コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

cosmedeinと申します。十数年、大手化粧品会社で化粧品の研究開発を行ってきました。その知識と経験を活かし、皆様に、『コスメの真実』をお伝えします。普段のお化粧に、是非参考にしてください!

ハワイにてサンゴ礁に有害な日焼け止めの使用が禁止へ!?今後どうなる?

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先日読者の方から、「ハワイでサンゴに有害な日焼け止めの使用が禁止されそうですが、今後どうなるのでしょうか?」というご質問を頂きました。

このニュースは、ゴールデンウィーク中に報道されたようですね。

日焼け止め(紫外線吸収剤)のサンゴ礁に対する影響は、今にはじまった話ではなく、以前から問題視されていました。

そこで今回は、このたび報道された「ハワイでの日焼け止めの使用禁止」について、化粧品開発者の私がご説明いたします。

 

1.ハワイにてサンゴ礁に有害な日焼け止めの使用が禁止へ!?

ハワイ・吸収剤・禁止・日焼け止め

2015年、人々が使う『日焼け止め』(サンスクリーン)が、サンゴ礁に悪影響を及ぼしているという調査結果を、米国の大学研究者らでつくる国際調査グループが発表しました。

当時の記事によると、人々が日焼け止めを使って、それが海水に混じることで、環境に極めて敏感に反応するサンゴを殺す結果になるということです。

五輪用プール約6個分の海水に、日焼け止めをわずか1滴たらしただけの濃度でも、多くの日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤『オキシベンゾン』が、サンゴの栄養吸収を妨ぎ、白化をもたらします

さらに、世界では毎年1万4000トン(2015年当時)の日焼け止めがサンゴ礁を取り巻く海水に流れ込み、その多くが1〜10%の『オキシベンゾン』を含んでおり、サンゴ礁の少なくとも『10%』は高いリスクにさらされていると考えられていました。

上記の内容は2015年当時のものです。

この記事によって、環境への影響から一部紫外線吸収剤の使用が禁止になる可能性が示唆されたわけですが、日焼け止め市場はそれほど危機感を感じていませんでした。

何故なら、記事中にある『オキシベンゾン』は、メジャーな紫外線吸収剤の一つであることに間違いはありません。しかしそれは過去の話で、2015年当時においても、日焼け止めへの配合機会は減っており、「オキシベンゾン」に代わる紫外線吸収剤は複数存在するからです。

しかし今回は少し違うようです。以下に今回の記事を抜粋します。

(CNN) 米ハワイ州議会は3日までに、サンゴ礁への有害性が指摘される成分を含んだ日焼け止めの販売を禁止する法案を可決した。成立すれば、米国では初めての措置となる。

可決された法案は、成分にオキシベンゾンとオクチノキサートが含まれる日焼け止めを、免許を持った医師の処方箋(しょほうせん)なしで販売したり流通させたりすることを禁止する内容。イゲ知事の署名で成立すれば、2021年1月1日から施行される。

非営利の学術団体によると、紫外線カット成分のオキシベンゾンとオクチノキサートは、ハワイの海洋環境に重大な被害をもたらす原因になっている。

引用CNN.co.jp : サンゴ礁に有害な日焼け止め成分、禁止法案を可決 ハワイ州 - (1/2)


今回の大きな着目点は、配合禁止成分に、「オキシベンゾン」だけではなく、『オクチノキサート』が含まれている点です。

「オクチノキサート」は、『メトキシケイヒ酸エチルヘキシル』の事で、通称『OMC』と呼ばれ、世界で最も日焼け止めに使われる紫外線吸収剤です。

『メトキシケイヒ酸エチルヘキシル』が規制の対象となり、ハワイでの使用禁止を皮切りに、世界的に使用禁止になったら、日焼け止め市場に与える影響は甚大です。

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、「光分解」と「匂い」の課題はあるものの、紫外線を吸収する能力が高く、他の吸収剤を溶解する能力にも優れ、使用感的にもベタツキが少なく、非常に安価なことから、最も汎用性が高く、最も優秀な紫外線吸収剤(UV-B波)と言えます。

ですから、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルに代わる紫外線吸収剤は現状なく、世界レベルで配合禁止になった場合は、大きな混乱を招くでしょう。

ただし、ここまでの内容は、他のブロガーさんたちも論じているであろう内容なので、私は化粧品開発者として、もっと突っ込んでこの問題の今後を論じたいと思います。

 

2.ヨーロッパの化粧品メーカーの動きに注目!

世界的に見れば、化粧品業界は『ヨーロッパ勢』が強く、グローバルスタンダード策定の際は、ヨーロッパ勢が有利になるような働きかけが、時にあります。

日焼け止めに配合される「微粒子酸化チタン」や「微粒子酸化亜鉛」を対象にした『ナノ問題』がいい例です。詳細は、別途記事にします。

紫外線吸収剤は、欧米を中心とした海外製品に頻繁に配合されますから、仮に「OMC」が配合禁止になったら、日本よりも欧米メーカーの方が困るでしょう。

また、「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(OMC)」は、複数のメーカーが製造し、化粧品メーカーに供給していますが、供給元最大手が、ドイツに本社を構える、世界最大の総合化学メーカーです。

当然、ヨーロッパの化粧品メーカーとのパイプも太く、絶大な力を持っていますから、ハワイでの禁止は避けられなくとも、世界的に配合禁止になることはないと思います。

ただし、ヨーロッパ勢が、紫外線吸収剤の環境に与える影響の深刻さを重く受け止め、『特定の紫外線吸収剤使用禁止』に舵を切れば、この動きは加速度的に広がっていくでしょう。

 

3.「OMC」に代わる紫外線吸収剤は存在する!!

先ほど、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(OMC)は、素晴らしいパフォーマンスを発揮するにもかかわらず、非常に安価なため、最も汎用性が高く、最も優秀な紫外線吸収剤であり、代わりが存在しないと申し上げました。

しかし実は、全く同じと言うわけではありませんが、「OMC」と同レベルのパフォーマンスを発揮しながら、「OMC」に比べ肌刺激性が少なく、「OMC」の代わりとなり得る紫外線吸収剤は存在します

ここではあえて、紫外線吸収剤『X』と表記しますが、吸収剤「X」は、「OMC」に比べて肌刺激性が少なく、「OMC」の代わりになりますが、日本での使用(配合)が認められていません

ですから、世界的に見れば、仮に「OMC」の使用が禁止になったとしても、「X」を使えばいいということになります。

しかし、日本では配合が認められていませんから、困るのは日本メーカー。次項では、日本に目を向けてみましょう。

ちなみに、このニュース以降、化粧品メーカーから原料メーカーへの「X」の問い合わせが激増したようです。

 

4.国から配合許可が得られるかどうかは資生堂次第!?

化粧品の世界では、薬機法(旧薬事法)の遵守は絶対ですが、化粧品メーカーの責任においてであれば、比較的自由にやっても良いというのが国のスタンスです。

各化粧品メーカーを束ねるのが、化粧品の業界団体である『日本化粧品工業連合会(粧工連)』であり、粧工連の積極的な働きかけがあれば、国から配合許可を得ることは可能でしょう。

粧工連には複数の部会が存在し、コスメに関わる様々なことが議論されています。最近で言えば、このブログでもご紹介している「ナチュラルコスメ・オーガニックコスメの新基準」についても粧工連で議論されていますし、皆様おなじみ、日焼け止めのSPF, PA表示、及び測定方法も議論されています。

この粧工連の、各部会、専門委員会での資生堂の役割は大きく、日本NO.1の化粧品メーカーの責任として、資生堂は業界活動にも熱心です。

直接的に自社の利益にはつながらないにも関わらず、資生堂の粧工連での活動は素晴らしく、頭が下がります。

ですから、今回のハワイでの「OMC」問題を、資生堂がどう考えるかによって、日本における「OMC」の扱い(配合継続 or 配合禁止)、及び「OMC」に代わる新規紫外線吸収剤の配合許可申請への対応が決まると言っても過言ではないと、個人的には思っています。

 

5.資生堂の対応(予想)

