『年齢(年代)別コスメ』というモノがあります。その年齢の肌状態に合わせたコスメで、実際、年齢別コスメを使ってみようかと、迷っている方もいらっしゃると思います。
しかし、果たして年齢別コスメはおすすめなのでしょうか?
そこで今回は、化粧品開発者の私が、年齢別コスメについてご説明いたします。
年齢別コスメとは?
『〇〇代からのエイジングコスメ』というように、対象年代、対象年齢を、商品周りに記載したり、商品ホームページでアピールするコスメを、通称『年齢別コスメ(年代別)』と言います。
有名なモノでは、『カネボウ エビータ』があります。エビータは商品周りに『50代からのエイジングコスメ』としっかり明記されています。まさに、年代別化粧品のパイオニアと言えるのではないでしょうか?
最近では『サントリー エファージュ』が話題です。『50代からの』と、HP上で大きく宣伝しています。
私は、商品周りやHPで、対象年齢を宣伝するコスメがあまり好きではありません。
つまり、私は年齢別コスメをおすすめしません。その理由をご説明します。
年齢別コスメをおすすめしない理由は?
私は年齢別コスメをおすすめしませんが、勿論、年齢別コスメにも『メリット』があります。だからこそ、ユーザーの支持を得ていますし、支持を得ているからこそ、市場には各種様々な年齢別コスメが存在します。
では、そのメリットとは何でしょうか?
ユーザーメリット
市場にはたくさんのコスメが存在します。しかも、他業界からどんどんコスメ業界に参入していますから、今後益々コスメの種類は増えるでしょう。
それだけ、化粧品業界には「うまみ」があるのです。
また、ユーザーの皆様は、ご自分の肌の状態を理解していますか?
メーカーが提供する『肌分析』をすれば、ある程度お肌の状態が分かりますが、肌分析をしている方、した経験がある方は限られているのではないでしょうか?
つまり、ご自分の肌の状態がよく分からないので、エイジングコスメがいいのか?、保湿コスメがいいのか?、敏感肌コスメがいいのか?、どのコスメを使うべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか?
そして、市場のコスメの多さ。これだけ多くのコスメの中から、どれが自分に一番適しているか?見極めるのは相当大変です。
このような状況の中、『年齢(年代)』という軸は非常に分かりやすいです。自分の年齢のモノを選べばいいわけですから。
このように、コスメ選びに悩むユーザーにとって、年齢別コスメは非常に分かりやすく、ユーザーの『コスメ選びの最良の指標』と言えます。
ユーザーに、コスメ選びの大きなきっかけを与えてくれる点が、年齢別コスメの大きなユーザーメリットです。
メーカーメリット
市場にはたくさんのコスメが存在します。化粧品メーカーは、多くのコスメの中から、ユーザーに手にとってもらう必要があります。
そのためにはどうすべきか?
自社の製品の特徴を、『分かりやすく端的にユーザーに伝える』必要があります。
しかし、「この成分がこのようなメカニズムで、お肌をこのように改善する」といったように、その詳細を端的に伝えることは難しいです。
商品周りに記載するにも、スペースの問題がありますし、何より、表現方法に厳しい規制があります。
そこで『年齢(年代)』なんです。
年齢ほど端的に分かりやすくユーザーに伝えられる指標はありません。
たくさんのライバル製品の中から、自社の製品を選んでもらうために、自社製品の特徴を分かりやすく端的に伝える必要がある。
『特徴を伝える最良の指標』が年齢なんです。
このように、『コスメ選びの最良の指標』(ユーザー側)、且つ、『特徴を伝える最良の指標』(メーカー側)が『年齢(年代)』です。
ユーザー側、メーカー側、双方のメリットが合致しているからこそ、『年齢別コスメ』はユーザーの支持を得て、市場を拡大しているのです。
年齢別コスメはおすすめしない
ヒトの肌って本当に年齢、年代で区別できるものでしょうか?
何故40代なんでしょうか?何故50代なんでしょうか?
その年齢になると急激にお肌の状態が変わるのでしょうか?
例えば、皮膚のコラーゲン量は40歳を過ぎた頃から急激に減り始めます。データがあります。だからこそ、「40歳からのエイジングケア」ということで、お肌のハリ・弾力を改善するようなコスメであれば、年齢を区切った根拠が明確なので、これであれば納得できます。
しかし、市場の年齢別コスメには、その年齢で区切った『明確な科学的根拠』が足らないと私は思います。
年齢別コスメの素晴しさは認めますが、科学的根拠の無さが、私がおすすめしない理由です。
根拠もなく、ユーザーに伝えやすいという目的で年齢を明記、宣伝するコスメは、私から言わせれば、製品特徴を伝える努力をしない『メーカーの怠慢』です。
根拠がなければ、ユーザーに誤ったコスメ(お肌に合わないコスメ)を使わせてしまう恐れがあります。何故なら、単純に、年齢という軸で選んでいるだけですから。
化粧品メーカーが対象年齢を設定することは非常に重要です。新しいブランドを作る上で、『ターゲット年齢を設定する』ことは基本中の基本です。
これにより容器のデザインなどが変わる、つまり、『ブランドの世界観』にターゲット年齢は影響します。
ただし、ブランドを作り込むためにターゲット年齢は必要ですが、製品やHP上に、〇〇才用と記載する必要はありません。
コスメを選ぶ際の指標は、年齢ではなく、乾燥肌・敏感肌・ニキビ肌などの『肌質』や『肌悩み』だというのが私の考えです。
年を重ねれば重ねるほど、乾燥肌になりがちですが、30代でも乾燥肌の方はいらっしゃいます。敏感肌、ニキビ肌も同様です。
年齢の偏りはあれど、肌質や肌悩みは、年齢では分けられません。これがヒトのお肌ではないでしょうか?
おわりに
年齢別コスメの中にも素晴らしいモノがあります。全ての年齢別コスメを否定しているわけではございません。
科学的根拠がなく、端的に特徴を伝えたいという目的だけで、対象年齢を宣伝するコスメをおすすめできないと言っているだけです。
コスメは年齢ではなく、『肌質』・『肌悩み』で選ぶべきです。
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※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません