クレンジングには様々なタイプがありますが、「オイルクレンジング」と「リキッドクレンジング」の違いはご存知でしょうか?
最近、ある週刊誌の化粧品特集で、「オイルクレンジングは界面活性剤が多いため肌に悪い」との記述がありました。
これは『大きな間違い』ですが、この間違いを、堂々と週刊誌で語る美容のプロと称する方が存在すること自体、「オイルクレンジング」と「リキッドクレンジング」の違いが、世に浸透していない証拠ではないでしょうか?
そこで今回は、化粧品開発者の私が、「オイルクレンジング」と「リキッドクレンジング」の違いを、複数の観点からご説明します。
オイルクレンジングとは?
オイルクレンジングとは、その名の通り、配合成分のほとんどを『オイル(油)』が占めているクレンジングです。
この「オイル」がメイク汚れを落としますから、配合成分の大部分を「オイル」が占めるオイルクレンジングは、『圧倒的なクレンジング力』を発揮します。
オイルクレンジングには『界面活性剤』も配合されています。この、オイルクレンジングに配合の界面活性剤を、メイク汚れを落とす「洗浄剤」と考えている方もいるようですが、これは『間違い』です。
確かに、わずかながらの洗浄効果は期待出来ますが、オイルクレンジングに配合の界面活性剤は、「洗浄剤」と言うより、『乳化剤(可溶化剤)』として配合されています。
オイルクレンジングは圧倒的クレンジング力を有しますが、一方で、『洗い上がりの悪さ』がデメリットです。
配合成分のほとんどが『オイル』ですから、すすぎの水で洗い落とすことは困難です。ですから、ユーザーの中には、「オイルクレンジングは後肌がベトベト、ヌメヌメする」とお感じの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この、オイルクレンジングの洗い上がりの悪さを改善するのが『界面活性剤』です。洗い上がりをよくするためには、すすぎの水で綺麗に『乳化』される必要があり、そのためにオイルクレンジングには、『乳化剤』として界面活性剤が配合されるのです。
また、今のオイルクレンジングは「濡れた手でも使える」というモノが多いと思います。
濡れた手でも使えるためには、手についた水を『可溶化』させる必要がありますから、『可溶化剤』としても界面活性剤が配合されます。
界面活性剤には、水となじみが良い『親水性』のモノと、油となじみが良い『親油性』のモノがありますが、「可溶化剤」や「乳化剤」(すすぎの水で乳化される)として働くためには『親水性の界面活性剤』が必要です。
ですから、厳密に言えば、オイルクレンジングには乳化剤・可溶化剤として機能する、『親水性の界面活性剤』が配合されているのです。
オイルクレンジングの名品と言えば、「DHC 薬用ディープクレンジングオイル」・「ファンケル マイルドクレンジングオイル」・「アテニア スキンクリア クレンズ オイル」です。
その中でも、発売からまだ間もないのに、何度も『@コスメ ベストコスメアワード第一位』(クレンジング部門)に選出された『アテニア スキンクリア クレンズオイル』が注目されています。
「アテニア スキンクリア」は、『圧倒的クレンジング力』は勿論、アテニア独自の親水性の界面活性剤によって、『驚くべき洗い上がりの良さ』を実現しています。
<アテニア スキンクリア クレンズオイル>
リキッドクレンジングとは?
リキッドクレンジングとは、水の配合量が多く、『水ベース』のクレンジングです。
一般的に、リキッドクレンジングを『増粘剤』でジェル状にしたものを、「ジェルクレンジング」と言い、増粘剤でジェル状にしているだけですから、基本、「リキッドクレンジング」と「ジェルクレンジング」の配合成分・効果に大きな違いはありません。
リキッドクレンジングは水ベースですから、「オイル」はほとんど配合されていません。ですから、リキッドクレンジングに配合の、メイク汚れを落とす成分は『界面活性剤(親水性)』です。
後ほど詳しく述べますが、このように「リキッドクレンジング」と「オイルクレンジング」では、『汚れを落とすメイン成分が違う』のです。
リキッドクレンジングの名品と言えば『オルビス クレンジングリキッド』。
『オルビス クレンジングリキッド』は、数あるリキッドクレンジングの中でも名品と言える一品ですし、世のリキッドクレンジングは全てオルビスの真似だと考えています。
『オイルフリー』を企業理念に掲げるオルビスは、オイルフリー技術に関しては超一流ですから、オイルが配合されていないリキッドクレンジングは、オルビスが最も得意とする剤型の一つです。
<オルビス クレンジングリキッド>
「オイルクレンジング」と「リキッドクレンジング」の違いは?
