※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

コスメの真実 化粧品全般

オーガニックコスメの真実 ジョンマスが全商品の4割を自主回収!

この記事を書いている人

コスメデイン

  • 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
  • 今も現役の化粧品開発者
  • 美容雑誌の監修経験あり
  • 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!

美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)

【2023年】乾燥肌向け保湿フェイスパウダーのおすすめ8選。プチプラ、ツヤ肌タイプなどLDKが比較

 乾かないメイクは下地を要チェック! 成分&テクスチャーのポイントは? LDKが紹介

 ジュワッと発光肌! 乾燥季節こそハイライト使いがおすすめです。LDKが紹介

  「肌が弱い=洗顔は弱酸性」は思い込み? 敏感肌のスキンケアポイントをLDKが紹介

  「インフルエンサーの真似しよ」はNG?ベースメイクの秘訣をLDKがおすすめ

  顔だけ真っ白!ファンデ失敗の回避方法をLDKがおすすめ

  実はメイク落とせてない!?クレンジングの間違いない選び方をLDKがおすすめ

  【日焼け止め】美容成分入りの思わぬ落とし穴とは?買う前に知るべき注意点(LDKおすすめ)

 

2017年10月3日、有機栽培の植物を使った米国発祥の化粧品ブランド『ジョンマスターオーガニック(ジョンマス)』が、国内で販売している全商品の4割にあたる『38商品 約121万個』を、自主回収していることが判明しました。

『植物由来100%』を特長にしていましたが、なんと、実際には『シリコーンなどの化合物』が配合されていました。

ひどすぎます。

でもこれは、氷山の一角でしょう。今回のケース程とはいかなくとも、実際の配合成分と全成分表示が違っていたり、実際の配合成分と照らし合わせた際、宣伝内容が怪しいコスメは、残念ながら、市場にたくさんあります。

特に、『ナチュラル・オーガニック系コスメ』には、このようなことが多く、ナチュラル・オーガニックに対する、ユーザー側とメーカー側との『解釈の違い』が原因の一つだと考えられます。

そこで今回は、『オーガニックコスメの真実』と題しまして、ジョンマスターオーガニックの事例とともに、コスメにおける、ナチュラル・オーガニック・天然の『解釈』についてご説明いたします。

 

スポンサーリンク

ジョンマスターオーガニックの事例

「ジョンマスターオーガニック」は、米国発の『オーガニックコスメ』です。1991年に誕生し、2007年に日本に上陸しています。

その頃、日本のコスメ市場は、『オーガニックブームの始まり』ですから、本格的に始まったブームにも乗り、さらに、『ノンシリコーンブーム』も重なり、「ジョンマスターオーガニック」は躍進を遂げます。

現在の「ジョンマスターオーガニック」は、ノンシリコーンシャンプー、コンディショナーの草分け的存在として、ユーザー支持を集め、人気の高いブランドです。

詳細は別の記事で書こうと思いますが、私自身、ノンシリコーンに対しては否定的です。シリコーンはコスメにとって必要な成分であり、コスメの使用感を劇的に向上させてくれる唯一無二の成分だと考えています。

しかし、ノンシリコーンの考え方にも一定の理解を持っていますし、「ジョンマスターオーガニック」は、コンセプト・デザインが好きでしたから、日本上陸当時から注目していました。

その「ジョンマスターオーガニック」が、今回、『成分表示の不備』として、全商品の4割にあたる『38商品 約121万個』の自主回収を発表したのです。

「天然由来100%」と宣伝しておきながら、合成成分である『シリコーン』を配合していたり、人気の「イブニングPシャンプー」では、「ラベンダーエキス」や「セイヨウシロヤナギ樹皮エキス」が配合されていると書かれているのに、実際には『無配合』であったり。

販売元のジョンマスターオーガニックグループでは、「本件に起因する健康被害の報告はない」、「天然由来100%をうたってきたのに、申し訳ない」とコメントしており、自主回収の対象商品(2016年9月8日~2017年9月21日に製造)は、全て米国の工場で製造されたもので、原因は調査中とのこと。

コメントを見る限り、「ジョンマスターオーガニック」は、事の大きさを理解していません

次項では、この問題をもっと掘り下げてみようと思います。

許されない行為

「ジョンマスターオーガニック」の今回の件は、決して許されるべきものではありません。通常の自主回収騒動ではなく、何かしらの行政的な処罰を受けるべき、『重大な過失』です。

今回の件は、全成分表示と、実際の配合成分が違った、『成分表示の不備』と、「ジョンマスターオーガニック側」は訴えているようですが、はたして本当にそうか?

本質は、もっと根深く、悪質な可能性があります。

正直、実際の配合成分と全成分表示が違っているコスメは世の中に多く存在しています。それが故意であれば論外ですが、故意ではなくメーカー側が気づいていないケースが多いと思います。

製剤化や全成分表示の担当者が、うっかりミスしてしまい、故意でないにしろ、間違った全成分表示のコスメが市場に流通するケース(成分表示の不備)はあり得ますし、実際私も、このような事例を数多く知っています。

これは明らかな『ヒューマンエラー』です。このような、人によるミスを失くすために、化粧品メーカーでは、システムを導入したり、2重、3重のチェック体制を設けたりしています。

ですから、成分表示の不備は、あってはならないことですが、ある意味『仕方のない事』であり、しっかり自主回収し、購入したお客様に対し誠実な姿勢で対応すれば、許されると私は考えています。

しかし、今回の「ジョンマスターオーガニック」の件は、「仕方のない」の一言では片づけられない、許されない、重大な過失です。

何故なら、「ジョンマスターオーガニック」は、『オーガニックコスメブランド』です。「天然由来100%」を最大の武器に事業を展開し、ここまで大きくなったブランドです。「天然由来100%」は、いわば、「ジョンマスターオーガニック」の『企業理念』であり、『ブランドコンセプト』です。

「天然由来100%」と宣伝しておきながら、「シリコーン」などの『合成成分』を配合しますか?

「天然由来100%」は『企業理念』であり、『ブランドコンセプト』なのに、間違って「シリコーン」などの『合成成分』を配合しますか?

『故意』と思われても仕方ありません。

「ノンシリコーン(シリコーンフリー)」のシャンプーやコンディショナーは、その考え方には、良し悪しがありますが、『使用感』に関して言えば『悪い』です。

ノンシリコーンシャンプーは、『使用感が悪い』

逆に言うと、圧倒的に『使用感が良い』から、シャンプーやコンディショナーに、シリコーンが配合されるんです。

ですから、ノンシリコーンのメーカーは、シリコーンを除きながら、いかに使用感を向上させるか?を必死に考え、研究開発しています。

「ジョンマスターオーガニック」のように、「天然由来100%(ノンシリコーン)」と言いながら、実際にシリコーンを配合すれば、「これ本当にノンシリコーン?」と、びっくりするくらい使用感に優れたものが出来るでしょう。

製剤担当者、もしくは、組織全体で、使用感に優れた商品を出したいがために、『故意にシリコーンを配合した』と思われても仕方ありません。

今回のケースを『確信犯』と思っている業界関係者は多いはずです。

何度も言いますが、ノンシリコーンの草分け的存在で、天然由来100%が企業理念であり、ブランドコンセプトなのに、シリコーンを配合するなんてミス、あり得ると思いますか?

ブランドの根幹に関わることですから、故意でない限り、間違えないと思います。

「オイルフリーのオルビスに、オイルを配合する」、「無添加のファンケルにパラベンを配合する」、と同じレベルです。オルビスやファンケルに限って、このようなことをするなんて絶対に考えられません

しかも、公式ホームページでの、「お客様への重要なお知らせ」と題した記事には、以下のように記されていました。

「表示に不備があった成分は、いずれも厚生労働省が定める化粧品基準を満たす成分であり、化粧品への配合が認められた、一般的なヘアケア及びスキンケア製品にも使用されている成分になります。また、これまでに本件に起因する健康被害の発生報告はございません

※ジョンマスターオーガニック公式HPより抜粋

厚生労働省が定める化粧品基準を満たす成分=安全である、と言いたいのでしょうが、化粧品が安全なことは当たり前。健康被害の発生報告がないのも当たり前。完全に問題をすり替えていますね。自社の理念、ブランドコンセプトの根幹を揺るがす、事の重要性を全く理解していません。

特に、オーガニック系のコスメユーザーは、『成分へのこだわり』が強い。ジョンマスターオーガニックの成分へのこだわりを信じ、使い続けてきたユーザーも多いはずです。これは、ユーザーに対する裏切り行為以外の何ものでもありません。

自社の損害をいかに小さくするかしか考えていない。以前から知っているブランドだけに、残念な気持ちと、強い憤りを感じます。

ユーザーに対し、誠実な対応をするとともに、確実に原因を突き止め、包み隠さず世間に公表し、今後2度と、このようなことがないよう改善して頂きたいと思います。

そもそも何故、このようなことが起きる?

ナチュラル系、オーガニック系コスメには、配合成分と宣伝内容に違和感を覚えるケースがたくさんあります。

「ナチュラル系コスメ」と言いながら、ナチュラル系原料はわずか数%で、大部分が合成原料といったコスメはたくさん存在します。

ナチュラル系コスメなのに、ナチュラル系原料は数%で、しかも合成原料を使っているなんて、おかしいと思いませんか?

そう、おかしい、矛盾してるんです。でも、この矛盾が通ってしまうのが今のコスメです。

このような矛盾が生じる一番の原因は、ナチュラル・オーガニックには、統一基準がなく、あくまで化粧品メーカーの自主基準だからです。

統一基準があるのは、『認定系コスメ』だけ。世のナチュラル・オーガニックコスメには、統一基準がなく、メーカーの決めたもん勝ち(『自主基準』)です。

「合成原料を使っていても、ナチュラル系原料をわずかでも配合していれば、ナチュラル系コスメである」、とメーカーが自分たちの都合のいいように決めてしまえばいい。実際、このようなナチュラル系コスメは世にたくさん存在します。

また、表現の問題もあります。

「天然(植物)100%」と「天然(植物)由来100%」では全く違います。

「ジョンマスターオーガニック」の今回の記事、ネットニュースを見ると、「天然由来100%」と「天然100%」が混在しています。

ニュースを配信する側も理解していないわけです。

「ジョンマスターオーガニック」の場合、『天然由来100%』であって、『天然100%』ではありません。この『由来』という表現が重要です。

一例を挙げます。『グリセリン脂肪酸エステル系』という界面活性剤があります。全成分は「〇〇酸ポリグリセリル△△」で、ナチュラル系を含む、コスメ全般によく配合されます。

この界面活性剤は、『天然由来(植物由来)』であって、『天然(植物)』ではありません。

「グリセリン脂肪酸エステル」の場合、「グリセリン」と「脂肪酸」に分けられます。「グリセリン」、「脂肪酸」とも、『天然由来(植物由来)』です。

しかし、グリセリン脂肪酸エステルにするには、グリセリンと脂肪酸を『エステル化』させなければなりません。「エステル化」は、『合成』です。

ですから、「グリセリン脂肪酸エステル」の場合、『由来は天然(植物)』です。しかし、「エステル化」という『合成過程』が必須なため、『天然(植物)原料』ではありません。

このように、原料のもとをたどれば「天然(植物)」ですが、作る過程で合成している、『(天然由来・植物由来)原料』はたくさんあります。

「天然100%」の場合、『合成過程が不可』ですから、まさに、森や海といった自然界からとってきた原料を、そのまま配合しているようなものなので、ハードルが高く、なかなかお目にかかれません。

一方で、合成過程が必要な「グリセリン脂肪酸エステル」を、『天然由来と考えない』ユーザーも多いはずです。当然ですよね。合成は人為的な行為ですから、ユーザーの立場からしたら、「合成=天然由来」とは考えにくい。

これが、ナチュラル・オーガニックコスメの問題点です。ナチュラル・オーガニックに対する考え方が、メーカー側とユーザー側で異なる。『解釈』が双方で違うんですね。

ですから、統一基準がないナチュラル・オーガニックコスメには、「何をもってナチュラル・オーガニックと定めているのか」という、『化粧品メーカーの考え』をユーザーに伝える必要があります。

その考えに共感を持ったユーザーが使いますから、解釈の違いによって生じる様々なトラブルを避けることが出来ます。

世のナチュラル・オーガニックコスメメーカーには、自社のナチュラル・オーガニック基準を、もっと確実に、ユーザーに伝えて頂きたいです。

おわりに

いかがでしょうか?

今回の「ジョンマスターオーガニック」のしたことは、ジョンマスターオーガニックや市場が考えている以上に、大きな過失だと私は考えています。

企業理念、ブランドコンセプトの根幹に関わる事ですから、間違えるとは考えられないですし、「間違えました, 市場回収します」で済む話ではありません。

ナチュラル・オーガニックコスメは、統一基準が無いため、怪しいものが多すぎます。その中で、いかに正しいナチュラル・オーガニックコスメを選ぶかが重要です。

現在は、日本を中心に、『ナチュラル・オーガニックコスメの統一基準』が設けられました。

詳細は以下記事をご覧ください。

あわせて読みたいナチュラルコスメの新基準「指数表示」:化粧品開発者が徹底解説

ナチュラルコスメとオーガニックコスメの市場は成長を続けていますが、その基準の曖昧さが最大の課題です。 この記事では、現役の化粧品開発者の視点から、ナチュラル・オーガニックコスメの新しい国際基準について ...

 

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません

スポンサーリンク

-コスメの真実, 化粧品全般