化粧品市場で勢いのあるコスメが、製薬会社が作る『製薬会社コスメ』。
私は「製薬会社コスメ」が好きですし、化粧品開発者として製薬会社とのお仕事の経験もありますから、その知識・経験をもとに、これまでも「製薬会社コスメ」について記事にしてきました。
<製薬会社コスメに関する記事一覧>
製薬会社コスメ カテゴリーの記事一覧 - コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~
今回は、乾燥する時期の必需品、製薬会社が作る『保湿コスメ』について、化粧品開発者の私のおすすめをご紹介します。
1.製薬会社が作った「保湿コスメ」
乾燥が著しい冬の時期は、『保湿コスメ』は必需品です。
しかし、「エアコンによる乾燥」や「飛行機内の乾燥」など、冬に限らず、我々のお肌は常に乾燥にさらされていると言っていいでしょう。
また、保湿不足は、シワ・たるみ・シミ・肌あれなど、様々な『肌トラブル』につながる恐れがありますから、保湿は『コスメの基本』です。
このような背景から、近年、『保湿に特化したコスメ』が増えてきました。
一方、製薬会社は、「製薬」という『圧倒的に良いイメージ』を武器に、様々なコスメを開発し、化粧品市場でシェアを拡大しています。
当然、製薬会社も、『保湿』というユーザーニーズに着目し、保湿に特化したコスメを開発。「製薬」という圧倒的に良いイメージの後押しもあって、ユーザー支持を広げています。
イメージと言っていますが、製薬会社が作るコスメはイメージだけではありません。製薬会社の名にふさわしく、『高品質コスメ』です。
ただし、中には、製薬というのは名ばかりで、製薬という名の上にあぐらをかいて、本質を見失っている製薬会社コスメが存在するのも事実。
次項では、化粧品開発者の私が、イメージだけではない高品質の、製薬会社が作った『保湿コスメ』をご紹介します。
2.おすすめの「製薬会社保湿コスメ」
2-1.ロート製薬「糀肌」
ロート製薬と言えば、第一三共ヘルスケアと並び、製薬会社コスメで化粧品市場を牽引する会社です。
「肌ラボ」・「オバジ」・「50の恵み」など、誰もが知るメガブランドを抱えており、製薬会社コスメを世の中に広げた立役者とも言えます。
そんなロート製薬から、『保湿に特化したブランド』が発売されました。
それが「糀(麹)のチカラ」に着目したブランド、『糀肌(こうじはだ)』。
酒造りの最高責任者である杜氏(とうじ)の人達は、酒造りの工程で、冷たい水にさらされているにも関わらず、手肌の荒れがなく、非常に綺麗でモチモチだというのは有名な話です。ですから、糀(麹)には『高い保湿効果』が期待できます。
私も過去、糀(麹)をコンセプトにした、スキンケアの開発に携わりました。
「糀肌」のチカラの源は、糀の主成分である『白糀コメエキス』(加水分解コメタンパク)です。
うるおいのある肌はタンパク質が約20%程で、肌そのものに保水力が備わっています。歳を重ねると、必要なタンパク質が約50%程減り、様々な肌トラブルの原因となります。
つまり、最適な肌環境には、『タンパク質のコントロール』が不可欠なのです。
ロート製薬の研究によると、『白糀コメエキス』(加水分解コメタンパク)は、「コラーゲン」や「ヒアルロン酸」を超えるタンパク質保有量であり、「コラーゲン」・「ヒアルロン酸」以上の『保水力』を有します。
「コラーゲン」と「ヒアルロン酸」の保水力はすさまじいのに、『白糀コメエキス』はこれらを超えるとは。恐るべし糀のチカラ。
『白糀コメエキス』を全品に配合したロート製薬『糀肌』は、まさに『保湿コスメ』にふさわしいです。
しかもロート製薬のすごいところは、しっかりとアイテムを揃えている点ですね。
「アイテムを揃える」ということは、メーカーにとって大変なことです。それだけ開発費が増えますし、在庫リスクも増えます。1品で済む「オールインワンジェル」を開発するメーカーが多いのも、このような背景があります。
「アイテムを揃える」ことができるメーカーは、力があるメーカーの証です。ロート製薬は『糀肌』に、「クレンジング」・「石鹸」・「化粧水」・「クリーム」は勿論、「日焼け止め」、さらに「ファンデーション」・「仕上げ用パウダー」と、メイク品まで揃えていますからさすがですね。
スキンケアのプロ「ロート製薬」と糀のプロ「古町糀製造所」がタッグを組んで誕生。『糀のチカラ』で高保湿を実現した『糀肌』は、おすすめの製薬会社保湿コスメです。
2-2.第一三共ヘルスケア「ブライトエイジ」
第一三共ヘルスケアの『ブライトエイジ』は、トラネキサム酸を美白の有効成分として配合した、全方位エイジングケアブランドです。
ですから勿論、保湿力はありますが、保湿に特化しているというわけではありません。乾燥が著しい『冬の時期』に、美白ケアをおすすめしたいので、この記事に載せました。
美白と言うと、紫外線が強い『夏の時期』の印象が強いです。勿論、夏の時期の美白ケアは必須ですが、「冬こそ本格的な美白ケアを!」という考え方もあります。
何故なら、冬は夏に比べて紫外線量が少なくなりますから、当然、紫外線ダメージにさらされることも減ります。ですから、夏に蓄積されたメラニンのケアに集中できるのが冬なのです。
また、紫外線を浴びて、すぐにシミになるわけではありません。夏に浴びた紫外線によって肌内部に生まれたメラニンは、肌の生まれ変わりのサイクルに合わせて、冬の時期にシミとなって表面化してきます。
さらに、乾燥しやすい冬の時期は、肌の水分が奪われ角層が乱れることで、光の反射率が低下し、顔のくすみの原因になりやすいです。
このように、紫外線量が減り、乾燥しやすい冬は、『メラニンケアに最適の時期』と言えるのです。
冬の時期のメラニンケア(美白)なら、第一三共の『ブライトエイジ』です。
第一三共と言えば、美白の有効成分『トラネキサム酸』。「トラネキサム酸」は第一三共が開発したオリジナル成分ですから、「トラネキサム酸の研究」と「トラネキサム酸配合コスメ」で、第一三共の右に出るメーカーはいません。
「トラネキサム酸」については以下記事をご覧ください。
<トラネキサム酸は美白の有効成分?>
【コスメの誤解】 話題の成分、トラネキサム酸を「美白の有効成分」と勘違いしていませんか? - コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~
<トラネキサム酸は安全・安心な成分?>
何故、「トラネキサム酸」は安全・安心な成分なのか?化粧品開発者が考えるその理由とは? - コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~
『ブライトエイジ』は、美白の有効成分として「トラネキサム酸」を配合した医薬部外品シリーズですから、メラニンケアに有効です。しかし『ブライトエイジ』は、美白だけでなく、美白を含む『全方位エイジングケア』ですから、乾燥し、肌のうるおいが低下しがちな冬の時期にも最適です。
2-3.常盤薬品工業「ノブIII」
低刺激コスメ・敏感肌コスメとして有名なのが、常盤薬品工業の『ノブシリーズ』です。その中でも、保湿に特化したのが『ノブIII』です。
常盤薬品工業は、大手化粧品会社『ノエビア』のグループ会社です。正直、製薬会社かどうかと言われれば微妙ですが、「薬品」と名がついていますし、「臨床皮膚科学に基づいた」とあるので、ここでは「製薬会社コスメ」として考えました。
「ノブIII」のキー成分は『セラミド』です。
セラミドは、肌のバリア機能を回復させる成分ですから、保湿コスメへの配合は決して珍しくありません。また、常盤薬品工業は、『製薬会社コスメ』としては、先の「ロート製薬」や「第一三共ヘルスケア」に比べ、やや劣るでしょう。
しかし、大手化粧品会社「ノエビア」のグループ会社ですから、「ノエビア」でのスキンケア開発で培った技術の水平展開が可能です。
それが『セラミド液晶化技術』。
「ノブIII」は、「セラミド液晶化技術」によって、セラミドの『浸透力』を高めています。
ただ単にセラミドをコスメに配合するのでは意味がありません。角層にセラミドを届けなければ、セラミド本来のチカラ(バリア機能の回復)を得られません。
ですから、成分(セラミド)の浸透性は、保湿コスメにとって非常に重要です。
成分の浸透化技術は、処方化技術の一つであり、化粧品会社が得意とする分野でもありますから、「ノエビア」の強みを生かしたと言えます。
高い処方化技術で、セラミドの高浸透(角層まで)を可能にした保湿コスメ、それが『ノブIII』です。
また、「ノブIII」は、トライアルセットが充実している点がいいですね。
『7つ』ものアイテムを、『7日間』も試せて1500円ですから、試し使いへのハードルが低くてうれしいです。
3.おわりに
いかがでしょうか?
乾燥する時期・環境下では『保湿コスメ』は必需品です。
是非、製薬会社が作った、『製薬会社保湿コスメ』をお試しください。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません