コスメの真実 ~元化粧品開発者によるブログ~

アクセスありがとうございます。cosmedeinと申します。十数年、大手化粧品会社で化粧品の開発を行ってきました。その経験を活かし、化粧品をお使いのすべての人々に、『化粧品の真実』をお伝えしたいと思います。普段のお化粧に、是非参考になって頂ければと思います!

化粧品と特許の真実 【特許はこわいです】

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『特許』という単語は聞いたことがあると思います。

メーカーで働いている方にとっては、非常に馴染みがありますよね。

テレビでは『特許の権利』をめぐって、元研究員が、勤めていたメーカーを訴えて裁判をしていましたね。その額に驚いたものです。

特許は、電機メーカーや自動車メーカー、繊維メーカーなど、全てのメーカーにとって、『財産』ともいえる非常に重要なものです。

『知的財産』とも言いますね。

化粧品も例外ではありません。
化粧品を製剤化して商品にするために、メーカーは日々、特許と格闘しています。

今回は、『化粧品と特許の真実』と題し、真実というより、化粧品と特許の裏側について説明いたします。

 

1.特許とは

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新しい技術を開発して、それを商品へ展開します。
でもせっかくの新技術なのに、真似されたら嫌ですよね。

『特許』とは、パテントとも言いますが、新しい技術(進歩性のある技術)に対して、独占的な権利を与えるものです。

特許を取得していれば、一定期間、その技術を独占することができます。

ただし、特許権の取得のためには、技術の内容(発明の内容)を記載した明細書を提出しなければなりません(『特許出願』)。

技術の詳細が書かれた明細書は、提出の一定期間後に、一般に公開されます。

つまり、技術の内容を公開する代償として、一定期間だけ特許権が与えられるのです。

ですから、新しい技術を開発しても、その技術の内容を絶対に公開したくない、絶対に真似されない確信がある場合には、あえて特許出願しないという選択もあります。

いずれにしても、特許は知的財産とも言われる通り、企業にとっては財産であり、人材の次に重要な要素でしょう。


特許の詳細を説明するのは大変なので、簡単な説明にとどめておきますね。

特許には大きく2種類あります。

『公開特許公報』『特許公報』です。

特許というと、特許公報を指すことが多いですが、双方を含めて考える場合もあります。

『技術に進歩性がある』、と判断した場合、技術の詳細を記した明細書を作成して、『特許出願』します。

特許出願後、一定期間が経過すると、出願内容が一般に公開されます。

これが『公開特許公報』です。

この時点では、まだ権利は確定していません。

特許権を取得したい意志がある場合、『審査』が始まります。

この審査をクリアした後、公開特許公報が『特許公報』になり、特許権の取得が確定となります。

全ての公開特許公報が、特許公報になるわけではなく、当然、審査に落ちるケースもありますから、その場合は、『拒絶査定』といって、一切の権利は認められません。

ちなみに、特許にするための審査や、特許取得後の維持には費用がかかります。

このように、特許公報にして、特許権を取得することは大変ですが、一定期間(特許出願から20年)、技術を独占できるので、企業は特許出願を続けるわけです。

 

2.化粧品における特許

化粧品開発でも特許はつきものです。私も数多くの特許を出願してきました。

化粧品の場合、いわゆる『配合特許』というものが多いんです。

例えば、

・○○という界面活性剤と○○という植物性エキスを配合した化粧料

・○○という油剤と○○という界面活性剤を配合した化粧料

・○○エキスと○○エキスを配合した化粧料

という感じで、配合成分同士の組み合わせ特許が、本当に多いです。
各メーカーから、びっくりするくらいの数が出願されています。

化粧品は、エキスや界面活性剤、油剤など、複数の成分から成り立っているので、この全ての成分の組み合わせ特許を調査しなければなりません。

『特許公報』は必ず確認する必要があります。権利が確定していますから、これに『抵触(権利に触れる、権利を侵害する)』するわけにはいきません。

しかし、『公開特許公報』の扱いはメーカーによって違います。

公開特許公報はまだ権利確定していません。ですから、公開の段階では抵触の恐れがないからです。

しかも、公開特許公報まで含めると、ものすごい数、調査しないといけないことになります。

ちなみに私が働いていた化粧品会社では、公開特許公報も特許公報と同じように扱っていました。

公開特許公報は、まだ権利を得ていませんが、今後、審査を経て権利を得る可能があります。それはつまり、自社の製品が、他社の特許を侵害する可能性があるということで、侵害した後では対応が遅すぎるため、初期段階からそのリスクを回避すためです。

ですから、植物エキスが多いときは本当に大変、泣きそうでした。

植物エキスなどの訴求成分に関する特許は、特に数が多いんです。その全てを、公開特許まで調査していたので、一つの商品を開発する際、500報以上の特許に目を通していました。

よく、テレビCMやネット広告で、『数十種類のエキスを配合』と聞いたりしませんか?

数十種類も配合して、効果がありそう!と皆さんは感じると思いますが、私は、その商品の特許担当者、製剤化担当者の苦労を想像してしまいます。

数十種類ものエキスを配合したら、確認しないといけない特許は1000報を優に超えますから・・・。

 

3.おわりに

いかがでしょうか?
化粧品と特許について、ちょっとで構わないので、分かって頂けたらと思います。

たくさんの訴求成分を配合する裏には、このような苦労があるんです。

私コスメデインは、今は別の業界で働きながら、細々とブログをやらせていただいていますが、「数十種類のエキス配合」と聞くと、本当に全ての特許を調査したのかな?と心配してしまいます。

特許抵触をした場合、かなりの社会的制裁を受けることになります。

特許はかなり強力な武器ですが、時にこわい存在になりますから。


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