コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

アクセスありがとうございます。cosmedeinと申します。数十年、大手化粧品会社で化粧品の開発を行ってきました。その経験を活かし、化粧品をお使いのすべての人々に、『化粧品の真実』をお伝えしたいと思います。普段のお化粧に、是非参考になって頂ければと思います!

【話題の注目成分】 (PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと配合コスメ

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化粧品メーカーは、ユーザーの「美しく健やかな肌を手に入れたい!」という願望を叶えるために、研究開発を続け、『革新的な技術』で新しいコスメを開発してきました。

コスメの進化は目覚ましい。

しかし、昨今のコスメの進化は、化粧品メーカーの力だけではありません。新しいコスメを可能にする『原料(成分)』を提供する、『原料メーカー』の存在なくして、昨今のコスメの進化はあり得ません。

そこで、このカテゴリーでは、『話題の注目成分』と題し、私がこれまで、実際に扱ってきた数多くの成分(原料)の中で、「これはすごい!」、「この成分があるからこそこの剤型がある!」という、『コスメの進化に貢献した成分(原料)』をご紹介します。

第一弾は、これまでにない感触を実現した、『(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー』です。

 

1.(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーとは?

赤いジェリー・アスタリフト・フラワーミセル

(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーは、『増粘剤』です。

▼ 増粘剤については以下記事をご覧ください

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『増粘剤』はコスメにとって必須成分です。増粘剤がなければ、安定な『乳液』も、今流行りの『オールインワンジェル』も出来ません。

コスメに一番用いられる増粘剤は、『カルボマー(カルボキシビニルポリマー)』です。カルボマーは『水系』の増粘剤で、乳液やクリーム、オールインワンジェルなどに配合されます。

『(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー』も、カルボマーと同様、『水系の増粘剤』ですが、その特性は全く異なります。

「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」の一番の特徴は、『形状記憶性』です。『復元力』とも言います。この増粘剤を配合したクリームやジェルは、形が崩れても、元に戻ります

通常のジェル(クリーム)に指を突っ込むと、『穴』が開きますよね?この穴は元に戻りません。当然ですね。

しかし、「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」配合のジェル(クリーム)に指を突っ込むと、当然、『穴』が開きますが、暫くすると、この『穴』が塞がり、指を突っ込む前の状態に戻ります

これが『形状記憶性』『復元力』

これにより、これまでの「カルボマー」では到底実現できなかった、『新感触』のジェル(クリーム)が可能になりました。

私も、初めて穴が塞がる様子を見た時はびっくりし、感動しました。

この成分、「ADEKA」というメーカーから、『アデカノール GT-700 / 730』という原料名で販売されています。

ですから、どの化粧品メーカーでも使うことが出来ます。

この成分が、広くユーザーに認知されたのが、富士フィルムの『アスタリフト』ではないでしょうか。

通称、『赤いジェリー』と言われる、『ジェリー アクアリスタ』に配合されている成分こそ、「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」であり、これが無ければ、「赤いジェリー」は誕生していません。

富士フィルムのアスタリフトで、一躍脚光を浴びた「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」ですが、もっと前から存在しています。

実は、この成分は、『資生堂』が開発した増粘剤で、『フラワーミセル』と言われています。資生堂は、粘性があるが、はけで壁に塗る時には滑らかに伸び、塗布後は素早く粘性が回復する『水性塗料』をヒントにこの成分を開発しました。

詳細な増粘機構は割愛しますが、これまでにない、新しい増粘機構(フラワーミセル)のため、資生堂は、この成果を『第 23 回 IFSCC(2004年 オーランド大会)』で発表しています。

▼ 化粧品会社のオリンピック、IFSCCについては以下記事をご覧ください

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さすが資生堂ですね。化粧品だけでなく、成分(原料)を開発する技術も素晴らしい。

「カルボマー」は、『中和』して使う増粘剤です。中和タイプゆえ、『電解質存在下』では増粘効果を全く発揮しません。

一方、「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」は、『形状記憶性(復元力)』という、全く新しい特徴を持ちながら、中和タイプではないので、電解質存在下でも増粘させ、形状記憶性を持たせることが可能です

ジェル、クリーム剤型の感触に革命をもたらした成分、それが『(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー』です。

 

2.おすすめコスメ

「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」配合コスメと言えば、やはりアスタリフトの『ジェリー アクアリスタ』です。

富士フィルムが開発した成分ではありませんが、『赤いジェリー』のインパクトは絶大で、松田聖子さんを起用したCMなどの『宣伝戦略』も相まって、「形状記憶=アスタリフト」というイメージを作り上げました。

アスタリフト発売後、資生堂を除く各化粧品メーカーが、相次いでこの成分を配合した『形状記憶ジェル』を発売したことからも、富士フィルムの戦略は見事です。

▼ ジェリー アクアリスタ


もう一つが、やはり『資生堂』です。

この成分、私も製剤化した経験がありますが、ある種の成分存在下(界面活性剤など)では、形状記憶性が低下してしまい、期待される復元力を発揮しません。

『驚きの復元力』のためには、一部、配合成分に制約があります。資生堂は自分達で開発した成分ですから、当然、特徴を一番に把握していて、それを製剤化に反映させています。

「赤いジェリー」で有名な富士フィルム(アスタリフト)ですが、「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」の製剤化で、資生堂に『一日の長』があるのは明らかです。

資生堂であれば『プリオール』ですね。

 



是非、「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」の、驚きの『形状記憶性』『復元力』をお楽しみください。

 

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