コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

アクセスありがとうございます。cosmedeinと申します。数十年、大手化粧品会社で化粧品の開発を行ってきました。その経験を活かし、化粧品をお使いのすべての人々に、『化粧品の真実』をお伝えしたいと思います。普段のお化粧に、是非参考になって頂ければと思います!

話題の成分、「高浸透ビタミンC(APPS)」の効果は本物か? APPS配合コスメに隠された真実とは?

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今、かなり話題で、個人的にも気になっている成分があります。

それが、高浸透ビタミンC誘導体、『APPS』です。

この成分は、以前からコスメに配合されていましたが、あの『ドクターシーラボ』が、「APPS」を高濃度配合した『VC100シリーズ』に新アイテムを投入し、テレビCMを盛んに放映しています。さらに、VC100シリーズのお試しセットの内容がすごいので、ここにきて露出が増えてきました。

そこで今回は、高浸透ビタミンC誘導体、「APPS」の効果は本物か?、さらに、発売元のメーカーが明らかにしない、APPS配合コスメに隠された真実について、ご説明いたします。

1.高浸透ビタミンC誘導体、『APPS』とは?

VC100・高浸透ビタミン・シーラボ

高浸透ビタミンC誘導体「APPS」の正体は、『パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na』で、「APPS」は、この化合物の英語表記、Trisodium Ascorbyl Palmitate Phosphateからきています。

つまり、「アスコルビン酸2グルコシド」や「テトラヘキシルデカン酸アスコルビル」などと同様、『ビタミンC誘導体』の一つです。

さらに、後ほど述べますが、これまでのビタミンC誘導体に比べ、肌への『浸透性』が非常に高いことから、『高浸透ビタミンC誘導体』と言われています。

某有名化粧品メーカーの、「APPS」配合コスメの宣伝を見ると、「高浸透ビタミンC」と記載されているため、私も今回の記事の題名で、「高浸透ビタミンC」という表現を使いましたが、正確には『誘導体』ですね。

「APPS」の一番の特徴、それは『浸透性』です。

なんと、「アスコルビルグルコシド(アスコルビン酸2グルコシド)」の『100倍の浸透力』があります。だからこそ、ドクターシーラボのAPPS配合コスメシリーズは『VC100シリーズ』と言うようですね。

『100倍の浸透力』ってすごすぎませんか?

ビタミンC誘導体には、『水溶性』『油溶性(脂溶性)』の2種が存在します。

一般的に、水溶性ビタミンC誘導体は、効果はあるが浸透性が悪く、油溶性ビタミンC誘導体は、水溶性程の効果は無いが、浸透性が高いと言われています。

この「APPS」は、水溶性と油溶性、両方の性質を持ち、水溶性の『効果』と、油溶性の『浸透力』を兼ね備えた、『進化型ビタミンC誘導体』とも言えるでしょう。

「APPS」は10年位前に市場に誕生しました。私もデータを見ましたが、すごいです。

水溶性ビタミンC誘導体の代表格、「アスコルビン酸2グルコシド(AA2G)」と比較して、「APPS」を使用した場合、表皮内のビタミンC量は、本当に『100倍以上』です。さらに、真皮内のビタミンC量も、比較にならない程、圧倒的に「APPS」が上回っており、浸透力の高さは本物です。

APPS配合コスメには、必ずと言っていいほど、『高浸透』『100倍』という表現が並んでいますが、「宣伝に100倍と、具体的な数字を出していいのか?」と
、疑問に思う方もいるのではないでしょうか?

正直、私は賛成しませんが、従来のビタミンC誘導体(AA2G)と比較して、「APPS」の浸透力は100倍以上であることは『事実』ですから、宣伝に『100倍』という表現を使っても問題ありません。

では次に、今話題の『APPS配合コスメ』をご紹介します。

 

2.APPS配合コスメ

2-1.㈱ナリス コスメティックフロンティア : サイクルプラス

エイジングケア

最近はあまり見ない、『2剤混合タイプ』の化粧水です。使う時にユーザーが混ぜるため、『用事調整』とも言われています。

2剤混合タイプのメリットは、成分を『新鮮な状態』で、肌に取り入れることが出来る点です。

不安定と言われる成分は、水に溶けることでさらに不安定になりやすく、場合によっては『分解』してしまい、ユーザーが使う時には、分解して量が減っている、ということは起こり得ます。

ですから、『不安定な成分』をコスメに配合したい時に、『2剤混合タイプ』は有効です。

さらに、成分を『高配合出来る』点もメリットですね。ある成分を高配合したくても、時間とともに(経時で)、色や匂いなどの変質が起きるため高配合できない、ということはよくあります。

2剤混合タイプの場合、使う時に混ぜますから、経時での色や匂いの変化を気にする必要がありません。ですから、成分の変質を気にすることなく、高配合可能です。

2剤混合タイプは、ユーザーが『混ぜる』という行為が発生するため、やや面倒ではありますが、『不安定な成分を高配合出来る』という、それ以上のメリットを得ることが出来ます。

ただし、「APPS」はそれほど不安定な成分ではありません。安定性も優秀です。ですから、『APPS高配合』が、この『サイクルプラス』の一番の特徴でしょう。

▼ 高浸透ビタミンC誘導体「APPS」配合、2剤混合コスメ

サイクルプラス

 

2-2.ドクターシーラボ : VC100シリーズ

「APPS」と言えば、ドクターシーラボの『VC100シリーズ』です。現在、CMも放映中ですし、お試しセットの内容が豪華すぎるので、かなりの注目を集めています。

お試しセットの内容ですが、

・VC100ホットピールクレンジングゲル(メイク落とし・洗顔) 3回分

・VC100エッセンスローション(化粧水) 8mL

・VC100エンリッチセラム(美容液) 1回分

・VC100ゲル(保湿ゲル) 10g

・100倍浸透ビタミンポーチ(非売品)

・総額6000円分のクーポン券

これだけの内容で、『0円』。しかも『送料無料』です(1回限り)。

『VC100シリーズ』に対する自信が、おもいっきり伝わってくる内容です。

興味のある方は、一度、お試しセットを利用してみてはいかがでしょうか?

 

3.APPS配合コスメに隠された真実とは?

VC100・高浸透ビタミン・シーラボ

さて、今回の記事の本題です。

「APPS」の浸透力は『本物』です。従来のビタミンC誘導体(AA2G)の『100倍以上』の浸透性を有します。これだけの浸透力ですから、『APPS配合コスメ』が話題になるのも、ドクターシーラボが宣伝に力を入れるのも、納得できます。

しかし、「APPS配合コスメ」には、発売元メーカーが明かさない、『2つの隠された真実』があります。それをご説明します。

 

3-1.100倍の浸透力は『原料』の浸透性!

「APPS」の『100倍の浸透力』(従来のビタミンC誘導体AA2Gとの比較)は、『事実』であり、『本物』です。

しかし、それは『原料(APPS)単体』での話であって、『APPS配合コスメ』のことではありません。

まずは、この真実を知っておく必要があります。

2剤混合タイプや、通常の化粧水であれば、処方が単純なため、APPS単体に近い浸透性を示すかもしれませんが、様々な成分が配合されている『美容液』『ジェル(クリーム)』で、「APPS単体」と同レベルの浸透性を示すのかは疑問です。

ただし、これは「APPS」だけに言えることではありません。

コスメ全てに言えることで、例えば、浸透力をアップさせるために、『低分子ヒアルロン酸』『低分子コラーゲン』『カプセル化(リポソーム化)』などの手法を取りますが、これらも、それ単体では浸透力アップは期待できますが、果たして、製剤化した時に同等の浸透性を示すかは不明です。

製剤化した際の、成分の浸透性データを取得することは非常に難しいので、『成分単体の浸透性=製剤での浸透性』と考えがちなのが、現在のコスメです。

これがコスメの『本質』でもあるので、否定はしません。しかし「APPS」の場合、『100倍』と、具体的な数字を出して浸透力の高さを全面にアピールしていますから、選ぶ側のユーザーも、これは「APPS単体での浸透性であって、製剤化した際のAPPSの浸透性ではない」という真実をしっかり理解したうえで、納得して「APPS配合コスメ」を選んで頂きたいと思います。

 

3-2.APPSは『美白の有効成分』ではありません!!

「APPS」はビタミンC誘導体ですから、『美白効果』は期待できます。

しかし、「アスコルビン酸2グルコシド(AA2G)」と違い、「APPS」は『美白の有効成分ではない』という真実を知っておく必要があります。

「AA2G」の場合、これを『美白の有効成分』とした医薬部外品が存在しますが、今回ご紹介したAPPS配合コスメ、「サイクルプラス(ナリス)」や「VC100シリーズ(シーラボ)」は、いずれも『化粧品』です。美白の医薬部外品ではありません。

「APPS」は従来のビタミンC誘導体である「AA2G」と比較して、原料単体で『100倍以上の浸透力』があるのは事実です。

しかし、「AA2G」は『美白の有効成分』です。それはすなわち、国が「AA2G」の『美白効果』を認めたということであり、「AA2G」を有効成分とした医薬部外品は、「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」とか、「美白」と言った表現を、堂々と商品周りで宣伝することが出来ます。

「APPS配合コスメ」は、『化粧品』ですから、「美白」とか「シミ・そばかすを防ぐ」といった表現は一切出来ません

「APPS」はビタミンC誘導体ではありますが、美白の有効成分ではないため、『保湿成分』『整肌成分』としか表現出来ないのです。

ドクターシーラボの『VC100シリーズ』や、ナリスの『サイクルプラス』の、商品・ホームページ・広告媒体をご覧になってください。

『化粧品』ですから、「美白」、「シミ・そばかすを防ぐ」といった表現は一切ありません。「高浸透ビタミンC誘導体配合」という『事実』を記載し、『ビタミンC=美白』という『世のイメージ』を利用して、美白効果があるコスメ風に表現しています。

これは一種の『宣伝戦略』ですから、ダメとは言いませんが、ちょっとやりすぎのような気がします。特にドクターシーラボは、ドクターズコスメですし、日本を代表するブランドの一つなので、このようなあからさまな宣伝戦略に、私は少し残念な気持ちを抱いています。

ドクターシーラボクラスのメーカーであれば、『正攻法』で勝負出来ますし、勝負出来るだけの十分すぎる『技術』を有していますから。

従来のビタミンC誘導体である「アスコルビン酸2グルコシド(AA2G)」に比べ、「APPS」の浸透力は圧倒的に高いですが、「AA2G」に比べ「APPS」の方が優れた成分というわけではありません

「AA2G」は「APPS」に比べ、原料単体での浸透力は劣るものの、「AA2G」は国が効果を認めた『美白の有効成分』であることを忘れてはいけません。決して、浸透性の大小で、成分の良し悪しを判断すべきではありません。

 

4.おわりに

いかがでしょうか?

「高浸透ビタミンC誘導体(APPS)」は、数あるビタミンC誘導体の中でも、『圧倒的な浸透力』でしょう。「アスコルビン酸2グルコシド(AA2G)」と比較しても、『100倍以上』ですから驚きです。

ただし、この浸透性は『原料単体』であること。そして、「APPS」は『美白の有効成分ではない』こと。この2つの真実を知っておく必要があります。

「APPS」の高い浸透性は事実ですが、製剤化した際、同様の浸透性が得られるわけではありません。また、「APPS配合コスメ」は、『化粧品』ですから、効果効能表現にかなりの制約があります。「美白」、「シミ・そばかすを防ぐ」といった表現は一切出来ません。

宣伝戦略の一つではありますが、「APPS配合コスメ」の、あたかも、従来のビタミンC誘導体配合コスメと比べて100倍の浸透力があるかのような、そして、美白効果があるかのような、宣伝方法は少し行き過ぎです。

※ 浸透性は、製剤としてではなく、原料単体

※ 化粧品のため、美白という言葉は使えませんし、美白効果があるとも言えません


皆様には、『原料単体の浸透性』であること、『美白の有効成分ではなく、化粧品』であること、この2つの真実を知ったうえで、「APPS配合コスメ」を選び、ご使用ください。

▼ 「アスコルビン酸2グルコシド(AA2G)」を美白の有効成分とした医薬部外品

アスタリフトホワイト