コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

cosmedeinと申します。十数年、大手化粧品会社で化粧品の研究開発を行ってきました。その知識と経験を活かし、皆様に、『コスメの真実』をお伝えします。普段のお化粧に、是非参考にしてください!

【日焼け止めの疑問③】 吸収剤と散乱剤、どちらが「肌に優しい(安全)」のか?

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日焼け止めコスメの疑問・誤解の『第3弾』です。

今回は、「紫外線吸収剤と紫外線散乱剤、どちらが肌に優しい(安全)のか?」という疑問・誤解にお答えします。

『ケミカルフリー(吸収剤フリー)』の日焼け止めが存在するように、吸収剤と散乱剤に対する『安全性(肌への優しさ)』は、関心が高い事柄の一つだと思います。

 

1.吸収剤は肌に優しい?

吸収剤・散乱剤・安全・危険

『紫外線吸収剤』は、「安全」で「肌に優しい」のでしょうか?

これは見方によって、様々な考え方があります。あくまで私個人の見解ではありますが、化粧品開発者である私は、「紫外線吸収剤」は『安全ではあるが肌に優しくはない』と考えています。

このブログでも再三申し上げている通り、コスメは『安全であること』が大前提ですから、危険な成分は、国が定める基準の元、配合されません。

「ものすごく危険ではないが、やや安全性が心配」という成分は存在します。その場合、化粧品メーカーが責任を持って安全性を確認して、問題ないと判断された場合のみ配合されます。

ですから、コスメの安全性に関しては、『国』『化粧品メーカー』双方が担保していますから、コスメは安全であり、その安全なコスメに配合される紫外線吸収剤も『安全』でなければならないのです。

しかし、紫外線吸収剤には、国による『配合規制』が存在し、『配合上限』(配合出来る最大量)が定められています。

これはつまり、紫外線吸収剤は『安全』であるものの、その性質上、人によっては肌トラブルを引き起こす可能性があり、決して肌に優しいとは言えないため、国は『配合規制』を設けているのです。

肌トラブルの可能性が全くなくて、肌に優しい成分であれば、国は規制を設けません。

また、紫外線吸収剤の肌刺激性が心配だからこそ、子供用や敏感肌用に『ケミカルフリー』(吸収剤フリー)の日焼け止めが存在するのです。

ですから、紫外線吸収剤は、肌に優しい成分とは言えない(=肌刺激性がある)と考えるのが妥当ではないかと思います。

ただし、だからと言って、「吸収剤=悪」とか、「吸収剤フリーを選ぶべき」と言っているわけではありません。

吸収剤によって刺激を感じたり、何かしらの肌トラブルを抱える人はわずかです。このような人達は、吸収剤を避けるべきですが、何も問題なくお使い頂けるのであれば、無理して避ける必要はありません。

 

2.散乱剤は肌に優しい?

紫外線散乱剤と言えば、『酸化チタン』『酸化亜鉛』です。

【日焼け止めの疑問②】の記事で私は、酸化チタン・酸化亜鉛は、吸収剤でもあって散乱剤でもあると申し上げましたが、本記事においては、「酸化チタン・酸化亜鉛=紫外線散乱剤」として扱わせて頂きます。

散乱剤は勿論、『安全』です。理由は吸収剤と同様です。

さらに、先ほども少し述べましたが、子供用・敏感肌用に「ケミカルフリー」(吸収剤フリー)の日焼け止めがあるように、散乱剤は『肌に優しい』と言えます。

散乱剤には『ナノ問題』がありました。これは、「日焼け止めに配合される散乱剤はナノ粒子のため、人に対して有害だ!」と訴えたものです。

この訴えによって、「散乱剤は危険!肌に優しくない!!」という『イメージ』が先行した時期がありましたが、現在は、問題ないことが立証されましたから、散乱剤は安全で肌に優しい成分と考えられます。

そもそも「ナノ問題」は、ナノ粒子を製造する製造従事者の健康被害を懸念したものであって、エンドユーザーに対しては大きな問題とはなりません。それを、「エンドユーザーに対して危険!」と、大きな問題に発展させたのは、散乱剤を積極的に配合しないヨーロッパメーカーの策略だと私は考えています。

以上のように、散乱剤は『安全』『肌に優しい』成分です。

散乱剤は、非常に細かな『粉』ですから、毛穴に詰まる恐れがあります。使用後は確実に洗い流すようにしてください。

 

3.おわりに

 いかがでしょうか?

吸収剤も散乱剤も、『安全』です。安全だからこそ、コスメに配合されています。

『肌への優しさ』という点では、『散乱剤』の方が上でしょう。

吸収剤には『配合規制』がありますし、『光安定性』の課題もありますから、決して肌に優しい成分ではありません。

ただし、だからと言って、「吸収剤フリーを選ぶべき」と言っているわけではなく、吸収剤によって刺激を感じたり、何かしらの肌トラブルの経験がある方を除き、それほど心配される必要はありません。

過去、これら成分で肌トラブルの経験がある方を除き、吸収剤や散乱剤にとらわれることなく、SPF・PA値などの『スペック』及び『使用感』で、日焼け止めコスメをお選びください。



※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません