「ニキビケア」や「クレンジング、洗顔の補助」に『洗顔ブラシ』が使われます。
世の中には、たくさんの洗顔ブラシがありますし、そもそも、「洗顔ブラシって効果あるの?」という疑問もあります。
そこで今回は、「洗顔ブラシは本当に効果があるのか?」について、元化粧品開発者の私の見解を述べたいと思います。
洗顔ブラシとは?
一般的に、電気もしくは手動で、ブラシを使って、お肌の汚れを落とすものを『洗顔ブラシ』と呼んでいます。
洗顔ブラシには大きく2つの使用目的があります。
【ニキビケア】毛穴の汚れを除去
ニキビの原因は『皮脂の過剰分泌』と『角化異常』です。皮脂は毛穴を通って皮膚表面に分泌されますが、過剰の皮脂によって、さらに、ターンオーバーの乱れやバリア機能の低下による角質硬化によって、皮脂の通り道である毛穴が塞がってしまいます。
すると、皮膚表面に出られなくなった『皮脂』が毛穴の中にたまって、毛包が拡大して袋状になります。毛包には細菌がいて、その細菌(アクネ菌)が皮脂を栄養源に繁殖し、『炎症』を起こします。これが『ニキビ』です。
ですから、ニキビ予防のためには、『洗顔』で毛穴の汚れ(皮脂)を落とすことが有効なので、「毛穴汚れを綺麗に!」という宣伝文句で販売されている『洗顔ブラシ』がたくさん存在します。
有名なことろでは『プロアクティブ』ですね。
【クレンジング、洗顔の補助】お肌の汚れを確実に落とす
毛穴汚れと限定せず、お肌のメイク汚れや皮脂を確実に落とす、言わば、日常的なクレンジング・洗顔の補助としても『洗顔ブラシ』が使われています。
メイク汚れや皮脂は、その日のうちに落とす必要があります。油汚れであるメイク汚れや皮脂は、長時間お肌の上にいると、酸化して、炎症性の物質に変化する恐れがあります。ですから、お肌を清潔に保つことは非常に重要で、スキンケアの基本です。
最近のメイク品は、目覚ましいほど製剤化技術が進化しています。ファンデーションであれば、非常に細かな粒子(粉体)を配合して、綺麗な仕上がりを実現していますし、アイメイクや日焼け止めも、 化粧モチが格段に向上しています。
ユーザーにとって大変ありがたいことですが、一方で、これだけ仕上がりや化粧モチが向上すると、今度はそれを落とす方が大変です。
キメに入り込んだファンデーションや、ウォータープルーフタイプのアイメイクは落とすのに苦労します。
これらメイク品を確実に落とすために、日頃のクレンジング・洗顔の補助として使われるのが『洗顔ブラシ』です。
「クリニークの音波洗顔ブラシ」、「日本ロレアルのクラリソニック ミア」、「MTGのリファクリア」、「パナソニックの洗顔美容器」が有名ですね。
洗顔ブラシは本当に効果があるの?
世の中には本当に様々な洗顔ブラシがあります。
プロアクティブの無料のモノ(商品購入の特典)や、数千円のモノといった『低価格帯』から、美容家電の部類に入る、数万円する『高価格帯』まで、価格帯の幅も広いです。
しかし、そもそも、「洗顔ブラシは本当に効果があるの?」
結論から言うと、私自身、洗顔ブラシの『洗浄力』は認めていますが、以下3つの理由から、洗顔ブラシには『否定的』であり、効果があるよりむしろ、『お肌に悪影響』を及ぼしかねないと考えています。
毛穴は綺麗に出来ない?
ニキビの原因は、毛穴詰まりによる炎症ですから、ニキビ予防に毛穴ケアは有効です。
洗顔ブラシに、「毛穴の奥まで綺麗に」という宣伝文句が多いのはそのためです。
しかし、一般的に、毛穴の大きさは『0.2ミリ以下』と言われていますから、「毛穴の奥まで」と言いながらも、実際は、毛穴の奥まで入り込まない洗顔ブラシはたくさんあります。
本当に、「毛穴の奥まで綺麗に出来るのか?」、疑問です。
洗顔ブラシによる物理的な力でお肌を痛める?
ゴシゴシと『物理的な力』でクレンジングを続けると、20代からの15年間で、人の眼は15%も小さくなります。これは、2017年4月23日放送、TBS系列 林先生が驚く初耳学!(日曜夜10時~)で明らかになった事実です。
<クレンジングが原因で目が小さくなる!>
また、物理的な力でのクレンジングや洗浄は、お肌を痛め、『肌荒れ』の原因ともなり得ます。特に敏感肌の方にとっては、最もやってはいけない事の一つでしょう。
ですから、多くの化粧品メーカーは、物理的な力ではなく、優しく包み込むようなクレンジング、洗顔を推奨しています。
洗顔ブラシでゴシゴシ落とすのは、例え、汚れが良く落ちたとしても、お肌にとって絶対にやってはいけない事です。
高機能タイプの洗顔ブラシの中には、『音波』や『イオン』といった、物理的力でない方法で汚れを落とすものがあります。この方法であれば、ゴシゴシ落とすタイプに比べ、まだお肌に優しいと思いますが、ブラシヘッドをお肌に押し当てて使うので、やはり私は、洗顔ブラシの与えるお肌への刺激を無視できません。
いくら汚れを落とすことが出来ても、優先すべきは、『お肌への優しさ』です。
化粧品の進化によって洗顔ブラシは必要ない?
お肌への影響から、洗顔ブラシをあまり良しとしない、多くの化粧品メーカーも、「汚れを落としたい!」という気持ちは同じです。
それが、洗顔ブラシの『物理的チカラ』で落とすのか、『化粧品のチカラ』で、お肌に優しく落とすのかの違いだけです。
化粧品の製剤化技術は日々進歩しています。洗浄力に優れた化粧品が数多く登場し、洗顔ブラシの必要なし、と言わないまでも、必要性が低下してきているのは事実ではないでしょうか。
毛穴汚れを落とす『温感クレンジング』、高機能の『オイルクレンジング』、泡立ちの良い『洗顔』や『ニキビケアシリーズ』が、まさにそれです。
<毛穴汚れなら 『温感クレンジング』>
<注目のオイルクレンジング 『アテニア スキンクリア クレンズ オイル』>
<ファンケルのニキビケア>
おすすめの洗顔ブラシは?
先程も述べたように、
① 毛穴の奥に届かない洗顔ブラシがたくさん存在する
② 洗顔ブラシの物理的な力による洗顔は、お肌を傷つける恐れがある
③ 化粧品製剤化技術の進歩により、洗浄力に優れたアイテムが多数登場
以上の理由から私は、洗顔ブラシの『洗浄力』は認めるものの、それ以上に、お肌への悪影響を懸念して、洗顔ブラシに対し『否定的』です。総合的に考えて、『効果なし』と考えています。
おわりに
いかがでしょうか?
私は化粧品開発者です。『化粧品のチカラ』でなんとかしたい!という想いもありますし、何より、洗浄力ばかりに目を奪われ、お肌への優しさを無視するような美容法、美容機器には否定的です。
実際、世の中の洗顔ブラシを見てみると、低価格帯の、ブラシの力だけで落とすものは論外。高価格帯のものですら、「手洗顔に比べて、〇〇倍汚れを落とす」という『洗浄力』に関して言及しているものの、肝心な『お肌への負担、優しさ』について、エビデンスはほとんどありません。
※本記事の内容は個人の見解であって、効果を保証するものではありません