オイルクレンジングの名品「アテニア スキンクリア クレンズオイル」と、リキッドクレンジングの名品「オルビス クレンジングリキッド」を例に、オイルクレンジングとリキッドクレンジングの違いをご説明します。
下記がそれぞれの全成分ですが、表示上位のメイン成分のみ抜粋しています。赤字が『界面活性剤』、青字が『オイル』です。
<オイルクレンジング:アテニア スキンクリア クレンズオイル>
エチルヘキサン酸セチル、ジイソノナン酸BG、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20、ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、、、
<リキッドクレンジング:オルビス クレンジングリキッド>
DPG、水、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジイソステアリン酸PEG-12、ステアリン酸PEG-45、、、
メイク汚れを落とす成分(洗浄成分)が違う!
これは、先ほど述べましたが、オイルクレンジングとリキッドクレンジングでは、『汚れを落とすメイン成分』(洗浄成分)が違います。
オイルクレンジングの洗浄成分は『オイル』、リキッドクレンジングは『界面活性剤(親水性)』です。
オイルクレンジングの「アテニア」は『オイル』(青字)が、リキッドクレンジングの「オルビス」は『界面活性剤』(赤字)が、表示上位を占めているのが、先に示した両商品の全成分を見て頂ければお分かりになると思います。
界面活性剤の配合量が違う!
オイルクレンジングとリキッドクレンジングでは、『界面活性剤の配合量』が違います。
冒頭で、「オイルクレンジングは界面活性剤が多いため肌に悪い」という、ある週刊誌の美容のプロと称する方の『間違った情報』を紹介しましたが、オイルクレンジングとリキッドクレンジングでは、そもそも界面活性剤の『配合目的』が違います。
オイルクレンジングの界面活性剤は、「洗浄剤」というよりも、洗い上がりの改善や濡れた手でも使えるようにするための『乳化剤』として配合されますから、配合量は少ないです。
界面活性剤は、『少量』で乳化能を発揮します。
ですから、界面活性剤の配合量と言う点では、『洗浄剤』として配合しているリキッドクレンジングの方が、オイルクレンジングよりもずっと多いです。
クレンジング力が違う!
オイルクレンジングとリキッドクレンジングでは『クレンジング力』が違います。
クレンジング力と言う点では、『オイルクレンジング』の方が優れます。
何故なら、オイルクレンジングとリキッドクレンジングでは、『洗浄成分の配合量が違う』からです。
オイルは『安全性が高い』ですから、オイルクレンジングには、洗浄成分のオイルが多量に配合されています。アテニアの場合、オイル(洗浄成分)である「エチルヘキサン酸セチル」と「ジイソノナン酸BG」で、おそらく配合成分の『90%以上』を占めているでしょう。
一方、界面活性剤は、オイルに比べれば『安全性の課題』がありますから、高配合出来ません。オルビスの場合、全成分上位に『親水性の界面活性剤』である、「トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル」・「イソステアリン酸PEG-20グリセリル」・「ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル」が表示されていますが、配合成分の大部分が『DPG+水』であって、これら界面活性剤は、おそらく『合計30%以下』ではないかと予想されます。
このように、『安全性面』から、オイルクレンジングとリキッドクレンジングでは、『洗浄成分の配合量』が違うのです。
もし仮に、親水性の界面活性剤を高配合出来るのであれば、リキッドクレンジングのクレンジング力はオイルクレンジング以上になりますが、『安全性』と『使用感』から、それは不可能です。
洗い上がりの良さが違う!
アテニア スキンクリア クレンズオイルは、オイルクレンジングの中でも『断トツの洗い上がりの良さ』です。
これは、アテニア独自の『親水性の界面活性剤』のおかげであって、アテニアの『高い技術力』の賜物です。
しかし、世のオイルクレンジングは、ここまでの洗い上がりの良さではありません。
洗い上がりと言う点では、『水ベースのリキッドクレンジング』の方が優れます。
肌への優しさが違う!
一般的に、水ベースのリキッドクレンジングは『肌に優しい』(安全性が高い)と言われています。これは間違いではありませんが、一点注意が必要です。
それが『安全性基準』です。
このブログでも再三申し上げていますが、コスメの安全性基準は各化粧品メーカーの『自社基準』です。ですから、メーカーによって安全性基準は異なりますし、安全性評価の技術に乏しいメーカーであれば、基準そのものが存在しません。
オルビスのような超一流メーカーであれば、高い次元で安全性が評価出来ますし、基準もしっかり定めているはずです。
しかし、安全性評価技術に乏しいメーカーであれば、基準そのものが存在しませんから、クレンジング力だけに注目して、界面活性剤高配合のリキッドクレンジングが存在する可能性はあります。
これは非常に危険ですから、このようなクレンジングは、肌に全く優しくありません。
オルビスのような『高品質リキッドクレンジング』であれば、肌に優しく使って頂けますから、リキッドクレンジング選びにはご注意ください。
また、世の中は、「オイルクレンジングは肌に負担がある」という風潮にありますが、オイルクレンジングそのものに負担はありません。
基本、オイルクレンジングに配合されている成分は、安全に、肌に優しくお使い頂けます。
ただし、すすぎが不十分であったり、その後の基礎スキンケアを怠ったりすると、肌への負担になりますから、オイルクレンジング使用の際は、『十分なすすぎ』と『その後のスキンケア』を忘れずに行ってください。
「オイルクレンジング」と「リキッドクレンジング」、どちらがおすすめ?
「アテニア スキンクリア クレンズオイル」と「オルビス クレンジングリキッド」に限定すれば、オイルクレンジングとリキッドクレンジング、『どちらもおすすめ』です。
「アテニア」・「オルビス」、双方とも、タイプは違えど『クレンジングの名品』であり、『クレンジングの最高峰』と言っても過言ではありません。
ですから、ご自身の『メイクスタイル』と『肌質』で判断されるのが良いと思います。
しっかりメイク派なら「オイルクレンジング」
しっかりメイクされる方であれば、オイルクレンジングの名品、『アテニア スキンクリア クレンズオイル』がおすすめです。
リキッドクレンジングでは、アイメイクや日焼け止め(ウォータープルーフ)を落とすのは困難でしょう。
なかなか落ちないと、ゴシゴシと『物理的な力』で落としがちです。物理的な力による洗浄行為は、『最もやってはいけない行為』ですから、しっかりメイクをされる方であれば、圧倒的クレンジング力を誇る『アテニア スキンクリア クレンズオイル』をおすすめします。
<オイルクレンジングの名品「アテニア スキンクリア クレンズオイル」>
薄付きメイク派なら「リキッドクレンジング」
薄付きメイク派やナチュラルメイク派の方であれば、リキッドクレンジングの名品、『オルビス クレンジングリキッド』がおすすめです。
これらメイクスタイルの方は、そもそも落とすべきメイク汚れが少ないですから、クレンジング力にこだわる必要はありません。
過度なクレンジング力は、時に、肌への負担になりますから、余計な負担(刺激)から肌を守るためにも、薄付き派・ナチュラル派の方であれば、『オルビス クレンジングリキッド』をおすすめします。
また、「オイルクレンジングが肌に合わない方」や「オイルクレンジング特有の使用感に抵抗がある方」も、少なからずいらっしゃるようです。
そのような方にも『オルビス クレンジングリキッド』をおすすめします。
確かに、オイルクレンジングに比べればクレンジング力は劣りますが、オルビス クレンジングリキッドのクレンジング力は、リキッドクレンジングの中で一線を画しています。
ポイントは、オルビス クレンジングリキッドに、最も多く配合されている『DPG』です。
「DPG」は多価アルコールで、コスメには『保湿成分』として配合されますが、多価アルコールの中でもメイク汚れとの相性が良く、優れたクレンジング能を発揮します。
安全性面から、洗浄成分である界面活性剤は高配合出来ません。これによって不足するクレンジング力を、多価アルコール(保湿成分)で補うことで、「クレンジング力」と「肌への優しさ(安全性)」を追求したのが、クレンジングリキッドの名品『オルビス クレンジングリキッド』です。
<リキッドクレンジングの名品「オルビス クレンジングリキッド」>
おわりに
いかがでしょうか?
「オイルクレンジング」と「リキッドクレンジング」の違い、お分かりになりましたか?
是非、『正しい知識』で、ご自身のメイクスタイル・肌質に合ったクレンジングをお選びください。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません
