雑誌などで、『ベストコスメ』が発表されていますが、現役化粧品開発者である私が選ぶベストコスメを、アイテム・カテゴリー別に発表させて頂きます。
今回は、『オールインワンジェル・BBクリーム・日焼け止め編』です。
なお、コスメはどんどん新しい商品が発売されますから、ベストコスメに変動がある際は、随時更新していきます。
オールインワンジェル部門 ベストコスメ:トリニティーライン ジェルクリーム プレミアム
2016年のデータになりますが、ドラッグストアやスーパーなどのセルフ化粧品市場は、対前年比『98.5%』と、鈍化傾向に歯止めが掛かりません。化粧水や乳液、美容液など、多くのアイテムが売り上げを下げる中、『オールインワン』のみが、対前年比『113%』の伸びを見せて、堅調に推移しています。
つまりこれは、世の女性の『ニーズ』を見事に捉えた結果であり、だからこそ、各メーカーから様々なオールインワンジェルが発売されているのでしょう。
数ある中で、化粧品開発者の私が選ぶ、オールインワンジェル部門ベストコスメは、ドクタープログラムの『トリニティーライン ジェルクリームプレミアム』です。
この商品、「ドクタープログラム」から発売されていますが、ほとんどの方は聞いたことが無いメーカーだと思います。
「ドクタープログラム」は、発毛剤リアップで有名な『大正製薬』のグループ会社です。ですからその品質は、『大正製薬品質』であり、大正製薬と言えば一流の製薬会社ですから、『品質の高さ』は間違いありません。
これが、ベストコスメに選出した一番の理由です。
オールインワンジェルと聞いて真先に名前が挙がる商品があります。それが、「新日本製薬」の『パーフェクトワン』です。
その圧倒的な販売実績で、現状、売り上げNO.1のオールインワンジェルと言えるでしょう。
しかし、このブログでも申し上げてる通り、パーフェクトワンには、宣伝内容やコラーゲンケアに問題があり、製薬の名を冠した会社として相応しくないと私は考えています。詳細は以下記事をご覧ください。
そもそも大正製薬は、新日本製薬とは製薬会社としての『格』が違います。その格の違いが、そのままオールインワンジェルの品質の差になると私は考えています。
トリニティーラインでまず目を引くのが、『水を一滴も加えず、95%以上の美容成分配合』という商品特長。
ただし、これには少しカラクリがあります。これ自体、『事実』ですが、水はたっぷり配合されています。ポイントは、トリニティーラインに配合の『シラカンバ樹液』です。
これには多くの水が含まれていますが、抽出方法から、全成分に水と表示されないだけです。
本当にすごいのは、水を一滴も加えず95%以上の美容成分を配合したことではなく、保湿効果が期待できる『シラカンバ樹液を超高配合』しているにもかかわらず、この価格でオールインワンジェルを提供している『コスト体系』でしょう。
通常のコスメのように、「水」を配合すれば、かなり原料価格が抑えられますが、大正製薬品質に加え、水の代わりに「シラカンバ樹液」を配合しているにもかかわらず、「50g 3800円(税抜)」を実現していますから、コスメのコスト体系を知っている私からすれば、『驚きの価格設定』です。
勿論すごいのは価格設定だけでなく、『48種類』もの美容成分を配合し、さらに『カプセル化技術』によって、これら成分を角層の隅々まで届ける技術は評価出来ます。
また、トリニティーラインは『セラミド』にこだわっており、本品では従来品に比べて『55倍』のセラミド成分を配合しています。
オールインワンジェルは、化粧水・乳液・クリームの機能が一つに集約した『多機能コスメ』です。しかし、この中でも『クリーム機能の欠如』がオールインワンジェルの弱点の一つと言えます。
クリーム機能の役割を担う成分が『油(オイル)』であり、油は『肌バリア機能の回復』にとって非常に重要な成分です。
しかし、ジェル感を演出するため、現在のオールインワンジェルは、『油無配合』のタイプが多く、これでは、クリーム機能による肌バリア機能の回復が期待出来ません。
油以外に、肌バリア機能の回復に効果的な成分があります。それが『セラミド』です。セラミドと肌バリア機能については以下記事をご覧ください。
ですから、油をあまり配合しないオールインワンジェルにとって、『セラミド』は非常に重要な成分であり、『セラミドの配合有無』を、オールインワンジェル購入の判断ポイントにすべきと言っても過言ではありません。
トリニティーラインは、『良心的な価格設定』、大手化粧品会社にも引けを取らない『成分選択』・『処方化技術』が評価され、世界で唯一、「モンドセレクション」と「Prize of Jury」を『W受賞』しています。
これは、「トリニティーライン」の『商品力の高さ』が世界に認められた結果です。
やはり、大正製薬クラスの製薬会社が作る『製薬コスメ』の品質は、名ばかりの製薬会社が作るモノとは全然違います。
BBクリーム部門 ベストコスメ:資生堂 マキアージュ ピーチチェンジベース CC
化粧品開発者の私が選ぶ、BBクリーム部門ベストコスメは、『資生堂マキアージュ ピーチチェンジベース CC』です。
本品は、BBクリームではなく、CCクリームです。
BBクリームとCCクリームの違いは、「どのように肌トラブルをカバーするか?」です。BBクリームの場合、酸化チタンや酸化鉄などの『着色顔料』で肌トラブルをカバーするのに対し、CCクリームは、粉の『光学効果』で、より自然に肌トラブルをカバーします。
ですから、BBクリームの進化版がCCクリームであり、BBクリームに出来てCCクリームに出来ない事は無いと私は考えています。詳細は以下をご覧ください。
ですから、BBクリームを選ぶのであれば、『CCクリーム』がおすすめで、化粧品開発者の私が選ぶベストコスメが、『資生堂マキアージュ ピーチチェンジベース CC』です。
『ピーチチェンジ』の商品名が示す通り、塗布後10秒のなじませマッサージで、美容液からカラー成分がにじみでて、血色感のある桃色肌にチェンジします。
これは、資生堂の高度な『カプセル化技術』によるものです。塗布行為によって、カプセルに閉じ込められたカラー成分が、うるおい成分と溶け合いピンクに発色します。
赤色やピンク色には、肌トラブルを隠す効果があります。これは、光学研究によって明らかになった事実であり、CCクリームには、赤色(ピンク)パールによって自然に肌トラブルをカバーする手法が良く使われます。
しかし資生堂は、その先を行っていて、カラー成分をカプセルに閉じ込め、塗布行為によって、うるおい成分と溶け合わせ、より自然な仕上がりを実現しています。
また本品は、化粧持ちに優れる『油中水型』です。油中水と水中油については以下をご覧ください。
BBクリームやCCクリームにとって、『化粧持ち』は非常に重要です。化粧持ちが悪いと、簡単に崩れてしまいますし、簡単に崩れると、仕上がりが悪くなり、さらに、紫外線から肌を守ることも出来ないからです。
ですから、BBクリームやCCクリームには、『油中水型』が最も最適で、『資生堂マキアージュ ピーチチェンジベース CC』は、崩れにくい油中水型ですから、理想的と言えるでしょう。
※油中水型でも絶対に崩れないというわけではないので、大量の汗をかいたり、タオルで拭いたりした後は塗り直すようにして下さい。
化粧持ちを良くするには、油中水型は最良の方法ですが、もう一つ方法があります。
それは、『塗布膜を均一にする』です。
BBクリームやCCクリームを塗布すると、ミクロな視点で見ると塗布膜(化粧膜)は凸凹で『不均一』です。
この不均一の箇所から化粧膜は崩れていきますから、塗布後の化粧膜を均一にすることが出来れば、化粧持ちはアップします。
資生堂は、アネッサに搭載の化粧膜均一技術、『アクアブースター技術』が示すように、化粧膜を均一にする技術は素晴しいですから、油中水型だけではなく、『化粧膜形成技術』によっても、化粧持ちアップを実現しています。
他社ではなかなか真似が出来ない技術が搭載されているのが、私の、BBクリーム部門ベストコスメ『資生堂マキアージュ ピーチチェンジベース CC』です。
日焼け止め部門 ベストコスメ:ポーラ ホワイティシモ シリーズ
化粧品開発者の私が選ぶ、日焼け止め部門ベストコスメは、『ポーラ ホワイティシモシリーズ』です。
日焼け止めでは、『資生堂アネッサ』と『カネボウアリィー』が有名です。これらは、日焼け止めの2大ブランドと言っても過言ではありません。
当然、ベストコスメに選ばれるだけの品質です。
しかし、アネッサ、アリィーとも、品質の素晴らしさは認めますが、『大きな課題』があるため、私は、『ホワイティシモシリーズ』をベストコスメに選びました。
まず、資生堂アネッサ。
汗や水、そして摩擦にも強い『アクアブースターEX技術』は、業界随一の化粧膜形成技術です。化粧膜形成において、当面は、資生堂のリードが続くと思います。
資生堂アネッサは、常に最新技術を搭載しており、化粧品開発者にとって、注目しなければならないコスメの一つです。
アネッサの搭載技術を見れば、現在の日焼け止め領域の最新技術が分かると言っても過言ではありません。
アネッサは私の最も好きな日焼け止めブランドでもありますが、アネッサシリーズの『マイルドシリーズ(ベビーアネッサ)』に大きな課題があると、私は考えています。
何故なら、敏感肌の方や子供にも使える『低刺激設計』の「マイルドシリーズ」ですが、『紫外線吸収剤』が配合されているからです。
紫外線吸収剤は危険な成分ではありません。国の配合上限を遵守し、化粧品メーカーがしっかり安全性を確認すれば、安心してお使い頂ける成分です。
しかし紫外線吸収剤は、基本、『低分子の有機化合物』ですから、『肌刺激性の懸念』があります。肌刺激性の懸念があるからこそ、国は『配合上限』を定めているのです。
私自身は、紫外線吸収剤を危険な成分とは思っていませんが、赤ちゃんや小さな子供、そしてデリケートな肌の人が、積極的に触れるべき成分ではないと思っていますから、自分の子供には『吸収剤フリー』を使わせます。
吸収剤フリーの日焼け止めは、散乱剤由来の白浮きや乾燥など、使用感や仕上がりに難があるイメージがありますが、それは一昔前のことで、『散乱剤技術』が飛躍的に進化した現代では、後程ご紹介するような、優れた吸収剤フリーの日焼け止めは存在します。
つまり、アネッサの課題は、マイルドシリーズ(ベビーアネッサ)で紫外線吸収剤を配合するなど、『低刺激設計に対する根拠が脆弱すぎる点』です。
続いて、カネボウアリィー。
カネボウアリィーは、2018年から『フリクションプルーフ機能』を搭載しています。
フリクション、つまり『摩擦に対する耐性』で、日焼け止めが摩擦によって取れてしまうのを防ぐ画期的な技術です。
フリクションプルーフは、技術面だけで見れば、資生堂アネッサのアクアブースターEX以上と思わせる程、素晴らしい技術ですが、アリィーの課題は、『ラインナップ』にあります。
アリィーの紫外線カットスペックは、全てSPF 50+, PA++++の、『最高スペック』であり、これは『紫外線カットに特化しすぎ』です。
『紫外線カット至上主義』です。
そもそもSPF, PAは、高ければ高い方が良いというわけではありません。
長時間、屋外で活動をせず、生活紫外線に曝されるだけの人であれば、SPF 50+, PA++++の最高スペック品を使う必要はありません。
最高スペック品は、紫外線カット効果を最大化するために、肌刺激性が懸念される吸収剤を多量に配合しますし、汗・水に強く、洗浄剤で落とすのも大変です。
つまり、最大限の紫外線カット効果を得られる代わりに、『肌への負担』が懸念されるのが、最高スペック品の日焼け止めです。
勿論、肌への負担より紫外線ダメージの方が深刻ですから、日焼け止めは使うべきアイテムですが、生活紫外線に曝されるだけの人にとって、最高スペック品を使うことは、肌に『余計な負担』を与えるだけです。
長時間、屋外で活動をせず、生活紫外線に曝されるだけであるなら、「SPF 30~ PA+++~」で十分です。
SPF, PAは高いものを選ぶのではなく、ご自身の『生活スタイル(TPO)』に合わせて選ぶべきです。
アリィーの日焼け止めは、全てが『SPF 50+, PA++++』です。これら商品には、「日常生活にも使える」という旨の表示がなされていますが、日常生活であるなら、これほど高いスペックのモノは必要ありません。肌に『余計な負担』を与えるだけです。
SPF, PAは高ければ高いほど良いというのは間違いで、『TPO』に合わせて選ぶべき。そして、高いSPF, PAではなく、たっぷりな量をこまめに塗り直すという『使用法』が、日焼け止めにとって一番重要なこと。
上記が、『日焼け止めの本質』であり、化粧品メーカーがユーザーに、広めていかなければならない真実です。「カネボウ アリィー」の、全てがSPF 50+, PA++++というラインナップは、上記、「日焼け止めの本質」とは大きくかけ離れています。
ですから、アリィーは、ユーザー側がTPOに合わせて選べるよう、アネッサのような『マイルドタイプ』をラインナップに加え、『紫外線カット至上主義』の考えを改めるべきだと私は思います。
ポーラ ホワイティシモシリーズは、TPOに合わせ、『2つのタイプ』があります。
まず、より高スペックの日焼け止めをお求めであれば、『ホワイティシモ 薬用UVブロック シールドホワイトプラス』。
SPF50+, PA++++, ウォータープルーフの『最高スペック品』であり、2層分離タイプでありながら、従来の使用感とはまるで違う、スキンケア感覚で使える乳液タイプです。
アネッサ、アリィーに勝るとも劣らない紫外線カットスペック、使用感です。
さらに、『美白の医薬部外品』でもありますから、紫外線カットだけでなく、『美白』と『保湿』が同時に行えます。
また、「小さなお子様」「敏感肌の人」「生活紫外線に曝されるだけの人」であれば、ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド。
ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイドは、みずみずしくさらりとした感触の『クリームタイプ』です。
SPF 30, PA+++で、『紫外線吸収剤フリー』です。さらに、『アレルギーテスト』だけではなく、『2歳以上を対象とした幼児プラクティカルテスト』も実施しています。
※全ての方にアレルギーが起きないというわけではありません
これが、ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイドをベストコスメに選んだ『最大の理由』です。ベビーアネッサのように、世の中には「小さなお子様用」や「低刺激」を宣伝する日焼け止めが存在しますが、その多くは、科学的根拠はなくメーカー側の勝手な主張です。
先程申し上げたように、資生堂ですら、「ベビーアネッサ」に紫外線吸収剤を配合しており、「小さなお子様でも使える」という科学的根拠が明確ではありません。
紫外線吸収剤は危険な成分ではありませんが、『低分子の有機化合物』である以上、デリケートな肌には避けるべきですし、まして、小さな子供に積極的に塗るような成分ではありません。
ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイドは、デリケートな肌でも使える商品設計です。『紫外線吸収剤フリー』ですし、すべての幼児の肌に合うというわけではありませんが、『2歳以上の幼児を対象としたプラクティカルテスト』も実施しています。
この『科学的根拠』は、「資生堂 ベビーアネッサ」とは一線を画しています。
是非、ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイドをお試しください。
アネッサやアリィーは、テレビCMなどでの露出が高いですし、ドラッグストアでも買える手軽さから、大変身近な存在ではありますが、技術・使用感・品質面から、化粧品開発者の私が選ぶ日焼け止め部門ベストコスメは、『ポーラ ホワイティシモシリーズ』です。