2019年5月、コスメ氏に名を残すであろうすごいコスメが、ポーラから発売されました。
それが『ホワイトショットLX』と『ホワイトショットMX』。
これら商品には、ポーラが美白分野で10年ぶりに国から承認を受けた新規美白有効成分『PCE-DP』が配合されています。
今回は、化粧品開発者の私が、話題の商品『ホワイトショットLX, MX』をプロの目で分析します。
ホワイトショットLX
ジャンル
医薬部外品(美白)の化粧水
全成分
有効成分:デクスパンテノールW
その他の成分:水、DPG、PEG-8、グリセリン、BG、エタノール、グリチルリチン酸2K、ジメチルシラノール・ヒアルロン酸縮合液、オレンジフラワー水、水添大豆リン脂質、ビワ葉エキス、フィトステロール、レンゲソウエキス、モクツウ抽出液、ヨモギエキス、ローズマリーエキス、POE水添ヒマシ油、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、無水エタノール、オレイン酸ポリグリセリル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、メチルパラベン、TEA
ホワイトショットMX
ジャンル
医薬部外品(美白)の乳液
全成分
有効成分:デクスパンテノールW
その他の成分:水、グリセリン、BG、ジメチコン、PEG(30)、ポリグルコシルオキシエチルメタクリレート液、ジメチルシラノール・ヒアルロン酸縮合液、オレンジフラワー水、水添大豆リン脂質、ビワ葉エキス、フィトステロール、レンゲソウエキス、モクツウ抽出液、ヨモギエキス、エタノール、ジグリセリン、α-オレフィンオリゴマー、硬化油、ステアリン酸PEG、メチルフェニルポリシロキサン、カルボキシビニルポリマー、ステアリン酸ソルビタン、ポリオキシブチレンポリグリセリンステアリルエーテル、ベヘニルアルコール、キサンタンガム、水酸化K、ワセリン、無水エタノール、オレイン酸ポリグリセリル、ビタミンE、無水ケイ酸、フェノキシエタノール、メチルパラベン
分析結果
新規美白有効成分「PCE-DP」
この商品の一番の特長は、ポーラが美白分野で約10年ぶりに国から承認を得た、新規美白有効成分『PCE-DP』を配合している点です。
医薬部外品の有効成分として認められるには、効果効能や安全性など、膨大なデータを国に提出し、厳格な審査を受けた後、国から承認されなければなりません。
ポーラ程のメーカーであれば、新規有効成分の承認を得ることは、大変な作業ではあっても、決して不可能なレベルではありません。
しかし、特に美白分野では、カネボウの美白有効成分「ロドデノール」の『白斑被害』の問題がありましたから、これ以降、国の審査が厳格化されました。
そんな中、ロドデノールと同じ美白分野で、厳格化された審査を通過した事実は、「PCE-DP」の有用性とともに、ポーラの高い技術力を世に知らしめたと言えるでしょう。
それだけ、美白分野で約10年ぶりに国から承認を得た新規成分という事実は、すごい事です。
そしてそれだけで、「ホワイトショットLX, MX」両品の、美白コスメとしての『優秀性』が伝わってきます。
これまでにない新しい美白メカニズム
「PCE-DP」のすごさは、10年ぶりに国から承認を得た事だけではありません。
そのメカニズムが秀逸です。何故なら、世の中には様々な美白有効成分が存在しますが、そのどれとも違う、『新しいメカニズム』だからです。
従来の美白メカニズムは、「チロシナーゼ活性抑制」・「メラノサイトへのシグナル遮断」・「メラノサイトの拡散抑制」が一般的です。
ポーラが開発した新規美白有効成分「PCE-DP」の美白メカニズムは、従来とは異なり、表皮細胞のエネルギー産生を増やす事で、ターンオーバーを促進し(メラニンを抱えた細胞が自然に剥がれる)、シミの元であるメラニンが蓄積しにくい肌に導きます。
これをポーラでは『エネルギー美白』と呼んでいます。
ポーラの研究によると、「PCE-DP」は表皮細胞において、エネルギー物質を作り出す反応経路のひとつである『クエン酸回路』を 活性化させることが分かりました。
クエン酸回路は、一度の反応で多くのエネルギー物質を生み出すこと ができますが、表皮ではあまり活用されていません。この、休眠しているクエン酸回路を活性化させることが、美白への第一歩です。
「PCE-DP」によって、表皮細胞内で十分なエネルギーが作られた肌は、メラノサイトにメラニン引き渡しを促す伝達物質の産生が沈静する事、そして、表皮細胞自体のメラニンの取り込みが沈静する事が分かりました。これによって、表皮細胞に含まれるメラニン量(シミの元)が減少していくと考えられます。
さらに、クエン酸回路を活性化させる事で、表皮細胞の増殖が活発になります。結果、表皮の生まれ変わり(ターンオーバー)が促進され、シミの元であるメラニンを抱えた細胞が自然に剥がれやすくなります。
このように、ポーラの新規美白有効成分「PCE-DP」は、『表皮の状態を総合的に改善する』ことで、メラニンの蓄積を抑え、シミ・ソバカスを防ぎます。これは、これまでにない『新しい美白メカニズム』です。
新しい美白メカニズムという事は、非常に重要な意味を持ちます。
現在、美白コスメ(医薬部外品)をお使いのユーザーで、その効果に満足いかない方はいらっしゃるのではないでしょうか?
医薬部外品を含むコスメは、安全である事が最優先であり、効果を実感できるまでにはかなりの期間を要します。ここが、効果を追求し、副作用が認められている医薬品と大きく異なる点です。
しかし、例えば6ヶ月以上、美白コスメをお使いのユーザーで、効果に満足いかない方は、一度、思い切ってコスメを変えてみる事は非常に有効だと思います。
何故なら、6ヶ月以上使って効果に満足いかないのであれば、お使いの美白コスメに配合されている美白有効成分のメカニズムが、ご自身に合っていない可能性があり、別の美白メカニズムの有効成分に変えることで、効果が期待出来ると考えられるからです。
「PCE-DP」の美白メカニズムは、これまでにない新しいものです。皆様が経験したことが無い美白メカニズムとも言えますから、期待以上の効果が得られるかもしれませんし、少なくとも私はこのメカニズムに期待しています。
使用感へのこだわり
先程も述べましたが、医薬部外品を含むコスメは、安全でなければならず、医薬品のような即時効果は期待出来ません。
ですから、効果を実感して頂くためには、『長期間』、使い続けて頂く必要があり、長期間使い続けて頂くためには『快適な使用感』が必須です。
使用感が快適でなければ、長期間使い続けることは出来ません。
ですから、我々化粧品開発者は、『使用感』を何よりも大切にします。
ホワイトショットLXは、ローション剤型で、ホワイトショットMXはミルク剤型です。
しかし、LXはローション剤型と言っても、「水添大豆リン脂質」や「複数の水性成分(DPG、PEG-8、グリセリン、BGなど)」を配合することで、使用感にこだわっています。
また、MXは、「複数の水性成分」及び、「複数の油剤(ジメチコン、α-オレフィンオリゴマー、硬化油、ステアリン酸PEG、メチルフェニルポリシロキサン)」を併用することで、ミルク特有のべたつきが無く、夏使用に相応しいサラリとした使用感を実現しています。
おわりに
いかがでしょうか?
美白分野で約10年ぶりに国から承認を得た新規美白有効成分「PCE-DP」は素晴しい成分ですし、これを配合した「ホワイトショットLX, MX」は、美白領域を賑わす商品になると思います。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません