コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

cosmedeinと申します。十数年、大手化粧品会社で化粧品の研究開発を行ってきました。その知識と経験を活かし、皆様に、『コスメの真実』をお伝えします。普段のお化粧に、是非参考にしてください!

化粧品開発者から見た「ファンケル マイクレ」のすごさとは?

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オイルクレンジングの名品と言えば、ファンケルの「マイルドクレンジングオイル」。

通称『マイクレ』

オイルクレンジング領域では、「DHC」と「ファンケル」が競い合っていましたが、ファンケルグループの「アテニア」から発売された「スキンクリア クレンズオイル」の大ヒットによって、『ファンケル』が頭一つリードしているのではないでしょうか?

詳細は以下記事をご覧ください。オイルクレンジングの歴史が分かると思います。

⇒ No.1 オイルクレンジングは? 【オイルクレンジングの歴史を振り返り、今後の展望を予想してみました】 - コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

そのファンケルから、「マイクレ」がリニューアルされたようです。リニューアルを期に、盛んにCMを流していますね。

有名な「アイメイクが落ちる映像」も流れていますから、当時、「マイクレ」が発売された時の衝撃を思い出しています。

「マイクレ」は誰もが認める『オイルクレンジングの名品』ですが、何がそんなにすごいのでしょうか?

今回は、化粧品開発者の私から見た、『マイクレのすごさ』をお伝えいたします。

 

1.ファンケル マイルドクレンジングオイルとは?

マイルドクレンジングオイル

「マイクレ」の誕生は今から20年前の1997年。敏感肌の方でも 使える肌に優しいクレンジングとして誕生しました。

「マイクレ」の特長は『肌への優しさ』だったんですね。

しかし当時は、「オイルクレンジング=肌に悪い」が定説でした。ですから、肌への優しさをPRするのであれば、『クリームクレンジング』『ミルククレンジング』が一般的でした。

ただし、「オイルクレンジング=肌に悪い」は間違いであり、『コスメの誤解』です。オイルクレンジングが肌に合わない方はいらっしゃいますが、だからと言って、肌に悪いというわけではありません。詳細は以下記事をご覧ください。

⇒ 【コスメの誤解】 「オイルクレンジングは肌に悪い」は間違いです! - コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

間違い・誤解とはいえ、当時の世の流れには勝てず、「敏感肌の方でも使える肌に優しいオイルクレンジング」をコンセプトにした「ファンケル マイクレ」は、ユーザー支持を得るのにかなり苦労していたと記憶しています。

転機となったのは、2009年のリニューアル。

これまでの『肌への優しさ』に加え、独自開発の「パーフェクトブレンドオイル」と「ナノサイズクレンジング技術」により、『高いクレンジング力』を実現し、生まれ変わりました。

このリニューアルが功を奏し、多くのユーザーから支持を得ることに成功。2009年2月のリニューアルから『4000万本以上』(2017年5月末まで)を販売しています。

今では、『4秒に1本』売れているお化け商品です。

先程も触れましたが、「マイクレ」がアイメイクを綺麗に落とす写真(映像)は、当時、かなり衝撃的でした。

これまでの「肌への優しさ」はキープしつつ、『圧倒的クレンジング力』を前面に押し出した「マイクレ」ですが、正直、オイルクレンジングであれば、クレンジング力に優れるのは当たり前です。

私が考える「マイクレ」のすごさは別のところにあります。詳細は後ほどご説明します。

 

2.リニューアルで何が変わった?

マイルドクレンジングオイル

「マイクレ」は、今回のリニューアルで何が変わったのでしょうか?

私は、リニューアル前の「マイクレ」は、研究対象として何度も触っていましたが、リニューアル後のモノは実際に触っていません。

ですから、商品ページと全成分表示から推測いたします。

商品ページやテレビCMでは、『三段落ち』と言う表現が一番に出てきて、クレンジング力がアップした?と思われがちですが、全成分や商品ページを見る限り、今回のリニューアルで一番変わったのは、『うるおいキープ力』だと思われます。

リニューアル前には配合されていなかった、「グリセリン」や「ジグリセリン」、「PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン」といった、『保湿剤』が配合されていますし、クレンジング後のうるおい成分残存量が、リニューアル前に比べ『125%』というデータもあります。

少し厳しい見方をすれば、今回のリニューアルは、大幅リニューアルとは言えませんね。「ファンケル」の技術力であれば、簡単に出来てしまうリニューアルレベルです。この程度であれば、何も今リニューアルする必要性はあまり感じませんが、戦略的要素があるのでしょうか?

また、このブログでも論じていますが、私自身、クレンジングにうるおい要素は求めていません。クレンジングに必要なことは『クレンジング力』であり、うるおいを肌に与えるのは、「化粧水」・「美容液」です。クレンジング後のお肌ケアをしっかりすれば、クレンジングにうるおい要素など必要ありません。

世の中には、「うるおい」や「保湿」を宣伝するクレンジングが多数存在しますが、ただ宣伝しているだけで、科学的根拠(データ)が無い場合がほとんどです。

その点「ファンケル」は、しっかりデータで示しているので、さすがですね。訳の分からない三流メーカーのクレンジングとは違います。

私自身、今回の「マイクレ」のリニューアルにはやや否定的な立場ですが、だからといって「マイクレ」の価値が下がっているわけではありません。

「マイクレ」がオイルクレンジングの名品であり、すごい商品だということに変わりはありません。

次項では、化粧品開発者の私から見た『マイクレのすごさ』をご説明します。

 

3.マイクレのすごさとは?

マイルドクレンジングオイル

「マイクレ」と言うと、アイメイクを落とす映像や三段落ちという表現に代表されるように、『クレンジング力』に注目されがちですが、「マイクレ」の圧倒的クレンジング力は誰もが認めるところですし、そもそもオイルクレンジングであれば、クレンジング力がすごいのは当たり前です。

私個人の見解ではありますが、化粧品開発者である私は、「マイクレ」の『洗い上がりの良さ(すすぎやすさ)』を一番に評価しています。『洗い上がり向上技術』こそ、「マイクレ」の『キーテクノロジー』であり、「ファンケル」しか出来ない、唯一無二の技術であると思っています。

つまり、化粧品開発者の私から見た『マイクレのすごさ』は、クレンジング力ではなく、『圧倒的な洗い上がりの良さ』なのです。

そもそも私が、「マイクレ」を一商品ではなく、一研究対象として扱っていた理由は、優れたクレンジング力ではなく、『洗い上がりの良さ』に感動したからです。

これまでのオイルクレンジングは、クレンジング力はすごくても、洗い上がりが悪くて、クレンジング後は、オイル特有の『ヌメヌメ感』が肌に残っていました。

「クレンジング力がすごいから、洗い上がりは我慢しよう」、というのが従来のオイルクレンジングだったのに対し、「マイクレ」は「これオイルクレンジング?」と思わせるような抜群の洗い上がりでした。

勿論、洗い上がりが良いと言っても、オイルクレンジングですから、ファンケルは『W洗顔』を推奨していますし、私も、「マイクレ」使用後の洗顔は必要だと思っています。

しかし、「マイクレ」の洗い上がりの良さは、世のオイルクレンジングとは比較にならない程で、どうしたらこの洗い上がりを実現できるのだろう、と考えました。

私はファンケルの研究員ではないので、あくまで推測になりますが、「マイクレ」に配合されている、「ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20」・「オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20」が、洗い上がりの良さの『キー成分』だと考えています。

そもそもオイルクレンジングで、洗い上がりを向上させるには、クレンジング後、肌上のメイク汚れを含むオイルクレンジング剤を、『すすぎの水で乳化させる』必要があります。

そのためには、界面活性剤、特に、『親水性の界面活性剤』が必須です。「マイクレ」の『キー成分』と思われる「ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20」・「オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20」は、『ポリグリセリン系(ポリグリ系)』と言われる、『親水性の界面活性剤』です。

代表的な親水性の界面活性剤には、「ポリグリ系」の他に「POE系」というモノがありますが、「POE系」は『石油由来』であるのに対し、「ポリグリ系」は『植物由来』ですから、自然派化粧品にもよく配合されるのが「ポリグリ系」の界面活性剤です。

「ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20」・「オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20」の『-20』というのは、グリセリンが20個結合しているという意味ですが、実は、グリセリンを20個結合させるのは、非常に難しいんです。

「ポリグリ系」の場合、結合させるグリセリンの数が多いほど、『親水性が強い界面活性剤』になります。

オイルクレンジングの洗い上がりの良さ、つまり、「すすぎの水での乳化」を考えた場合、親水性が高ければ高い方が理想ですが、一つ大きな問題があります。

「ポリグリ系」の場合、結合させるグリセリンの数が多くなると、グリセリン鎖がまるまってしまい、次のグリセリンを結合させるのが困難になります

私の知る限りでは、グリセリン数10からその傾向が強くなり、20ものグリセリンを結合させるには、かなり高度な技術が必要です。

この、『ポリグリ系界面活性剤(グリセリン20量体)』の開発により、これまでの常識を覆す、「オイルクレンジングなのに抜群の洗い上がり」を実現したのが「マイクレ」であり、だからこそ、「マイクレ」のキーテクノロジーは『洗い上がりの良さ』、キー成分は『ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20』『オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20』だと私は考えています。

ただし、実際はファンケルの研究員しか知らないことで、全く的外れなことを語っているかもしれませんが、この2原料は、ファンケル(アテニア含む)以外の製品で配合されているのを見たことがありません。

しかも私は、「マイクレ」を研究する際、この2原料に着目し、「ポリグリ系」で有名な原料メーカーとディスカッションをした経験があります。その席で、グリセリン20量体の界面活性剤の存在を確認したところ、「持ってはいるが出せない」との回答を得ました。

これはつまり、ファンケルの『留め型原料』だと考えることが出来ます。化粧品業界では、「留め型原料」とはよくあることで、ある特定の化粧品メーカーと原料メーカー共同開発したなどして、その化粧品メーカーだけにしか供給出来ない原料のことを指します。いわば、化粧品メーカーの『オリジナル原料』ということです。

「ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20」と「オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20」が、ファンケルの留め型原料か、それともファンケルが独自で開発した成分かは定かではありませんが、「ポリグリ系といえばここ」と言われるくらい有名な原料メーカーからの回答でしたから、全く的外れな考えではないと思っています。

いずれにしても、「マイクレ」はオイルクレンジングの名品中の名品であり、グリセリン20量体という『ポリグリ系界面活性剤』と、これによって実現した『抜群の洗い上がり』が、化粧品開発者の私から見た『マイクレのすごさ』です。

 

4.おわりに

いかがでしょうか?

テレビCMから見る、実際の「マイクレ」の販売戦略は、『圧倒的なクレンジング力』ですが、化粧品開発者の私が見る「マイクレ」のすごさは、『抜群の洗い上がり』です。

ファンケルのグループ会社である『アテニア』の大ヒット商品、『アテニア スキンクリア クレンズオイル』にも、この「ポリグリ系界面活性剤」が配合されています。

「マイクレ」の技術を水平展開したみたいですね。

『アテニア スキンクリア クレンズオイル』はさらに進化し、『W洗顔不要』です。これはつまり、「ポリグリ系界面活性剤」の配合量・配合バランスを再検討し、「マイクレ」以上の、洗い上がりの良さを実現したようですね。

これにより、『アテニア スキンクリア クレンズオイル』は、今では「マイクレ」を凌ぐ人気を誇っており、このたび発表された、@cosmeベストコスメアワード2017のクレンジング部門で『2年連続の第一位』に選出されました。

オイルクレンジングでクレンジング力がすごいのは当たり前。「クレンジング力」と「洗い上がり」という、オイルクレンジングの『二律背反』に挑戦し、オイルクレンジングでありながら、W洗顔不要という『圧倒的な洗い上がり』を実現した「ファンケル(マイクレ)」はやっぱりすごいです。

▼ オイルクレンジングの名品 『ファンケル マイルドクレンジングオイル』

マイルドクレンジングオイル

▼ @cosmeベストコスメアワード クレンジング部門 2年連続の第一位!

www.cosmedein.com

 

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません