ヒアルロン酸は、コスメにおける最も有名な『美容成分』です。
ヒアルロン酸配合コスメは多数存在しますし、ヒアルロン酸をメイン訴求したコスメも無数に存在します。
しかし、本当にヒアルロン酸はお肌にとって有用な成分なのでしょうか?
そこで今回は、化粧品開発者の私が、『ヒアルロン酸コスメの真実』をご説明します。
ヒアルロン酸とは?
ヒアルロン酸と言っても、コスメでは『ヒアルロン酸Na』として用いられています。
ヒアルロン酸は『ムコ多糖類』の一種です。
ムコ多糖類とは、糖の水酸基がアミノ基に置換されたアミノ糖を含む『酸性の多糖類』の事です。多糖類ですから、保湿性に優れ、ヒアルロン酸は1gで6Lもの水を保持することが出来ます。
また、ヒアルロン酸は、グルクロン酸とグルコサミンという2種の糖が交互に長くつながった『ポリマー』で、分子量は10万~100万と、『非常に大きい』です。
ヒアルロン酸は『高い保湿能』と、『肌との馴染みの良さ』から、現在のコスメにおいて『保湿成分』として広く用いられています。
ヒアルロン酸コスメの真実
お肌の表皮のさらに奥、『真皮』には、ヒアルロン酸が多く存在します。
真皮のヒアルロン酸は、『肌のうるおい』に大きく寄与しており、真皮のヒアルロン酸が減少すると、「肌のうるおい」とともに「ハリ」も無くなります。
ですから、お肌にとってヒアルロン酸は、非常に重要な成分であり、だからこそ、ヒアルロン酸配合コスメが多数存在するのです。
しかし、ここに大きな間違いがあります。
コスメに配合してお肌に塗布すると、ヒアルロン酸が肌深くまで吸収されたり、浸透されると思っている人もいると思いますが、これは『大きな間違い』であり、ヒアルロン酸が肌深部まで浸透することは『不可能』です。
何故なら、先程も述べたように、ヒアルロン酸の分子量は巨大ですから、そもそも肌に吸収されませんし、浸透もしません。
コスメにおけるヒアルロン酸は、肌表面に留まって保湿性の『保湿膜』をつくり、空気中や化粧品中の水分を含んで、角層内(肌内部)に与えます。
これが、ヒアルロン酸の『保湿機能』であり、肌深部に浸透して、肌の内側からうるおいを与えるわけではありません。
このような情報が広がったそもそもの発端は、一部の化粧品メーカーによる『間違った宣伝手法』でしょう。
一部メーカーは、コスメにヒアルロン酸を配合し、あたかも肌深部に浸透するかのような表現を使って、ユーザーの注目を集めようとしています。これは『大きな間違い』ですから、これら表現を用いるコスメは使うべきではありません。
肌への吸収・浸透性を高めるために、分子量の小さい『加水分解ヒアルロン酸』を用いるケースはありますが、加水分解ヒアルロン酸と言えど、肌深部まで浸透することは不可能です。
コスメにおいてヒアルロン酸は、最も重要な美容成分の一つです。
しかしその役割は、肌深部に浸透する訳ではなく、「肌表面に留まって保湿膜を作り、空気中や化粧品中の水分を角層内に与える」、これが『ヒアルロン酸コスメの真実』です。
肌内部にヒアルロン酸を届ける唯一の方法とは?
巨大な分子量のヒアルロン酸は、肌に吸収・浸透しませんが、コスメにおいて、ヒアルロン酸を肌内部に届ける唯一の方法があります。
それが『マイクロニードル』です。
マイクロニードルとは、『マイクロサイズ』(1000分の1ミリメートル)の『ニードル』(針)を敷きつめたシール状の『パッチコスメ』です。
ニードルが肌に刺さるため、直接、美容成分を肌内部に届けることが出来ます。
従来は注射でしか届けることが出来なかった成分を、ほぼ無痛で肌内部に取り込むことができ、さらには自宅で自分で施術が可能ですから、美容・医療分野の新技術として大変注目されています。
そもそもマイクロニードルは、糖尿病患者の、毎日のインシュリン注射が及ぼす皮膚への影響(針を刺した部位が次第に硬くなる)を解決するために、アメリカで開発されましたから、眉唾物ではなく、『確固たる理論に裏打ちされた技術』です。
針(ニードル)と聞くと、「痛い」・「危険」と思う人も多いと思います。
しかし、針といっても、マイクロの名の通り、『1000分の1ミリメートル』という超極細ですから、多少の刺激(チクチク感)は感じるかもしれませんが、痛いというレベルではありません。
実際、日本NO.1の資生堂が商品化していますから、マイクロニードルは危険なモノではなく、今後の美容分野の常識を大きく変える優れたコスメと言えます。
このマイクロニードル技術であれば、分子量が大きく、これまでの塗布型コスメでは届けることが出来なかったヒアルロン酸を、肌内部に届ける事が可能です。
ヒアルロン酸を肌内部に届ける唯一の方法が『マイクロニードル技術』なのです。
マイクロニードルは、ヒアルロン酸のような高分子量の美容成分を肌内部に直接浸透させる唯一のコスメですから、最近、非常に増えてきました。
今回は、話題のマイクロニードルコスメの一つ、『ハーリスモイストパッチ』をご紹介します。
ハーリス モイストパッチは、ヒアルロン酸を凌ぐ保水効果を持つ『プロテオグリカン』のマイクロニードルです。
プロテオグリカンは、たんぱく質の「プロテイン」と、多糖類の「グリカン」の複合体です。たんぱく質に多数の糖(グリカン)が結合した構造をしており、糖と糖の間に水分を保持する働きがありますから、『保水性』に優れます。
その効果は、『ヒアルロン酸やコラーゲンを凌ぐ』と言われていますが、プロテオグリカンは、ヒアルロン酸やコラーゲンほど有名な美容成分ではありません。
何故なら当時、プロテオグリカンは、『1g 3000万円』と言われるほど高価な成分で、なかなか研究が進まず、コスメへの配合は困難だったからです。
現在では、製造技術が確立され、価格が落ち着いてきたため、コスメへの配合が可能になりました。と言っても、非常に高価な成分に変わりありませんから、プロテオグリカン配合コスメはまだ少ないのが現状です。
そんな中で、『ハーリスモイストパッチ』は、プロテオグリカン配合のマイクロニードルとして注目を集めています。
さらに、「ヒアルロン酸」「ユビキノン(Q10)」「加水分解乱卵殻膜」「プラセンタ」「コラーゲン」「フラーレン」「ビタミン類」「セラミド」「EGF」など、プロテオグリカン以外の美容成分も豊富に配合されています。
そもそもマイクロニードルは、糖尿病患者の、毎日のインシュリン注射が及ぼす皮膚への影響(針を刺した部位が次第に硬くなる)を解決するために、アメリカで最初に開発された技術です。
マイクロニードルであれば、背中などにパッチを貼るだけで、痛みをほとんど感じずにワクチンを体内に注入することが可能ですから、美容分野だけではなく、医療分野での応用も大いに期待されています。
ヒアルロン酸などの保湿効果が期待できる高分子量の成分を、肌に浸透させることができる唯一の方法が(コスメにおいて)、『マイクロニードル』です。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません
