クレンジングには様々なタイプがありますが、温度のチカラで毛穴を開かせて、毛穴汚れまでしっかり落とすモノが『温感クレンジング』です。
温感クレンジングと言えば『マナラ』というくらい、『マナラ ホットクレンジングゲル』は有名ですね。
今回は、話題の温感クレンジング『マナラ ホットクレンジングゲル』を、元化粧品開発者の私の目で分析いたします。
マナラ ホットクレンジングゲルの基本情報
タイプ
非水系ゲル ※エキス由来の水は含まれています
用量 / 価格
200g / 4104円(税込)
全成分
グリセリン、DPG、オリーブ油、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル-10、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、PEG-10ヒマワリグリセリズ、ステアリン酸グリセリル(SE)、水、メドウフォーム油、パパイン、加水分解コラーゲン、アーチチョーク葉エキス、ヒアルロン酸Na、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、セレブロシド、スクワラン、ラウリン酸ポリグリセリル-10、オリーブ油脂肪酸エチルヘキシル、α-アルブチン、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ノイバラ果実エキス、オウゴン根エキス、マンダリンオレンジ果皮エキス、オプンチアフィクスインジカ茎エキス、ローヤルゼリーエキス、プエラリアミリフィカ根エキス、メマツヨイグサ種子エキス、加水分解酵母エキス、ポリグルタミン酸、セイヨウトチノキ種子エキス、ザクロ果実エキス、ダイズ種子エキス、トコフェロール、ヘマトコッカスプルビアリス油、サフラワー油、ダイズ油、ミツロウ、ハチミツ、ニンジン根エキス、アルギン酸Na、BG、リモネン、ペンチレングリコール、シアノコバラミン、カルボマー、フェノキシエタノール
商品ページ
元化粧品開発者の目で分析してみました
【ココがすごい!】最高レベルの温感
温感クレンジングは、何故、温度を感じるのでしょうか?
『グリセリン』がお肌表面の『水分』と接触すると、『水和熱』と言われる熱を発生します。この熱を利用したモノが『温感クレンジング』です。
ですから、温感クレンジングの成分特徴として、グリセリンメインで、ほとんど水を含みません(非水系と言います)。成分に水を含むと、製造時に、グリセリンと水が水和して熱を発生してしまい、ユーザーが使う際には温度を感じません。
温感クレンジングでも全成分に水が表示されている場合があります。マナラも水が表示されていますね。この水はおそらく、そのほとんどが『エキス由来の水』だと考えられるので、配合量はごくわずかでしょう。グリセリンの水和、及び水和熱には大きな影響を与えません。
私も化粧品開発者だった頃、温感クレンジングの製剤化を担当しました。温感クレンジングで課題となるのが、『原価』です。基本、水が配合出来ませんので、原料価格が高くなってしまいます。
当時私は、原価を下げるために『水』の配合を検討しました。温感クレンジングに水を配合すると、使用時の『温感(水和熱)』に影響を与えます。
原価を下げるために水を配合したいが、温感を犠牲に出来ない・・・。
原価と温感のギリギリのラインを検討しました。実際、当時の温感クレンジングには水が配合されているものがありました。
ただし、水を配合することで『温度を犠牲』にせねばなりません。当時の私は、入りたての新人同然でしたので、会社からの原価低減の指令に逆らえず、多少の温度を犠牲にして、製剤化したことを覚えています。
しかし、ユーザーが温感クレンジングに求めるのは、『温度』です。温度によって毛穴を開かせ、毛穴の汚れを取り除きたいのです。
原価低減のためとはいえ、温感クレンジングの根幹ともいうべき『温度』を犠牲にして製剤化を行ったことを、今でも後悔しています。
マナラの全成分を見ると、ほとんど水は配合されていません。表示されている水はエキス由来の水だと考えられるので、温度への影響はないでしょう。
原価よりも、ユーザーが求める『温度(温感)』を追求する開発姿勢は尊敬できますし、だからこそ、温感クレンジングの分野で、ユーザーから高い支持を得ているのだと思います。
【ココが残念・・・】クレンジング力が・・・
マナラに限らず、温感タイプのクレンジングの弱点は『クレンジング力』です。オイルクレンジングやクリームクレンジングと比較すると、クレンジング力が劣ります。
何故なら、クレンジング剤として働く『油』及び『界面活性剤』が、温感タイプのクレンジングにはほとんど配合されていないからです。
剤型の特性上、配合出来ないといった方が正しいかもしれません。
残念ながら、温度によって毛穴を開かせる効果は期待できますが、メイク汚れを落とす効果は期待できません。
それでもマナラの場合、クレンジング力を上げるための工夫は見られます。
まず『DPG』の配合です。DPGとはジプロピレングリコールの別称で、多価アルコールの1種です。化粧品には主に保湿剤として用いられますが、DPGは多価アルコールの中でも『クレンジング力』があると言われています。実際、リキッドクレンジングに、クレンジング力アップを目的として配合されています。
一部、ネット上には、DPGの安全性が問題だという声も見られますが、DPGの特性、及び、先のDPG配合のリキッドクレンジングの市場実績から、それほど安全性に懸念がある成分ではありません。
似た成分にPG(プロピレングリコール)がありますが、PGは皮膚刺激性が強く、ごくまれにアレルギー反応などを起こすことがありますので注意が必要です。
さらに『界面活性剤』も配合されていますね。クレンジング力と洗い上がりを改善させるために配合しているのでしょう。
このように、クレンジング力向上のための策を講じている点は認めます。
しかし、どのような工夫をしたとしても、他タイプのクレンジングに比べ、クレンジング力は劣ります。
クレンジングに一番求められる機能は『クレンジング力』です。「洗い上がりの良さ」を求めるならば、W洗顔をすればいいし、「美容液効果」を求めるならば、美容液を使えばいい。「洗い上がりの良さ」や「美容液効果」であれば、洗顔や美容液という他のアイテムで補うことが出来るが、『クレンジング力』だけは、他のアイテムで補うことは出来ません。だからこそ、クレンジングで一番重視すべき機能は『クレンジング力』だと私は思います。
マナラ ホットクレンジングゲルの、最高レベルの温感と毛穴ケアは素晴しいと思いますが、『クレンジング』であるならば、クレンジング力が若干劣る温感タイプは残念な気がします。
毛穴専用クレンジングならよかったんですが・・・。
気になる口コミは?
某大手口コミサイトの口コミを見てみましょう。
<ポジティブ意見>
● マッサージしていると、じんわり温かくなる
● 温かさをしっかり感じるので、毛穴を開いてくれる実感があった
● 今までホットクレンジングは避けていたが、これなら使ってもいい
● 洗い上がりがいいから、W洗顔不要がうれしい
● 毛穴に詰まった皮脂がスッキリして、顔がワントーン明るくなった
<ネガティブ意見>
× アイメイクは落ちにくい
× メイクが落ちきらない
× 乾燥肌の自分には温度を感じなかった
クレンジング力の物足りなさのネガティブ意見はありましたが、毛穴ケアに対しては非常に高評価ですね。さすが、温感クレンジングの強みでしょうか。
しかもこの商品、@コスメでは700件以上の口コミがあり、☆4.9ですから(2017年3月現在)、これはかなりの高評価ですね。
温感クレンジングは好みが分かれると思うので、口コミ評価は低いだろうと予測していましたが、これほど高いとは、正直驚いています。
口コミは『かなり高評価』ですね。
結論
マナラ ホットクレンジングゲルはかなり優秀な商品だということが分かりました。成分構成は勿論、口コミからも人気の高さがうかがえます。
しかし私は、クレンジングにおける一番重要な要素はクレンジング力であるという考えに変わりはありません。ですから、マナラがどうというわけでなく、温感クレンジング自体に少し疑問を持っていますから、本商品は私コスメデインのおすすめコスメ入りはしませんでした。
ただし、マナラ ホットクレンジングゲルの毛穴ケアとしてのポテンシャルはかなり高いと思います。毛穴専用のアイテムであれば、間違いなくおすすめコスメ入りしたんですが・・・。
私自身は、クレンジングにクレンジング力を一番求めますが、ユーザーによって求める機能は様々だと思います。
特に、普段メイクをしない方や薄付きメイクを好む方にとって、クレンジング力の高いオイルクレンジングは不要です。落とすもの(メイク汚れ)がないのですから。お肌に無用な刺激を与える必要はありません。
このようなユーザーであれば、適度なクレンジング力と毛穴ケアが出来る『マナラ ホットクレンジングゲル』はおすすめです。
▼マナラ ホットクレンジングゲル
※本記事の内容は個人の感想であって効果を保証するものではありません