クレンジングには様々な剤型タイプがありますが、圧倒的なクレンジング力で幅広いユーザー支持を得ているのが『オイルクレンジング』です。
オイルクレンジングと言えば「ファンケル マイクレ」と「アテニア スキンクリア」が有名です。
「ファンケル」は、@コスメベストアワードで2016年に殿堂入りしていますし、「アテニア」は、@コスメベストアワードで2年連続第一位を受賞しています。
いずれも大人気商品ですが、一体どちらがおすすめで、何が違うのでしょうか?
そこで今回は、化粧品開発者の私が、「ファンケル マイクレ」と「アテニア スキンクリア」の技術的な違いと、どちらがおすすめかをご説明します。
ファンケルとアテニア
アテニアは『ファンケルのグループ会社』です。ポーラとオルビス、コーセーとアルビオンなどと同じ関係です。
このようなケースを『アウトオブブランド』と言いますが、アウトオブブランドの場合、販売戦略的にグループ会社であることを隠しますが、現在は、ネットで簡単に調べられますし、アテニアの場合、ホームページ上にファンケルのグループ会社である旨の記載がされています(小さい字ですが)。
同じグループですから、『研究母体が同じ』です。
つまり、ファンケルのグループ会社であるアテニアの研究開発部門はファンケルという事ですから、アテニアはファンケルの高い技術を製品に展開できる一方、処方(技術)がファンケルに近くなります。
後ほどご説明しますが、ファンケルとアテニアのオイルクレンジングの全成分を比較すると、両品の『処方の近さ』がお分かりになると思います。
処方が近いと言っても、無添加コスメであるファンケルは『防腐剤フリー』ですが、アテニアには防腐剤が配合されています。
このように、『ブランドコンセプト』及び『キーテクノロジー』と言う点においては、同じグループと言えど、大きな違いはあります。
ファンケル マイルドクレンジングオイル
「ファンケル マイルドクレンジングオイル」は、『4秒に1本』売れている、オイルクレンジングの名品中の名品です。
「マイクレ」は1997年に、敏感肌の方でも 使える『肌に優しいクレンジング』として誕生しました。
しかし当時は、「オイルクレンジング=肌に悪い」が定説でしたから、「敏感肌の方でも使える肌に優しいオイルクレンジング」をコンセプトにしたファンケル マイクレは、ユーザー支持を得るのにかなり苦労したと記憶しています。
転機となったのが、2009年のリニューアル。
これまでの『肌への優しさ』に加え、独自開発の「パーフェクトブレンドオイル」と「ナノサイズクレンジング技術」により、『高いクレンジング力』を実現し、生まれ変わりました。
このリニューアルが功を奏し、多くのユーザーから支持を得ることに成功。2009年2月のリニューアルから『4000万本以上』(2017年5月末まで)を販売しています。
「肌への優しさ」をキープしつつ、『圧倒的クレンジング力』を前面に押し出して大成功を収めた「マイクレ」ですが、オイルクレンジングであれば、クレンジング力に優れるのは当たり前です。
私が考える「マイクレ」の最大の特長(技術)は、『優れた洗い上がり』です。
一般的なオイルクレンジングは、クレンジング力が優れる代わりに、『洗い上がりが悪い』です。すすぎの水でなかなか落ちず、ベトベトヌメヌメします。
この『後肌の悪さ』(洗い上がりの悪さ)がオイルクレンジングのデメリットの一つですが、ファンケル マイクレは、これまでのオイルクレンジングに比べ、圧倒的に洗い上がりに優れます。
私は、「マイクレ」の『洗い上がりの良さ』を一番に評価しており、『洗い上がり向上技術』こそ、「マイクレ」の『キーテクノロジー』であって、ファンケルしか出来ない、『唯一無二の技術』と考えています。
この圧倒的な洗い上がりの良さの正体は、『親水性界面活性剤』です。その中でも、「マイクレ」に配合されている、『20量体のポリグリセリン界面活性剤』がキー成分でしょう。
オイルクレンジングの洗い上がりを向上させるためには、クレンジング後、すすぎの水で綺麗に洗い流される必要があります。
専門的に言うと、すすぎの水で『乳化』される必要があり、この時に重要な役割を果たすのが『親水性の界面活性剤』です。
※親水性・・・水に似た特性を持っており、水性成分となじみが良い
ポリグリセリン系界面活性剤には、結合させるグリセリンの数によって様々な種類があります。結合させるグリセリンの数が多いほど『親水性』になりますが、一般的に、グリセリンの最大結合数は『10』が多いです。
※「○○酸ポリグリセリルー10」 ⇒ グリセリンの結合数10(10量体)の界面活性剤
何故なら、結合数10で『十分な親水性を示す』というのもありますが、そもそも10以上のグリセリンを結合させることは『技術的に困難』だからです。
グリセリンの結合数が多くなればなるほど、グリセリン鎖が円を描くように丸くなってしまい、結合出来なくなります。
おそらくファンケルは、大手原料メーカーと共同で、20量体のポリグリセリン界面活性剤の開発に成功したのでしょう。
現に、20量体のポリグリセリン界面活性剤は、ファンケルの製品以外であまり見たことがありません。
このように、ファンケルの高い技術力が、『20量体のポリグリセリン界面活性剤』を可能にし、これによって、これまでの常識を覆す「オイルクレンジングなのに抜群の洗い上がり」を実現しました。
この技術は、「アテニア スキンクリア クレンズオイル」にも展開されています。
ファンケルとアテニアの違いは? どちらがおすすめ?
ファンケルとアテニアの全成分を比べてみましょう。
赤字が『共通成分』です。
<ファンケル マイルドクレンジングオイル 全成分>
エチルヘキサン酸セチル、ジイソノナン酸BG、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、グリセリン、ジカプリリルエーテル、ジメチコン、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、メドウフォーム油、ジグリセリン、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ダイズ油、ステアリン酸イヌリン、トコフェロール
<アテニア スキンクリア クレンズオイル 全成分>
エチルヘキサン酸セチル、ジイソノナン酸BG、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20、ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、シスツスモンスペリエンシスエキス、ヘリクリスムイタリクムエキス、バオバブ種子油、アルガニアスピノサ核油、アメリカネズコ木水、レモングラス油、ベルガモット果実油、ビターオレンジ花油、ラベンダー油、パーム油、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸イヌリン、トコフェロール、香料、フェノキシエタノール
ご覧のように、表示上位の成分がほとんど同じです。これら成分は、おそらく、全配合成分の『95%以上』を占めますから、これはすなわち、『処方がほぼ同じ』という事です。
一番の違いは、『20量体のポリグリセリン界面活性剤の量』でしょう。
ファンケルは、20量体のポリグリセリン界面活性剤が、全成分表示の上位『4番目&6番目』に対し、アテニアは、全成分表示の上位『4番目&5番目』です。
これは、アテニアの方が『洗い上がりに優れる』という事であり、実際、ファンケル マイクレは『W洗顔必要』に対し、洗い上がりに優れるアテニア スキンクリアは『W洗顔不要』です。
W洗顔不要という事は、手間的にも、経済的にも有利ですから、私は『アテニア スキンクリア クレンズオイル』をおすすめします。
<アテニア スキンクリア クレンズオイル>
また、容量・価格的にも、ファンケル「120mL / 1836円(税込)」に対し、アテニアは『175mL / 1836円(税込)』ですから、アテニアは『コスパ』にも優れます。
ただしアテニアには、パラベンフリーですが、『フェノキシエタノール』が配合されています。私自身、フェノキシエタノールは、最も安全にお使い頂ける防腐剤の一つと考えていますが、中にはご自身の信念で、『防腐剤フリー』を好む方もいらっしゃいます。
そのような方は、防腐剤フリーの『ファンケル マイルドクレンジングオイル』をお選びください。
おわりに
いかがでしょうか?
「ファンケル マイクレ」、「アテニア スキンクリア」、いずれもファンケルの高い技術力が可能にした『唯一無二のオイルクレンジング』です。
「W洗顔不要」、「コスパ」の点から、化粧品開発者の私は『アテニア スキンクリア』をおすすめしますが、防腐剤フリーを好む方は『ファンケル マイルドクレンジングオイル』をお選びください。
両品とも、これまでのオイルクレンジングの常識を覆した一品です。
<アテニア スキンクリア クレンズオイル>
<ファンケル マイルドクレンジングオイル(防腐剤フリー)>
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません
