以前、「化粧下地は必要か?それとも消えゆくアイテムか?」という記事を書きました。
「BBクリーム」や「リキッドファンデーション」が流行で、パウダーファンデーションユーザーが減りつつある現状を踏まえての記事でしたが、おかげさまで皆様からご好評を頂いています。
『化粧下地』に関しては、サンスクリーン(日焼け止め)が下地の代わりになるか?という疑問があります。
また、日焼け止めと化粧下地の使用順序に関する 疑問も多いようです。
そこで今回は、化粧品開発者の私が、「サンスクリーン(日焼け止め)は化粧下地の代わりになるか?」の疑問について、私見を述べさせて頂きます。
そもそも化粧下地は必要?
そもそも、化粧下地は必要なのでしょうか?
以前の記事でも述べましたが、私が化粧品業界に入った時は、『パウダーファンデーション』が全盛でした。
やはり、『仕上がり』と言う点で、リキッドタイプに比べパウダータイプは圧倒的に優れていますから、ユーザーの多くが、パウダーファンデーションを求める時代でした。
パウダーファンデーションの処方構成は、大部分が『粉体』です。その中には、肌色の元となる酸化チタンや酸化鉄などの『着色顔料』、基剤・増量剤の役目を果たすタルクなどの『体質顔料』、そして、光学効果で仕上がりを改善したり、粉体の形状で使用感を向上させる『複合粉体』があります。
「複合粉体」は、パウダーファンデーションの『機能(仕上がり・使用感)』を大きく向上させるため、『機能性粉体』とも言われますが、当時、様々な「機能性粉体(複合粉体)」が開発されました。
ですから、パウダーファンデーション全盛の頃に、大きな進化を遂げた『機能性粉体開発技術』が、今現在のメイク料の機能(仕上がり・使用感)を支えていると言っても過言ではありません。
2000年初頭の韓流ブームにより、『BBクリーム』が大流行になりました。一時のブームで終わると思っていましたが、「BBクリーム」は、今や定番アイテムとして確固たる地位を築いています。
「BBクリーム」は、『リキッドファンデーション』とほぼ同じ処方骨格です。
「BBクリーム」と「リキッドファンデーション」は『乳化タイプ』ですから、化粧下地の必要はありません。また、両者は、パウダーファンデーションに比べ『保湿機能』に優れます。
化粧下地不要という『時短ニーズ』と、メイクにもスキンケア効果という『保湿ニーズ』の高まりが、「BBクリーム」・「リキッドファンデーション」人気を後押しし、ユーザーのパウダーファンデーション離れにつながったのでしょう。
化粧下地はパウダーファンデーションの塗布前に必須ですから、パウダーファンデーション離れとともに、化粧下地ユーザーも同時に減ったわけですが、それでも化粧下地は消えゆくアイテムではありませんし、むしろ、『必須アイテム』です。
次項で詳しくご説明します。
化粧下地に求められる役割
(パウダー)ファンデーションの仕上がり向上
化粧下地に求められる役割は『ファンデーションの仕上がり向上』です。
特にパウダータイプは、スキンケア後すぐに塗布すると、仕上がりが汚く、化粧もちも悪いですから、『化粧下地』は必須です。
BBクリームやリキッドファンデーションの台頭で、ユーザーのパウダーファンデーション離れは進んでいます。
しかし、パウダーファンデーションがなくなることはありません。
何故なら、様々なファンデーションタイプがある中で、『仕上がり面』では『パウダータイプがNO.1』だからです。
ファンデーションに仕上がりが求められなくなったら、パウダーファンデーションは消えてしまうかもしれませんが、ファンデーションを含むメイク料の本来の役割は、肌を美しく見せる『演色』ですから、仕上がりニーズがなくなることはあり得ません。
パウダーが肌に合わない方を除き、コスメに造詣が深いユーザーほど、『仕上がり』へのプライオリティーが高く、『パウダーファンデーション』をお使いのようです。
パウダータイプはリキッドタイプに比べ「保湿効果」は劣りますが、その分、スキンケアでのお手入れをしっかりすれば問題ありません。
パウダーファンデーションの仕上がり・化粧もちを、飛躍的に向上させるために『化粧下地』は必須アイテムです。
紫外線カット効果の補助
ファンデーションの主流が、「BBクリーム」・「リキッドファンデーション」に移行したのであれば、化粧下地の役割も変化すべきです。
つまり、これまで「(パウダー)ファンデーションの仕上がり向上」を最大の役割としてきた化粧下地ですが、今後は、『新しい役割』を持たせるべきだと私は思います。
それが、『紫外線カット効果の補助』です。
私の提案は、化粧下地不要の「BBクリーム」・「リキッドファンデーション」ユーザーに、『紫外線カット効果の補助』という目的で『化粧下地』を使ってほしいというものです。
「紫外線から肌を守るために化粧下地を使う」というのは、何も珍しいことではありません。この提案の真の意味は、現在の『間違ったSPF, PAの解釈』に関係します。
SPF, PAは、どのように測定されるかご存知でしょうか?
SPF, PAは、『人の背中』を使って測定しています。ほぼ全ての化粧品メーカーが、外部の専門機関に依頼して測定しています。
人の背中に製剤を塗布するわけですが、この時の『塗布量』は決まっています。
塗布量は、『1cm×1cmあたり2mg』です。
実は、この決められた塗布量は、実使用の塗布量に比べてかなり『多い』です。言い換えれば、実使用の塗布量は、SPF, PA試験時の塗布量に比べ、かなり『少ない』ことになりますから、実使用において、表示SPF, PAの効果は期待できません。
この事実を知らないユーザーが多く(メーカーが明らかにしたがらないため)、「高SPF, PAの日焼け止めを使っているから大丈夫」と、長時間、屋外で活動すると、塗布量が少ないですから、表示SPF, PAの効果が得られず、日焼けしてしまったというケースはよくあります。
ですから、表示SPF, PAの効果を最大限得るために、SPF, PA表示商品には、「たっぷりな量をこまめに塗り直してください」という旨の表示があるはずです。
これは、実使用の塗布量が少なすぎて、表示SPF, PAの効果が得られないという現実に対し、日本の化粧品業界団体(粧工連)が、ユーザーに注意喚起を促すよう、化粧品メーカーに指示を出したためです。
しかし、いくら注意喚起をしても、「BBクリーム」や「リキッドファンデーション」などの『色モノ』は、よく伸ばして薄づきにするユーザーが圧倒的多数です。
こうした色モノは、メーカー側の宣伝文句にも『薄づき』と使うくらいですし、メイクを紹介するブログの多くも『薄づき』を推奨しています。
しかし忘れていけないのは、「BBクリーム」や「リキッドファンデーション」は、肌色の演出は勿論ですが、『紫外線カット』の役割もあるということです。
『薄づき』によって、綺麗でナチュラルな仕上がりにはなりますが、これらアイテムのSPF, PAは、『決められた量』を塗った時の値ですから、薄づきになればなるほど、『日焼けのリスク』は高まります。また、あまりに薄づきすぎると、SPF, PAアイテムなのに、紫外線カット効果がほとんどないという事態になりかねません。
であれば、「BBクリーム」や「リキッドファンデーション」を、SPF, PA試験時の『決められた量』に近づけるために、『たっぷりな量』を塗ればよいということになります。
しかしこれは、『非現実的』です。
何故なら、「BBクリーム」や「(リキッド)ファンデーション」などの、『色モノのSPF, PAアイテム』を、SPF, PA試験時の『決められた量』塗布すると、塗布量が多すぎて(厚塗り)、レンガのような不自然な、ものすごく残念な仕上がりになるからです。
ですから、BBクリームやリキッドファンデーションなどの『色モノのSPF, PAアイテム』において、いくらたっぷりの量を塗ることが大切だと言っても、実際のSPF, PA測定時の『決められた量』塗ることは、『仕上がり面』で不可能です。
しかし一方で、BBクリームやリキッドファンデーションは、肌を美しく見せる『仕上がり面』が重要でありながらも、『紫外線カット』という、お肌にとって非常に重要な役割も担っています。
ではどうすべきか?
この答えが『化粧下地』です。
下地不要のBBクリームやリキッドファンデーションであっても、『紫外線カット効果がある化粧下地』を使うことで、『重ね塗り効果』を狙うのです。
注意して頂きたいのは、SPF, PAにおいて、『足し算』は認められていないという事。
例えば、「SPF 20の化粧下地」を塗布後、「SPF 30のパウダーファンデーション」を塗布した場合、「SPF 50の効果」が期待出来るという訳ではない事、ご注意ください。
化粧下地にもなる日焼け止めは?
日焼けのリスクを少しでも低減するには、下地不要のBBクリームやリキッドファンデーションであっても、重ね塗り効果を狙うために、紫外線カット効果がある(SPF, PA表示あり)化粧下地を使うべきと私は考えます。
足し算は認められていませんが、紫外線カット効果がある化粧下地との『重ね塗り効果』によって、例え、その後のBBクリームやリキッドファンデーションが薄づきになったとしても、『紫外線カット機能を補助』し、表示SPF, PAに近い効果を得られると考えています。
ですから、BBクリームやリキッドファンデーションに使う化粧下地であれば、『サンスクリーン(日焼け止め)』でも問題ありません。
化粧下地と日焼け止めの処方骨格は非常に近いですから、日焼け止めは化粧下地の代わりになります。
化粧下地の代わりになる日焼け止めとしては、『ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』があります。本品は、ベビー・子供・デリケートな肌の人に使える『低刺激設計』となっています。
同じ低刺激設計に、アネッサのマイルドシリーズがありますが、何故、ベビー・子供・デリケートな肌に使えるかの根拠が脆弱です。
一方、『ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』は、デリケートな肌の人にも使って頂けるように、『紫外線吸収剤フリー』です。
さらに、『2歳以上の幼児を対象とした連用テスト』を実施しており、幼児に対する安全性を確認しています。
勿論、全ての幼児の肌に合うという訳ではありません。
しかし、アネッサの『脆弱な根拠』に比べ、『ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』の「吸収剤フリー」と「2歳以上の幼児を対象とした連用テスト」は、『信頼性の高い根拠』です。
「2歳以上の幼児を対象とした連用テスト」を実施している、『ベビー・子供用日焼け止め』には、滅多にお目に掛かれません。今後益々、日焼け止めユーザーの『低年齢化』が進むでしょう。
このような時代背景からも、『ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』は、下地にもなる代表的な日焼け止めコスメと言えるでしょう。
おわりに
いかがでしょうか?
BBクリームやリキッドファンデーションを発売するメーカーは、化粧下地を発売しないケースが多いです。これらリキッドタイプの色モノは、『化粧下地不要』としていますから、当然と言えば当然です。
しかし、仕上がりばかりを重視して、『紫外線から肌を守る』という大切なことを忘れてはいけません。
「いつまでも若々しい健やかな肌の実現」という化粧品の『本質』を考えると、BBクリームやリキッドファンデーションであっても、仕上がり以上に、紫外線カットの方が重要とさえ感じます。
パウダーファンデーションをお使いであれば、『パウダーファンデーションの仕上がり向上』のために、下地不要のBBクリームやリキッドファンデーションをお使いであれば、重ね塗りによる『紫外線カット効果の補助』のために、化粧下地の使用をおすすめします。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません
