コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

cosmedeinと申します。十数年、大手化粧品会社で化粧品の研究開発を行ってきました。その知識と経験を活かし、皆様に、『コスメの真実』をお伝えします。普段のお化粧に、是非参考にしてください!

【コスメの誤解】 カネボウ エビータ ボタニバイタルは「ナチュラル」ではない!

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「カネボウ エビータ」が『カネボウ エビータ ボタニバイタル』にリニューアルされました。

女優の長澤まさみさんを起用した、赤と黒が印象的なCMをご覧になった方も多いはず。

私自身もそうでしたが、はじめてCMを見た人の中には、「エビータ ボタニバイタル」=『ナチュラルコスメ』と思った人が多いのではないでしょうか?

しかしこれは、大きな誤解であり、「エビータ ボタニバイタル」はナチュラルコスメではありません

そこで今回は、化粧品開発者の私が、このほどリニューアルされた『カネボウ エビータ ボタニバイタル』『大きな誤解』をご説明します。

 

1.カネボウ エビータ ボタニバイタルはどんなブランド?

日本人女性の最大ボリュームゾーンである団塊世代が、50代にさしかかった2000年に誕生したセルフブランドが『カネボウ エビータ』です。

当時のターゲット女性の、「どのコスメを選んでいいのか分からない」というニーズに対し、いち早く商品周りに『50才から』と年齢を表記しました。

この分かりやすさがユーザーの支持を集め、以来、セルフエイジングケア市場を牽引し続けてきたのが『カネボウ エビータ』です。

今でこそ、「〇〇才から」と年齢を明記する『年齢別コスメ』(年代別コスメ)は珍しくありませんが、カネボウ エビータが年齢別コスメのパイオニアと言えるでしょう。

『年齢別コスメ』として確固たる地位を築いたエビータですが、今回のリニューアルは、業界をも驚かせた内容でした。

それが、『年齢別コスメからの脱却』です。

今回の『エビータ ボタニバイタル』のターゲットは、50代女性ではなく、エイジングケアに取り組みたいと考える『すべての女性』です。女優の長澤まさみさんをCMに起用する戦略からも、今回のリニューアルによって、『年齢別コスメから脱却する!』というカネボウの強い意志が感じられます。

そもそもエビータが年齢別コスメに走った理由は、「どのコスメを選んでいいか分からない」という、当時の『ユーザーニーズ』があったから。

しかし現代は、女性を取り巻く社会環境が大きく変化しましたし、インターネットやSNSも広く普及しています。これによって、様々なコスメ情報を効率的に入手し活用することが出来ますから、「どのコスメを選んでいいのか分からない」という当時のユーザーニーズが少なくなってきたのでしょう。

また、現代は、『30代』からエイジングケアを意識し、エイジングケアを始める女性が多いですから、ターゲットを、エイジングケアに取り組みたい『すべての女性』にシフトしたのは、エビータブランドの今後の発展のためにも必要だったのでしょう。

ただし、ただ単に50代女性からすべての女性にターゲットを変えただけでは、ユーザー支持を得られません。ターゲット層に響き、ターゲット層の共感を集める『コンセプト』が必須です。

そこでエビータは、新しいコンセプトを取り入れました。

それが『ボタニカル×バイタル×エイジング』

『ボタニカル(植物の)』の名が示す通り、植物の持つ力強さ・生命力に着目して、ブランド誕生以来象徴としてきた『バラ』に、植物の力を組み合わせました。

こうして誕生したのが、『カネボウ エビータ ボタニバイタル』です。

『エビータ ボタニバイタル』は、植物のみなぎる力を味方に、うるおいあふれるハリ肌に導くセルフエイジングケアシリーズです。

 

2.全然ボタニカル・ナチュラルではない!

エビータボタニバイタル・ナチュラル・ケミカル

エビータ ボタニバイタルのラインナップや、配合成分の詳細は以下記事をご覧ください。

<化粧品開発のプロが分析「カネボウ エビータ ボタニバイタル」>
・【化粧品開発のプロが分析】 「カネボウ エビータ ボタニバイタル」の評価・評判は?おすすめ?

「ボタニバイタル」という植物を想起させる『ブランド名』、CMやホームページなどの『世界観』から、多くのユーザーが『エビータ ボタニバイタル=ナチュラルコスメ』と思っているのではないでしょうか?

私自身も、初めてCMを見た時、「エビータはナチュラルコスメにシフトしたんだ」と思っていましたから、実際商品を手に取った時は驚きました。


「エビータ ボタニバイタル」は、ナチュラルコスメではありません!

「エビータ ボタニカル」は、演出で『ナチュラルっぽく』見せている、『ケミカルコスメ』です!!


