世の中にはたくさんの『オールインワンジェル』が存在します。
パーフェクトワン、コラリッチ、メディプラス、シミウス、ビトアス、フィトリフト、DHC、ロート製薬、アクアレーベルなど、誰もが知るブランドのモノから、あまり聞いたことが無いモノまで様々です。
一体、何を基準に、どのオールインワンジェルを選べばいいのでしょうか?
そこで今回は化粧品開発者の私が、オールインワンジェルを選ぶ際のポイントとともに、オールインワンジェルを厳選してご紹介します。
オールインワンジェルは何故人気?
化粧水・乳液・クリーム・下地など、『複数の機能』を1品に集約させた多機能コスメが『オールインワンジェル』です。
今では『1品 10役』というモノまで存在します。
オールインワンジェルがここまで広がり、人気アイテムに成長した背景には、メーカー側とユーザー側の『メリットの一致』が考えられます。
実は、化粧水・乳液・クリームと、複数アイテムを開発し発売することは、化粧品メーカーにとって非常に大変です。
何故なら、複数アイテムの開発にはコストは勿論、多大な労力が必要であり、企画力・研究開発力・製造力・在庫管理力・販売力など、これら全てを兼ね備えた、力のある大手化粧品メーカーでないと難しいのが現状です。
しかし、オールインワンジェルであれば、『1品』で済みますから、これら力がないメーカーであっても開発が可能です。
これはつまり、化粧品業界に参入しやすいという事です。
中小規模のメーカーや、力が劣るメーカー、これから化粧品業界に参入したいメーカーにとって、1品で済む「オールインワンジェル」は、『参入しやすいアイテム』と言えるわけです。
化粧品メーカーのメリット ⇒ 開発しやすい・参入しやすい
続いてユーザーメリットですが、オールインワンジェルであれば、1品で基礎スキンケアが完了しますから、非常に『手軽』ですし、忙しい朝でもすぐにケア出来るため『時短』にもなります。
経済的にも優しく、『抜群のコスパ』も魅力の一つです。
メーカーのメリット ⇒ 手軽・時短・抜群のコスパ
以上のように、『開発しやすい・参入しやすい』という化粧品メーカー側のメリットと、『手軽・時短・コスパ』というユーザー側のメリットが、見事に合致して誕生したアイテムが「オールインワンジェル」であり、これが人気の理由です。
オールインワンジェルを選ぶポイント
メーカー名
先程も述べたように、新たに化粧品業界へ参入するメーカーにとって、参入しやすく開発しやすいオールインワンジェルは、有名から全くの無名まで、『様々なメーカー』から発売されています。
当然、『有名メーカー』のモノを選ぶべきです。
有名メーカーには、無名メーカー(化粧品の新参者)とは違い、コスメに関する『技術的ノウハウ』があります。そして、このノウハウをオールインワンジェル開発に展開していますから、必然的に出来上がったモノの完成度が高くなると考えられるからです。
外観色
オールインワンジェルは外観上、2つのタイプに分けられます。
『透明』or『白濁』です。
透明なモノには油(オイル)が配合されておらず、保湿成分を含む水溶性成分を、カルボマーという増粘剤で固めています(『透明ジェル』)。
一方、白濁のモノには油(オイル)が配合されています。この白濁は『乳化』によるもので、少量~多量の油を、アルキル変性カルボマーなどで乳化し固めています(『白濁ジェル』)。
オールインワンジェルは、1品で化粧水、乳液、美容液、クリームなど複数の役割を果たします。
しかし、『クリーム機能の欠如』がオールインワンジェルの弱点となる事があります。
何故なら、クリーム機能を果たすためには、油(オイル)によるエモリエント効果(閉塞効果)が必須です。
にもかかわらず、今のオールインワンジェルは油を配合しない『透明ジェルタイプ』が多く、これでは、エモリエント効果が十分ではありません。
ですから、特に乾燥が気になって、クリームが手放せない方は、クリーム機能を補うためにも、外観上、白濁している、油が配合されている『白濁ジェルタイプ』がおすすめです。
化粧品 or 医薬部外品
オールインワンジェルにも『化粧品』と『医薬部外品』があります。
1品でスキンケアを済ませるのであれば、当然の事ながら、より効果が期待できる『医薬部外品』をおすすめします。
ただし、仮に化粧品であっても、配合成分を確認し、『ヒアルロン酸』や『セラミド』など、肌にとっての有用成分が配合されていれば問題ありません。
油が配合されている白濁ジェルタイプのオールインワンジェルであっても、油の配合量はそれほど多くありません。
ですから私は、よりクリーム機能を十分にするためにも、肌バリア機能回復の効果が期待できる『セラミド』を重視しています。
厳選!オールインワンジェル
オールインワンと言えば、キューサイの『コラリッチ』、新日本製薬の『パーフェクトワン』、メビウス製薬の『シミウス(ホワイトニングリフトケアジェル)』、メディプラスの『メディプラスゲル』の4品が有名です。
これら4品は、売り上げは勿論ですが、テレビCM、ネット広告、折込チラシなど、大々的に宣伝をしていますから、多くの方がご存知だと思いますし、今のオールインワン市場を牽引している商品です。
今回はこの中から、私が好きな2品をご紹介します。
メビウス製薬 :シミウス(ホワイトニングリフトケアジェル)
メビウス製薬の『シミウス(ホワイトニングリフトケアジェル)』は、『製薬』の名が示すように、1964年創刊の歴史を持つ医学雑誌にも掲載され、効果の高さが話題となっているオールインワンジェルです。
医学雑誌への掲載はすごい事であり、これは、エビデンスにこだわった結果と言えます。
シリーズ累計『1500万個』を突破しており、ユーザーからも高い支持を得ています。
一番の特徴は、美白の有効成分に「プラセンタエキス」を、肌荒れの有効成分に「グリチルリチン酸ジカリウム」を配合した、『ダブルの医薬部外品』という事です。
医薬部外品(美白&肌荒れ)であり且つ、医学誌に掲載された説得力は、他のオールインワンと一線を画していると言えます。
「シミが薄くなる」を連想させる『シミウス』という言葉を浸透させた販売戦略は見事です。
配合成分を見ても、コラーゲンやヒアルロン酸だけでなく、シコンエキスやスギナエキス、セイヨウノコギリソウエキス、カモミラエキスなどを配合しており、スキンケアをよく理解しているエキスの選択法です。
オールインワンジェルは、複数の機能を1本に集約した多機能コスメ。『シミウス』も同様、様々なコスメの機能が集約されており、1品で『10役』の機能を持っています。
ですが、「シミウス」には『油』が配合されていません。先ほども述べたように、油は肌からの水分蒸散を抑制する重要な成分であり、『クリーム機能』を発揮するうえで必須成分です。
シミウスには油が配合されていませんから、『クリーム機能』に不安があるのでは?という声もあるようです。
しかしシミウスは、発売から時間が経つにつれ、『臨床試験での効果実証データ』が充実してきており、それを見る限り、クリーム機能も充実した『1品10役』の確かな品質だと判断できると思います。
さらにシミウスは、『マッサージ機能』を重視しています。
何故なら、マッサージは、顔のコリがほぐれ、血行が良くなりますから、ハリ不足・くすみ・カサつきなどの『年齢肌悩みのケア』に非常に有効だからです。
しかし、クリーム状やジェル状のコスメの中には、マッサージし難いモノが多いです。マッサージを想定していませんから、当然と言えば当然です。
シミウスは、2層のジェルによって粘弾性をアップし、肌に良くなじむ『ダブルクリスタル製法』によって、マッサージに適したジェルにしています。
『美白の有効成分』と『マッサージ』によって効果を高める医薬部外品のオールインワンジェル、それがシミウスです。

メディプラス:メディプラスゲル
オールインワンジェルと言えばジャー容器が多い中、いち早くポンプ容器にしたのが『メディプラスゲル』です。
ポンプ容器はコストは高いですが、1回の使用量が一定で、非常に使いやすいです。
メディプラスゲルの累計販売本数は『2000万個』を突破しており、現在、一番勢いのあるオールインワンと言えるかもしれません。
メディプラスゲルは医薬部外品ではありませんが、油(エモリエント剤)が配合された『白濁ジェル』で、配合成分にこだわっています。
特にセラミドへのこだわりがすごく、『5種のセラミド』を配合したメディプラスゲルは、オールインワンコスメ セラミド部門で『3年連続売り上げNO.1』という実績を誇ります。
メディプラスゲルは、「24時間うるおう」と、やや挑戦的な表現を使って保湿力の高さをアピールしていますが、これは、『ほぐす→浸す→包み込む』という、メディプラス独自の『湿潤メソッド』にあります。
ほぐす
メディプラスゲルには油(エモリエント剤)が含まれています。
油には、お肌からうるおいが逃げるのを防ぐ「エモリエント効果」のほかに、乾燥で固くなったお肌をやわらかくほぐし、その後の水分や美容成分の『浸透』をサポートする効果があります。
メディプラスゲルに配合の『アクアオイル』((エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン)が、お肌をほぐします。
浸す
メディプラスゲルには、5種類の『ヒト型セラミド』が配合されています。
この「ヒト型セラミド」と、美肌の湯と言われる「玉造温泉水」が、セラミドや水分を補い、角質層を浸します。
包み込む
『プロテオグリカン』がお肌を包み込みます。
プロテオグリカンは、たんぱく質の「プロテイン」と、多糖類の「グリカン」の複合体です。たんぱく質に多数の糖(グリカン)が結合した構造をしており、糖と糖の間に水分を保持する働きがありますから、『保水性』に優れます。
その効果は、『ヒアルロン酸やコラーゲンを凌ぐ』と言われていますが、プロテオグリカンは、ヒアルロン酸やコラーゲンほど有名な美容成分ではありません。
何故なら当時、プロテオグリカンは、『1g 3000万円』と言われるほど高価な成分で、なかなか研究が進まず、コスメへの配合は困難だったからです。
現在では、製造技術が確立され、価格が落ち着いてきたため、コスメへの配合が可能になりました。
以上の、「ほぐす→浸す→包み込む」という、メディプラス独自の湿潤メソッドが、『長時間の保湿持続性』を実現しています。
さらにメディプラスゲルは、『美容成分の贅沢さ』も特徴の一つです。
先ほどの、5種類のセラミド、プロテオグリカン以外にも、ヒアルロン酸、コラーゲン、3-O-エチルアスコルビン酸(ビタミンC誘導体)、エラスチン、アミノ酸類、アラントイン、グリチルリチン酸2K、植物エキス等と、実に、『50種類以上』の美容成分が配合されています。
コスメにおける、大抵の有名美容成分が配合されている感じですかね。
勿論、成分は多ければ多いほど良いというわけではありませんが、少なくとも配合成分の『質』は良いと思います。

補足:コラーゲンケア
『コラーゲン』を配合するオールインワンジェルが多いです。
例えば、新日本製薬の「パーフェクトワン」や、キューサイの「コラリッチ」には、肌悩みに合わせ、機能別に数種類のコラーゲンが配合されています。
この対応は見事です。しかし一方で、コラーゲンは巨大分子ですから、いくら低分子化しても、肌への浸透は難しいです。
※コスメの場合、浸透表現は、『角質層まで』です
ですから、コラーゲンは『与えるより、肌内部から生み出すもの』、という考え方もあります。
その方法は、コラーゲンが肌に浸透するのではなく、コラーゲン以外の成分が、真皮の『線維芽細胞』に働きかけ、肌の『コラーゲン産生能を高める』のです。
代表的な成分が、ディセンシア アヤナスに配合の『CVアルギネート』です。
この成分(商品)は、コラーゲンを肌に与えるのではなく、肌本来が持っているコラーゲン産生能力を高めます。
コラーゲンコスメにはこのような考え方もあるので、是非、覚えておいて下さい。
<肌のコラーゲン産生能を高めるCVアルギネート配合>
※本記事の内容は個人見解であって効果を保証するものではありません