世の中には『自然派』を謳う、ナチュラル系と言われるコスメがありますね。
オーガニック系というコスメもあります。
ナチュラル系、オーガニック系、皆様はこれらの違い、お分かりでしょうか?
また、ナチュラル系コスメはお肌にいい印象がありますが(お肌にいいと謳うナチュラル系コスメが多数存在)、本当にお肌にいいのでしょうか?
今回は、『ナチュラル系コスメの真実』と題しまして、オーガニック系を含む、世に自然派と言われるコスメについてご説明いたします。
ナチュラル系コスメとは?
ナチュラル系コスメとはどういうものを言うのでしょうか?
現在の化粧品業界では、『石油系原料』や、パラベンに代表される人工的に合成された『化学物質』を極力配合していない、『自然(植物)由来の原料』の占める割合が高いコスメをナチュラル系コスメと言っています。
しかし、ナチュラル系コスメに明確な決まりはありません。
というのも、『自然由来の原料』というのがやっかいで、どのような条件を満たせば自然由来の原料と言えるのか?という決まりが存在しませんので、各化粧品メーカーの判断に委ねられているのが現状です。
つまり、各化粧品メーカーが、このような条件を満たせば自然由来の原料である、という『独自のルール』を設定しているのが実情です。
独自ルールですので、メーカーによって様々です。
具体的に例を挙げると、化粧品に必須な成分に『界面活性剤』があります。
▼ 界面活性剤に関しては以下記事を参考にしてください
界面活性剤には様々な種類がありますが、代表的なものに『グリセリン脂肪酸エステル』というものがあります。
少し専門的な話しになりますが、このグリセリン脂肪酸エステルという界面活性剤は、『脂肪酸』と『グリセリン』から構成されています。
脂肪酸は、いわゆる『植物由来』です。グリセリンも植物由来です。
脂肪酸もグリセリンも植物由来ですから、グリセリン脂肪酸エステルを『自然(植物)由来の原料』と設定し、配合しているナチュラル系コスメはたくさんあります。
しかし、脂肪酸とグリセリンは植物由来ですが、これらをグリセリン脂肪酸エステルとするためには、エステル化しなければならず、『合成過程』が必須です。
この合成は、『人工的な行為』ですので、合成過程が必要な原料は、自然由来ではないと考える化粧品メーカーも存在します。
つまり、同じグリセリン脂肪酸エステルでも、自然由来の原料と考えるメーカーもあれば、そうでないと考えるメーカーもあるのです。
ですから、ナチュラル系コスメを選ぶ際は、『何をもってナチュラル系と言うのか?』、化粧品メーカーの考え方を知ることが重要なのです。
同じく『オーガニック系』といわれるコスメにも明確な決まりはありません。唯一決まりが存在するのが、オーガニック系コスメの一部ともいうべき、『認証系コスメ』だけです。
では次に、ナチュラル系、オーガニック系、認証系コスメについてご説明します。
ナチュラル系、オーガニック系、認証系コスメ、違いは?
ナチュラル系、オーガニック系、認証系、世の中には自然を連想させるコスメがたくさんあります(認証系コスメはあまり馴染みがないかもしれません)。
これらの『違い』は何でしょうか?
私コスメデインが考える、これら『自然派』と言われるコスメの違いは以下です。
飾り気のない図で申し訳ございませんが、ナチュラル系の中にオーガニック系があり、オーガニック系の中に認証系があります。
言い換えると、認証系コスメはオーガニック系コスメの一部であり、オーガニック系コスメはナチュラル系コスメの一部であると私は考えています。
それぞれについて、もう少し詳しくご説明します。
<認証系コスメ>
先ほどご説明した通り、ナチュラル系コスメには明確なルールはなく、化粧品メーカーの独自の基準が存在します。
一方、化粧品メーカーとは全く関係がない『第3機関が定めるルール』に従ったものが『認証系コスメ』です。
認証系コスメは化粧品メーカーの独自基準ではなく、第3機関が定める基準に則りますので、客観性に優れていると言っていいでしょう。
認証系コスメはヨーロッパが進んでいて、有名な認証系と言えば、『ECOCERT(エコサート)』と『COSMOS(コスモス)』ではないでしょうか。
『エコサート』の場合、製品の95%以上が天然原料であり、そのうち植物原料の95%が以上がオーガニック原料であることなど、厳格な基準が存在します。どのようなものを天然原料というかも細かく決められています。
さらに、容器や製造に至るまで基準が設けられています。
これら全ての基準をクリアした製品にのみ、『エコサート認証』が与えられ、製品に表示可能となり、エコサート認証を得たオーガニックコスメとして販売が可能となるのです。
認証系コスメのメリットはオーガニックコスメとしての『信頼性』でしょう。
日本において、オーガニックやナチュラルといった自然派コスメには、明確な決まりがなく、化粧品メーカーの自主基準です。ですから、本物の自然派コスメを見分けるのは困難でしょう。
しかし、認証コスメは、化粧品メーカーとは一切関係がない、『第3機関』によるものですから、非常に客観性に優れ、信頼性は絶大です。
認証系コスメは『本物のオーガニックコスメ』と言えるでしょう。
デメリットは、やはり価格でしょうか。オーガニック系の原料は高価ですし、認証を得るにも費用がかかりますから、これらコストが必然的に販売価格に上乗せされます。
また、化粧品メーカー側にも大きなデメリットがあります。
認証を得るためのルールは、配合原料だけでなく、製造にまでおよびます。
つまり、認証を得るためには、決められた環境下で製造する必要があるのです。
化粧品メーカーは、認証系コスメだけでなく、様々なコスメの製造を行っていますから、認証を得るためだけに工場(製造環境)を改変する訳にはいきません。
特に大手といわれる化粧品メーカーは、様々な自社ブランドがありますから、製造工場を認証系コスメだけに合わせることなどできません。
数年前、認証系コスメがブームになりました。しかし、前述したような理由で、大手化粧品メーカーが認証系コスメに参入できなかったので、爆発的ブームにはなりませんでした。
私自身も化粧品開発者だった頃、認証系コスメの立ち上げプロジェクトに少しだけ参加したことがありますが、やはり、『製造の問題』で実現できませんでした。
ただし、認証系コスメが製造可能な工場は存在しますから、『OEM』という形で製造は可能です。
▼ OEMについては以下記事を参考にしてください
認証系コスメとは、化粧品メーカーではない『第3機関によって認定されたコスメ』とご理解ください。
<オーガニック系コスメ>
オーガニック系コスメとは、『オーガニック認定を得た原料を配合したコスメ』です。
オーガニック認定を得た原料を配合すればいいだけで、エコサート認証の95%以上のように、『配合量』に決まりはありません。また、『製造環境』にも決まりはありません。
ですから、化粧品メーカーにとって、認証系コスメに比べ、かなり自由度が高いと言えますから、オーガニック系コスメに参入するメーカーは数多くあります。
オーガニックという『信頼性』では、認証系コスメに大きく劣りますが、自由度が高い分、『感触』、『価格面』で有利と言えるのがオーガニック系コスメなのです。
<ナチュラル系コスメ>
ナチュラル系コスメは前述した通りです。
化粧品メーカーの自主基準で運用されているため、正直、これナチュラル系?と思うようなコスメはあります。
ですから、何をもってナチュラル系というのか、そのメーカーの考え方を理解することが重要です。
ナチュラル系コスメはお肌に良いのか(お肌への刺激が少ないか)?
ナチュラル系、オーガニック系(認証系含む)コスメはお肌にいい、『お肌への刺激が少ない』というイメージがありませんか?
実際、お肌への刺激が少ないと、『安全性の高さ』を謳う、これらコスメはたくさんあります。
これは事実でしょうか?
結論から言うと、これは事実ではありません。
ナチュラル系、オーガニック系だからといって安全性が高いというわけではありません。
何故なら、化粧品にとって一番重要なのは『安全性』です。詳しくは以下記事をご参照ください。
化粧品はすぐに効果は現れません。効果を得る代わりに、多少の副作用を許容する医薬品とは異なります。
化粧品は長く使い続けることで効果を発揮します。長く使っていただくためには、安全なものでなければならないのです。
化粧品メーカーにとって安全性トラブルは、メーカーの存在自体を危ぶめることですから、一番避けなければならない事態です。
ですから、化粧品メーカーは安全性には最善の策を講じており、安全性に少しでも懸念のある商品は販売しません。
これはナチュラル系、オーガニック系に限らず、全てのコスメに言えることです。
ナチュラル系ではないからと言って、安全性に課題がある、お肌に刺激があるなど、あり得ないことなのです。
ただし、パラベンに対しお肌が弱い方など、『特定の化学物質』に刺激を感じてしまう方は実際いらっしゃいます。
そのような方は、過去のコスメ使用実績から、ご自身の肌質を理解し、どの物質に対し刺激を感じやすいかを把握する必要があります。
そして、対象の化学物質を含んでいないコスメを選ぶようにしていただきたいと思います。
オーガニック系コスメや認証系コスメには『オーガニック認証』を得た原料を配合する必要があります。
注意しないといけないのは、これらオーガニック認証原料には『夾雑物(きょうざつぶつ)』、つまり何かしらの『不純物』が含まれている可能性が高いということです。
オーガニック認証原料はまさに自然物そのものですから、どのような不純物が含まれているか分かりません。これら不純物を取り除く手法に『カラムによる除去』などがありますが、人工的な処理をすると、オーガニック認証自体が得られないため、オーガニック認証原料には不純物を取り除く手法はとられていません。
不純物のお肌への影響はよく分かっていません。
ここで注意していただきたいのは、オーガニック認証原料の安全性に課題がある言っているわけではありません。
『漆』は天然物ですが、かぶれる場合がありますよね。
天然物、自然物だからと言って刺激が少ない、安全性が高いという考え方が誤りだということをお伝えしたいのです。
ただし、これまでのご自身のお肌トラブルや、極力、自然のものを使いたいという信念をお持ちで、ナチュラル系、オーガニック系コスメを選ぶ方はいらっしゃると思います。
▼ そのような方であれば、私はナチュラル系コスメとして『ハウス オブ ローゼ』をおすすめします。
ハウス オブ ローゼは言わずと知れたナチュラル系コスメの代表格ですね。
植物由来成分を、商品に合わせて配合し、 安全性や低刺激性を追求、お肌に負担をかけるおそれのある成分の使用を極力避けた配合設計となっています。
アイテム数も多く、オーガニック系や認証系と異なり、自由度が高いため、使い心地にも優れています。
ナチュラル系コスメをお考えであれば、是非一度お試しになってはいかがでしょうか?
おわりに
いかがでしょうか?
ナチュラル系、オーガニック系、認証系コスメについてお分かりになりましたでしょうか?
私自身は、自由度の高さから(感触、価格など)、オーガニック系、認証系よりも『ナチュラル系コスメ』、その中でも『ハウス オブ ローゼ』をおすすめしますが、前述の通り、ナチュラル系だからと言って、それ以外のコスメより安全性が高いということはありませんので、ご注意ください。
ご自身の肌質を理解することはコスメを使用するうえで基本となりますので、ご自身のお肌に合ったコスメをお選びください。
ナチュラル・オーガニックコスメの基準が変わります。詳細は以下記事をご覧ください。