれば、アスタリフト ホワイトの『D-UVクリア ホワイトソリューション』です。

富士フィルムの、『可視化技術』『D-UVガード』は秀逸です。これからの日焼け止めは、SPF, PAだけでなく、『DEEP 紫外線の防御』も必須になってくるでしょう。

<DEEP 紫外線を防御するD-UVクリア ホワイトソリューション>

アスタリフトホワイト

本記事の内容は個人の感想であって、効果を保証するものではありません

※日焼け止めは、最大限の効果を得るためにも、その効果を維持するためにも、たっぷりの量をこまめに塗り直すようにして下さい

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