ナチュラルコスメ・オーガニックコスメの統一基準がない日本において、今回のようなナチュラルっぽく見せて、実はケミカルな『ナチュラル風コスメ』は驚くほどたくさん存在します。

「エビータ ボタニバイタル」は、『植物の力』を取り入れるために、「ダイズ芽エキス」や「コメ発酵液」、「ダマスクバラ花水」、「リンゴ果実エキス」、「アセロラ果実エキス」、「キイチゴエキス」、「マカデミアナッツ油」、「オタネニンジン根エキス」などを配合しています。

しかし、エビータに配合されているこれら『植物由来成分』は、保湿効果や様々な美肌効果が期待できますから、現代のコスメにおいてなくてはならない『必須成分』です。

逆に、植物由来成分を配合していないコスメを見つけることが困難なくらい、植物由来成分は当たり前の成分です。

「エビータ ボタニバイタル」は、この当たり前のことを、CMやパッケージ(容器)が醸し出す『世界観』で、あたかも全てがナチュラルのように演出しているだけの『イメージコスメ』と言えるでしょう。

現に、「エビータ ボタニバイタル」には、パラベン・フェノキシエタノール・クロルフェネシン(いずれも『防腐剤』)が配合されていますし、なぜか『紫外線吸収剤』も、そして、『ミネラルオイル(鉱物油)』も配合されています。

ナチュラルとは程遠い配合成分です。

これ自体、私は否定するつもりはありませんし、これら成分が肌に悪いとも思っていません。コスメを構成する必須成分とも言えます。

しかし、パッケージやCM、ホームページが醸し出す『世界観』と、『実際の配合成分』があまりにも違いすぎて、この『ギャップ』は、果たしてユーザーのためになるのか疑問です。

もしご自身の信念や肌質で、「ナチュラルコスメを使いたい」、「ナチュラルコスメしか使えない」というユーザーが、ナチュラルコスメと思い込んで「エビータ ボタニバイタル」を使ったら、それはもはや、ユーザー側が不利益を被る『優良誤認』ではないでしょうか?

他の無名なメーカーならまだしも、カネボウほどのメーカーがすることではないと思いますし、特にカネボウは、『白斑』の問題がありますから、ユーザーに対して誠実な態度で臨む必要があるでしょう。

今回の「エビータ ボタニバイタル」が不誠実とまでは言いません。他にも「ボタニカル」と言いながら、配合成分の大部分を合成成分が占める『ケミカルコスメ』はたくさん存在します。

しかし、「エビータ ボタニバイタル」が醸し出す世界観と実配合成分との『ギャップ』は、化粧品開発者の立場からすれば、『正すべき事』だと思います。

 

3.本物のナチュラルコスメは?

ナチュラルコスメ・オーガニックコスメの『統一基準』がない日本において、『本物のナチュラルコスメ』と言えるモノには、中々出会えません。

市場には『100%植物成分(植物由来成分)』のコスメは存在し、配合成分的に、これらコスメは「ナチュラルコスメ」と言えますが、使用感・仕上がりが驚くほど悪く、快適に使い続けるべきコスメにとって許される品質ではありません

これらの現状を踏まえ、日本の化粧品業界団体が、ナチュラルコスメ・オーガニックコスメの『統一基準』の策定に動き出しました。

詳細は以下記事をご覧ください。

<ナチュラルコスメ・オーガニックコスメの統一基準(新基準)!>
・【最新版】 ナチュラルコスメ・オーガニックコスメの新基準!こう変わる!!

この『統一基準』の浸透には、まだまだ時間がかかると思いますが、カネボウや資生堂、ポーラなど、日本を代表する大手化粧品メーカーがこの『統一基準』を取り入れれば、世の中に広がっていくと思います。そして、世に広く浸透すれば、ユーザー側が不利益を被りかねない『ナチュラル風コスメ』が淘汰されていくでしょう。

ケミカルコスメであることを承知の上で、「エビータ ボタニバイタル」の『ブランドコンセプト』『世界観』に共感して使用するのであれば問題ありませんが、『ナチュラルコスメ』という理由で使用を考えているのであればご注意ください。

化粧品開発者の私が、現在のコスメ基準の中で、『本物のナチュラルコスメ(オーガニックコスメ)』と考えているのが、『HANA オーガニック』です。

ホームページ上で、コンセプトを詳しく発信していますが、私はそのコンセプトに共感しています。

また、特筆すべきは、コスメに配合原料の全ての『由来』『原産国』を公開している点です。

ここまで公開するメーカーはなかなかありません。

さすが、『国産オーガニックコスメNO.1』(通販部門)の実力です。

配合原料のナチュラル・オーガニックに対する『考え方』『情報公開』、いずれも高く評価できる『HANA オーガニック』は、数少ない『本物のナチュラルコスメ(オーガニックコスメ)』と言えるのではないでしょうか。

 

4.おわりに

いかがでしょうか?

「カネボウ エビータ ボタニバイタル」が、各種媒体で醸し出す世界観は素晴しいですが、これは、ナチュラルコスメではありません。

ナチュラルは『演出』であって、配合成分的には『ケミカルコスメ』です。

「エビータ ボタニバイタル=ナチュラルコスメ」というのは、『大きな誤解』ですからご注意ください。



※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません