『パラベンフリー』
ナチュラル系コスメや敏感肌コスメでよく見る表現です。
これらコスメの影響で、『パラベン=お肌に悪い』というイメージが強いですが、これは事実でしょうか?
今回は『パラベンフリーの真実』と題しまして、パラベンフリーは危険な場合もある!など、パラベンフリーについて詳しくご説明します。
パラベンフリーはお肌にいいの?
パラベンフリーはお肌にいいのか?
ナチュラルコスメや敏感肌コスメの台頭で、『パラベン=お肌に悪い成分』と思っているユーザーが多いと思います。
確かにパラベンは『旧表示指定成分』ですから、ヒトによってはアレルギーなどの皮膚トラブルが起こる可能性があります。
実際、パラベンに弱い方、パラベンによって過去、皮膚トラブルを経験された方はいらっしゃると思います。
ですが、だからと言って、「パラベン=危険」、「パラベンフリー=お肌にいい」というわけではありません!!
場合によって、『パラベンフリーがお肌に悪い影響を及ぼす』ことがあり得るのです。
パラベンフリーは危険!?
何故、化粧品にパラベンが配合されるのでしょうか?
化粧品には、『製造後3年間の品質維持』が義務付けられています(消費期限明記の化粧品は除く)。品質とは、主に、化粧品としての性状を保つ『安定性』と、腐敗しないという『防腐力(防腐性)』です。
つまり、製造後3年の間、『腐敗を防止するため』に、パラベンに代表される『防腐剤』が配合されるのです。
パラベンを除くと、当然、3年間の品質維持ができません。確実に腐ります。腐った化粧品をユーザーに使わせてしまったらメーカーの存続に関わるほどの大問題です。
ですから、パラベンフリーにする代わりに、他の成分で防腐力を補う必要があります。
その手法が、場合によってお肌に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
パラベンフリーの場合、まず考えられるのが『フェノキシエタノールの増量』です。フェノキシエタノールは『防腐剤』ですが、旧表示指定成分ではないため、市場においてはパラベンほど悪者扱いされていません。
しかし、フェノキシエタノールは刺激性のある成分です。パラベンフリーにする代わりに、フェノキシエタノールを多量に配合し、肌トラブルが起きたら元も子もありません。本末転倒です。
全成分からは配合量までは分かりませんが、パラベンフリーにしてフェノキシエタノールを多量配合しているコスメは存在します。
勿論、フェノキシエタノールの多量配合コスメ全てが、お肌に悪いと言っているわけではありません。ですが、肌トラブルの危険性をはらんでいることは間違いありません。
特に、パラベンフリーを選ぶユーザーは、ナチュラル志向やお肌が弱い(敏感肌)と想定されますから、そのようなユーザーに対し、フェノキシエタノールの増量はとるべき手段ではないと私は思います。
パラベンフリーの際のもう一つの手段が、BGやオクタンジオール、ペンチレングリコールといった『2価のアルコール』の配合です。
多価アルコールという大きなくくりで言われる場合もあります。多価アルコールは『保湿成分』として化粧品に用いられますが、その中でも2価のアルコールには『抗菌力』があります。
防腐剤ではないが、抗菌力のある成分を『抗菌物質』と言います。2価のアルコールはまさに抗菌物質なのです。
しかし、多量配合は皮膚トラブルの懸念があります。
3価のアルコールが、皆様お馴染みの『グリセリン』です。グリセリンは抗菌力は弱いですが、非常に安全な成分です。
ここでおさらいしましょう。
<2価のアルコール>
代表成分 : BG、オクタンジオール、ペンチレングリコール
抗菌力 : 有り ⇒ 抗菌物質
安全性 : △ ⇒ 多量配合は皮膚トラブルの懸念あり
<3価のアルコール>
代表成分 : グリセリン
抗菌力 : 弱い ⇒ 抗菌物質ではない
安全性 : ◎
パラベンフリーの場合、BGやペンチレングリコールなど、『抗菌力のある2価のアルコール』を配合するケースが多いです。
しかし、これら2価アルコールは、多量配合によって皮膚トラブルの懸念がありますから、防腐力を達成するために、単純に増やせばいいというわけではありません。
また、2価アルコールは、保湿成分でもあるので、パラベンフリー化で2価アルコールを増やしたコスメは、『高保湿』です。夏場の使用は少し抵抗があるかもしれません。
パラベンフリーで一番とられる手法は、お肌への安全性(刺激)に最大の注意を払いながら、フェノキシエタノール及び2価アルコールの増量です。
しっかりしたメーカーであれば、上記のような手法をとるので、パラベンフリー=危険ではありません。ですが、この手法は『お肌への安全性(刺激)に最大の注意を払うこと』が大前提なので、検討に時間がかかりますし、何より、安全性を評価出来る高度な技術をもったメーカーしかできません。
ユーザーのお肌よりも、パラベンフリーの実現にしか目を向けていないメーカーであれば、防腐力が達成するまでフェノキシエタノールを増量するであろうし、2価アルコールの中で一番原料価格が安いBGを増量するでしょう。
これは危険です。『パラベンフリー=危険』となり得ます。
おわりに
パラベンは旧表示指定成分なので、ヒトによってはアレルギーなどの肌トラブルを引き起こす可能性がある成分です。
しかし一方で、パラベンは、ごく少量で優れた抗菌力を発揮するので、『最高の防腐剤』と考える方もいらっしゃいます。
パラベンは旧表示指定成分ですし、実際、パラベンに対し弱い方もいらっしゃるので、「パラベンは安全です!」「パラベンはお肌に悪くないです!」と断言することは出来ません。
しかし、パラベンに弱い方、パラベンで過去、皮膚トラブルの経験がある方を除き、パラベンに対し何ら反応を示さない健康的なお肌の方であれば、パラベン=お肌に悪いというイメージで、安易にパラベンフリーに手を出すべきではありません。
わざわざお肌を危険にさらす必要はありませんし(フェノキシエタノール、2価アルコールの増量)、使用感を犠牲にする必要もありません(高保湿になりがち)。
イメージに左右されず、正しい知識をもって、ご自分のお肌に合ったコスメを選択してください。
重複しますが、パラベンは旧表示指定成分です。アレルギーなどの皮膚トラブルを起こす可能性がある成分です。パラベンに弱い方、過去、パラベンによる皮膚トラブルを経験された方は、迷わずパラベンフリーのコスメを選択してください。
パラベンフリーコスメの中には、『キャリーオーバー』にパラベンを含む原料(エキス類が多い)を配合しているモノがあります。キャリーオーバーですので、全成分にはパラベン表示は出ませんが、これは真の意味でのパラベンフリーではありません。
メーカーに「キャリーオーバーにもパラベンは含まれていませんか?」とお聞きすることをおすすめします。丁寧に答えてくれるはずです。