私は資生堂の研究開発員ではないので、最近の資生堂の研究内容、及び新商品から、今回の件に対する資生堂の対応を予想してみます。

おもいっきり私見である旨、あらかじめご了承ください

紫外線吸収剤は、紫外線から肌を守る大変優秀な成分であり、日焼け止めコスメになくてはならない必須成分です。

その中でも、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(OMC)は、紫外線カット能・他吸収剤との相溶性・使用感・価格、いずれにおいても素晴らしいパフォーマンスを発揮します。

しかし唯一のデメリットがあります。それが『光分解』です。

「OMC」に限らず、紫外線吸収剤はその特性上、光(紫外線)によって分解しやすく、分解した吸収剤は、紫外線カット能を失います

『吸収剤の光(紫外線)による分解』は、日焼け止め分野の長年の大きな大きな課題です。

「OMC」の光安定性への対策としては、一般的なUVAの吸収剤t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)』と一緒に配合すると、お互いがさらに分解してしまうため、UVAの吸収剤に、「アボベンゾン」ではなく、『ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル』が用いられるようになりました。

また、光安定性に優れるUVB吸収剤『オクトクリレン』と併用する対策もとられています。しかし、「OMC」自体の光安定性が向上したわけではないので、これらは『抜本的解決策』ではありません。

『資生堂』は、この現状に目を向け、光安定性に優れた、新しい紫外線吸収剤の開発に着手しました。そして、「OMC」の光分解メカニズムを、電子レベルで解明し、新しい紫外線吸収剤の開発に成功しました。

それが、新規UVB吸収剤『ジオクチルメトキシベンジリデンマロネート(DOMBM)』です。

「DOMBM」の『光安定性の高さ』は驚異的で、「OMC」の比ではありません。「オクトクリレン」と併用することで、さらに光安定性が向上しますから、「DOMBM(ジオクチルメトキシベンジリデンマロネート)」は、ある意味、『理想的な吸収剤』と言えるでしょう。

この資生堂の研究成果は、日本の化粧品技術者が集う『日本化粧品技術者会(SCCJ)』において、『優秀論文賞』を獲得しました。化粧品のプロにも認められたということです。

「DOMBM」配合コスメの誕生には、まだ少し時間がかかります。

最新の「資生堂 アネッサ」には、吸収剤の中で「OMC」が最も多く配合されています。ですから、ハワイを皮切りに「OMC」使用禁止の流れが世界的に広がったら、資生堂にとっても大きな問題となるでしょう。

ですが資生堂には、従来の吸収剤の欠点を克服した新規吸収剤『DOMBM(ジオクチルメトキシベンジリデンマロネート)』がありますから、環境への影響の無さが確認されれば、本格的に切り替えてくるかもしれません。

これはつまり、「OMC」は『不要』と言うことです。

コスメは『ブランドビジネス』です。化粧品メーカーは、自社の『ブランド価値』を高めようと、様々な取り組みをしています。

「環境に悪影響を及ぼす成分を使い続けること」は、ブランド価値を下げるマイナス行為ですから、各化粧品メーカーは、今から対応策を考えておいた方がいいのではないでしょうか? 

 

6.吸収剤フリーでも問題ない

多くのコスメブロガーが今回の問題を記事にしています。その中で、「紫外線吸収剤は高SPF, PA、さらに、耐水性付与(ウォータープルーフ)のためにも必要」との声が目立ちます。

これはある意味正しいですが、現在の日焼け止めコスメの技術を知らない、薄っぺらな意見です。

まず大前提として、紫外線吸収剤は危険な成分ではありません。国の配合基準を遵守し、メーカー側がしっかり安全性を確認すれば、安心してお使い頂ける成分です。

ただし、国が配合基準を定めているということは、『肌刺激性の懸念がある成分』という事ですし、今回の『環境への影響』の問題もありますから、我々は一度、吸収剤の在り方を考えるべきかもしれません。

また、「吸収剤は肌刺激性、環境負荷の懸念はあるが、紫外線ダメージの方がより深刻なため、これら懸念がありながらも使わざる得ない成分」という考え方もあります。

これは正論ですが、『吸収剤ありきの考え方』が、そもそもの間違いです。

つまり、吸収剤を使わない『吸収剤フリー』であっても、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛といった『紫外線散乱剤』を用いることで、高SPF, PA, 耐水性の付与は可能なのです。

一昔前であれば、吸収剤フリーの日焼け止めは、散乱剤由来の『白浮き』『乾燥』『きしみ』など、快適とは程遠い使用感・仕上がりでした。

しかし『散乱剤技術』は日々進化しています。

原料メーカーの、『微粒子化技術』『表面処理技術』。化粧品メーカーでは、カネボウ・花王の『ADVAN(表面処理薄板状酸化亜鉛)』、ポーラの『水分散微粒子酸化チタン』など、散乱剤技術は大きく進化を遂げましたし、今現在も進化し続けています。

「吸収剤フリー = 使用感・仕上がり・紫外線カット能が劣る」、こんな考えは『時代錯誤』も甚だしい。

特に『散乱剤技術』は、日本が世界を大きくリードしていますから、「肌刺激性」・「環境への配慮」という点から、『吸収剤フリーの日焼け止め』という選択肢は大いにあり得ます。

しかも現代は、『高品質の吸収剤フリー日焼け止め』が市場に存在します。

それが、『ポーラ ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』です。

もともとポーラは『散乱剤技術』に定評がありますから、吸収剤フリー日焼け止めで真先に名前が挙がるのが『ポーラ』です。

ご存知のように、ポーラは『訪問販売』を主体にしています。ポーラの商品がいくら優れていても、訪問販売特有の『買いにくさ』がネックになっていましたから、私はこれまであまりおすすめはしませんでした。

しかし今では、ポーラのほぼ全ての商品がネット通販で買えますから、「買いにくさ」のデメリットがなくなり、おすすめ出来るようになりました。

『ポーラ ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』は、『吸収剤フリー』でありながら、SPF 30, PA+++, ウォータープルーフ(40分間の水浴テスト済み)です。

日常生活の範囲内であれば、十分すぎる程のスペックです。

『ポーラ ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』の特筆すべきは、『2歳以上の幼児を対象にした連用試験済み』という点です。

世の中には、「小さなお子様でも使える」「マイルドタイプ」「敏感肌用」と言いながら、吸収剤を配合するなど、全然マイルドではなく、子共が使える根拠が全く無い日焼け止めが多すぎます。

しかし、「吸収剤フリー」且つ、「2歳以上の幼児を対象にした連用試験済み」の『ポーラ ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』であれば、勿論、全ての幼児の肌に合うという訳ではありませんが、小さなお子様でも、敏感肌の方でも、『使える根拠が明確』ですから、安心してお使い頂けるのではないでしょうか。

 

7.おわりに

いかがでしょうか?

今回のハワイでの使用禁止措置が、すぐに世界中に広まり、グローバルスタンダードになるとは思えませんが、現代はどの産業も、『地球環境に配慮すべき時代』です。

ですからいずれ、「OMC」の禁止は勿論、吸収剤全般の使用が禁止される可能性は十分にあります。

さらに先月、千葉市教育委員会が校内での日焼け止めの使用を認めたように、今後益々、日焼け止めユーザーの『低年齢化』が進むでしょう。

吸収剤には、『肌刺激性の懸念』があるため、国による配合規制が存在しますし、吸収剤の多くは『低分子の有機化合物』ですから、小さなお子様やデリケートな肌の方が、積極的に触れるべき成分ではありません

私は自分の子供には『吸収剤フリーの日焼け止め』を使わせます。

現状、吸収剤フリーの日焼け止めはまだまだ完全ではありません。高スペックになるほど”白浮き”・”乾燥”の傾向にありますし、コスト面でも吸収剤には勝てません。

しかし今回の『サンゴ礁への影響』『ユーザーの低年齢化』が示すように、吸収剤と散乱剤を併用して、吸収剤への依存度を段階的に下げていき、最終的には『吸収剤フリーの日焼け止め』に大きくシフトする必要があるかもしれません。

吸収剤フリーで、小さなお子様でも、敏感肌の方でも使える日焼け止めであれば、「2歳以上の幼児を対象にした連用試験済み」の『ポーラ ホワイティシモUVブロッグ ミルキーフルイド』がおすすめです。

 

ホワイティシモUV ブロック シールドホワイト

 


※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません