『オールインワンジェル』はたくさんありますね。
今回は、話題のオールインワンジェル、『シュセラ モイストゲル』を、元化粧品開発者である私の目で分析いたします。
シュセラ モイストゲルの特徴
シュセラの特徴をご説明する前に、通常のオールインワンジェルの欠点を明らかにします。
オールインワンジェルは、1品〇役!というくらい、複数のアイテムの機能を1本に集約した、時短アイテムですね。
化粧水、乳液、クリームとお手入れするのは大変ですから。全てのアイテムを揃えるには、お金もかかりますし。
それが、オールインワン1本で済むのであれば、こんなにありがたいことはないですね。
時間と手間を節約できるだけでなく、コストパフォーマンスもすばらしい!
しかし、オールインワン1本で、本当に化粧水と乳液とクリーム、複数の機能を補っているのでしょうか?
これこそがオールインワンジェルの欠点です。
まず、化粧水としての『モイスチャー機能』。
オールインワンは、水ベースで、化粧水と同じくらいの水溶性成分が配合されていますから、化粧水のモイスチャー機能は十分でしょう。
次に、乳液。
乳液の役割は何でしょうか?
乳液の一番の役割は、お肌への『栄養補給(油溶性成分)』です。
セラミドや油溶性ビタミンに代表される『油溶性の栄養成分』は、化粧水に配合できませんから(配合できる技術はあります)、乳液で補う必要があります。
しかし、水ベースであるオールインワンジェルに、油溶性成分の配合は困難です。
ですから、オールインワンジェルの、乳液としての『栄養補給機能』は、不十分なのです。
そして、クリームとしての『エモリエント機能』。
最後、お肌をクリームで蓋をする、という表現があるように、クリームにはお肌からの『水分蒸散を抑制する機能』があります。
これを担っているのが、クリームに配合されている『油』です。
水ベースのオールインワンジェルには、基本、油は含まれておりませんので、乳液同様、クリームの『エモリエント機能(水分蒸散抑制機能)』も不十分だと言わざる得ません。
このように、一見便利で優れたアイテムだと思われがちなオールインワンジェルですが、乳液としての『栄養補給(油溶性成分)』、クリームとしての『エモリエント機能』に、改善の余地があるのです。
これらを踏まえ、『シュセラ モイストゲル』を見てみましょう。
① セラミド配合
シュセラには、『セラミド』が配合されています。
セラミドは、角質層にある細胞間脂質を構成する成分の一つで、お肌内部に水分を留め、お肌から水分が蒸発するのを防ぐ重要な役割を担っています。
セラミドは、お肌の『バリア機能』(水分の蒸散を防ぐ)を高めるために、非常に重要な成分なのです。
しかし、セラミドは難溶性物質で、油にしか溶解しません(油にも溶けにくいです)。
『ベシクル化』や『リポソーム化』という特殊な技術で、水に分散させる方法は存在しますが、基本、水ベースのオールインワンジェルへの配合は困難なのです。
植物性セラミドである『コメヌカスフィンゴ糖脂質』であれば、水溶性で、配合が容易なので、これを配合し、あたかもセラミドを配合しています!と、アピールしている商品はありますが、バリア機能という点においてセラミドとは全く別物の成分なので注意が必要です!
以上の点から、シュセラの一番の特徴は、難溶性の『セラミド』を配合している点であり、通常のオールインワンジェルでは不十分であった、乳液としての栄養補給機能を改善しているのです。
② スクワラン(油)配合
水ベースで油を配合しないオールインワンが多い中、シュセラは『スクワラン』を配合しています。
スクワランは、油の中でも水分蒸散抑制効果が高い、『炭化水素系の油』です。
昔から広く化粧品に配合されている油で、安心してお使いいただけます。
スクワランの配合によって、通常のオールインワンジェルでは不十分であった、クリームとしてのエモリエント機能を改善しています。
このように、『シュセラ モイストゲル』は、『セラミド』と『スクワラン』を配合することで、通常のオールインワンジェルの欠点(栄養補給、エモリエント)を克服したと言っていいでしょう。
シュセラ モイストゲルの全成分は?
では、シュセラ モイストゲルの全成分を見てみましょう。
水、BG、グリセリン、スクワラン、ヒアルロン酸Na、アセチルヒアルロン酸Na、パンテノール、トレハロース、コーヒー種子エキス、加水分解コラーゲン、グルコシルセラミド、セラミド6II、セラミド3、ダイズタンパク、α-グルカン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジンHCl、アラニン、イソロイシン、グアニル酸2Na、タウリン、プロリン、リシンHCl、カルボマー、トレオニン、イノシン酸2Na、チロシン、オウゴン根エキス、トコフェロール、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、パルミチン酸レチノール、アスパラギン酸Na、グリチルリチン酸2K、バリン、アラントイン、グルタミン酸、ロイシン、フェニルアラニン、グリシン、セリン、フェノキシエタノール、メチルパラベン
気になる成分、保湿成分、美肌成分を赤字にしてみました。
『セラミド』も『スクワラン』もしっかり配合されていますね。
さらに、ヒアルロン酸やアセチル化ヒアルロン酸、種々のアミノ酸など、水溶性の美肌成分(保湿成分)も大変充実しています。
今一度、全成分をご覧ください。ほとんど赤字です。基剤(水、多価アルコール)や安定化剤(増粘剤、防腐剤)以外は全て、『美肌成分(保湿成分)』ですね。
気になる口コミは?
某大手口コミサイトの口コミを見てみましょう。
<ポジティブ意見>
● 浸透感があって、べたつかない
● しっとり、ツルツルの仕上がり
● 使った後の翌日の肌に驚き, ツヤがあってモチモチ
<ネガティブ意見>
× さらっとしすぎる感じがするので、化粧水と併用して使おうと思う
× モロモロがでる
モイスチャー、エモリエントの『保湿力』、翌日のお肌のハリ(『翌朝感(よくちょうかん)』)が高評価ですね。
やはり、贅沢な保湿成分と、スクワランの効果が現れていますね。
気になるのは、ネガティブ意見の『モロモロ』。
これは、オールインワンジェルではよくある話です。
モロモロの正体は『カルボマー』と言われる増粘剤か、溶解性の低い『保湿成分』です。
実際、分析したわけではないので、モロモロの断定はできませんが、シュセラは非常に多くの保湿成分が配合されていますから、保湿成分の可能性が高いと思います。
保湿成分ですから気にする必要はありませんし、もし気になるようでしたら、多めに使えばモロモロは出ません。
口コミの評価は上々といったところでしょうか。
結論
『セラミド』と『スクワラン』を配合することで、通常のオールインワンジェルの欠点を克服したという意味で、シュセラは評価出来ると思います。
※本記事の内容は個人の感想であって効果を保証するものではございません。